韓国金融機関、米国の商用不動産投資で大幅なマイナス発生か・・野党議員「詳細は公開してほしい」

家計債務関連、個人投資家関連のニュースが相変わらず多いですが、一部のメディアは「企業債務関連」と、金融機関の米国不動産投資(主に商用不動産)関連のニュースも載せ、こちらも見落としてはならないとしています。ソース記事は国民日報(企業債務、20日の記事)と東亜日報(金融機関、22日)関連です。ELS(株価指数連動金融商品)の件で当局が『銀行など金融機関の売り方に問題がある(不完全販売)』としていること、そして自営業者に対して『銀行側は利子支払い分の一部をキャッシュバックするように』としている件でも取り上げたことがありますが、政権の方針からして、なにもかも金融機関に問題があるような政策を取っています。

しかし、大手金融機関、韓国メディアがよく使う表現として「5大銀行」とて、いろいろ問題を抱えているわけです。特に米国商用不動産投資問題が注目されており、すでに兆(ウォン)単位の損失が発生していますが、記事の書き方からして、当局はその具体的な規模を明らかにしていません。また、保守政権になってからも、「企業がもっと『社会的責任』を果たすべきだ」とする社会雰囲気は相変わらずですが、その点もまた、企業債務が急増しており、債務でなやんでいるのは個人も企業も変わらない状態です。2018年までは、企業債務の増加率は名目GDP成長とほぼおなじ(1倍)でしたが、それから急増、いまでは名目GDP成長速度の3倍を超えている、とのことでして。金利が上がったこともあるし、経済低成長期に入ったことなども理由でありましょう。各分野で止まらず出てくる債務関連ニュース、以下、両紙から<<~>>で引用してみます。

 

<<・・米国発商業用不動産リスクが広がる中、国内金融会社が投資した海外不動産で2兆3000億ウォンに達する潜在的不実(※不良)リスクが発生したことが分かった。特に昨年7~9月期だけで1兆ウォン近くの不実リスクが飛び出して、危機感が高まっている。21日、国会政務委員会所属の共に民主党オギヒョン議員室が金融監督院から受けとった資料によると、昨年9月末基準で国内金融会社の海外不動産投資額は総35兆8000億ウォンで、その3ヶ月前に比べ1000億ウォン減った。しかし、期限利益喪失(EOD・貸出満期前資金回収要求)発生規模は1兆3300億ウォンから2兆3100億ウォンと約1.7倍増えた。金融会社の海外不動産投資が減少する中、EODはむしろ急増したのだ・・

・・EODとは、債務者の信用リスクが大きくなったと判断した債権者(金融機関)が、満期前に貸出金の回収に乗り出すことを意味する。債権者に利子や元金を支給できなかったり、不動産価値の下落で住宅担保認定比率(LTV)条件が満たされない場合、債務者に直ちに償還義務が発生する。不動産資産の中でもオフィスビル(9300億ウォン)と住宅用不動産(3500億ウォン)の不実が大きく増えたことが確認された。3ヶ月前に比べ、オフィスビルと住宅用不動産のEODはそれぞれ1.6倍、8.7倍ずつ増加した。オ議員は「すでに米国などで商業用不動産価格急落の余波が大きく拡散し、懸念が大きくなっている状況」とし「金融当局は、昨年末基準での海外不動産投資問題の現状も早急に公開し、市場の不確実さを解消すべきだろう」と指摘した(東亜日報)・・>>

 

<<・・近年、企業のローン増加速度が経済成長率よりはるかに速い。19日の金融圏によると、2019年1月~3月期から2023年6月~9月期まで、企業ローンはその前の期に比べて平均2.81%増えた。この期間名目国内総生産(GDP)成長率平均値(0.87%)対比で、ローン拡大幅が3倍以上大きい。2010~2018年の平均企業ローン増加率は1.22%で、同期間の名目GDP成長率平均値(1.15%)とほぼ同じだった。問題のある企業が受け取ったローンの割合も急増した。「金融会社ではなく、売上高などが一定水準を超えていて、会計法人から外部監査を受ける」企業3万4880社のうち、利子補償倍率がマイナス10未満の企業が受け取ったローンの、企業ローン全体での割合は、2020年末6.8 %から2022年末には11.8%になり、2年で2倍近く増えた。利子補償倍率は営業利益を利子など金融費用で割った指標だ。1より低いと、稼いだお金で金融費用さえ余裕がないことを意味する(国民日報)・・>>

 

「利子補償比率が1未満」企業については、世界的に見ても韓国で多いと何度かエントリーしました。営業利益で(ローン関連など融資の)返済金額が充当できないという意味です。でも、マイナス10未満というのは初めてみました。1はおろかマイナス10、しかもそれよりも状況が思わしくない企業が企業ローンを受け取っている、という意味になります。金融機関は、どういう基準でローンを認めているのでしょうか。この前、ローンを満期延長または追加することで、何の問題もないように見せる「エバーグリーン化」という言葉を紹介したことがありますが・・そういうことでしょうか。というか、利子補償比率関連記事でマイナス10って初めてみた気がします。1より低いと「営業利益で返済分が充当できない」という意味なのに、マイナス10でもローン増加っていったい。

 

 

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