韓国メディア、半導体産業関連で「脱中国したところで、もっとも利益を得るのは日本である」

久しぶりに半導体関連で大いに盛り上がっている日本ですが、その分、韓国では日本・台湾半導体業界の協力強化に「もっと危機感を持つべきだ」とする記事も増えています。実際はラピダスなど米国との協力もありますが、TSMCの熊本工場が大きな話題になっている分、日台協力がメインになっています。前にも書きましたが、韓国メディアの中国関連記事は、比較的(すべての記事がそうではありませんが)、中国経済はまだまだ大丈夫だとか、米中対立において、どちらかを選ぶ必要はないとか、そんなものが目立っています。

特に最近は、いわゆる脱中国に関して、『そんな流れに乗れば乗るほど、日本が利益を得る』という論調が増えてきました。今回ソース記事とするアイニュース24もその一つです。中国市場から離れるのではなく、うまく管理するようにしたほうがいいという趣旨ですが、その名分として脱中国によって日本が得をする、ということを挙げているわけです。他にも、ここまでダイレクトに書いているわけではありませんが、保守系メディアの記事を読んでみても、『巻き込まれた』とする表現が多用されています。問題の原因は米国の半導体関連、もっと詳しくは経済安保関連政策にある、という論調です。読んでみると、じゃどうすればいいのかについてはこれといった内容もありませんが。

 

そもそも、いままで韓国の半導体事業が栄えたのは米国の政策のおかげという側面が強いのに、それについては誰も何も言いません。経済安保という言葉が出た時点で、もうすでに「安米経中(安保は米国、経済は中国)」という言葉は成立しなくなっているはずですが・・いまだ安保は安保、経済は経済、経済安保とは単に二つの言葉を並べただけのもの、そういう認識が強いのでしょう。記事は、「半導体産業の一流プレイヤーを保有した韓国。スポーツ競技でプレーするのは選手だが、彼らが思いっきり技量を発揮できるようにするは監督とコーチなどスタッフたちの役割だ」としながら、企業ではなく政府(外交)でこの問題をなんとかすべきだ、としていますが・・これもまた、同じミスではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・「脱中国、日本だけ漁夫の利(※記事の題)」・・・・米国と中国の半導体競争で、日本は反射利益を得ているが、私たちは後退した。「脱中国」に対する米国の圧迫の強度はさらに強まっている。米国半導体産業協会(SIA)は先月31日(現地時間)、米国商務省に「韓国など同盟国の企業も中国に先端半導体製造に必要な装備を販売しないよう、同様のレベルの措置をとらなければならない」という意見書を提出した。これに先立ち、米商務省は昨年12月、半導体など先端技術が渡らないよう韓国など同盟国と多国間の輸出関連措置を取る案を議論していると明らかにした。

サムスン電子とSKハイニックスは中国半導体の生産依存度が高い。現在サムスン電子は中国西安工場でNANDフラッシュを40%生産中であり、SKハイニックスも中国の無錫、大連工場でそれぞれDRAM40%、NAND30%などを生産中だ。昨年、米国政府が国内企業の中国半導体工場を中国輸出措置の猶予対象に選定し、ようやく一部のサプライチェーンの不確実性を解消した。しかし、米国の脱中国圧迫が強くなり、国内半導体企業の中国工場への投資と運営はさらに消極的になるしかない。そうなれば、現地サムスン電子とSKハイニックスで供給する国内半導体装備メーカーにも影響が出るしかない状況だ。

 

現在、中国との関係改善に消極的な姿を見せている政府だが、国益のために前向きな姿勢をとる必要がある。米国に近づいて中国とは距離を置くだけでは「実利」を得ることはできない。米国も半導体産業において自国優先で、政策的支援を行っている。日本と台湾も米国の主要同盟国だが、米中半導体競争で最も影響を受けているのは私たちである。私たちは半導体産業の一流プレイヤーを保有している。スポーツ競技でプレーするのは選手だが(アイニュース24)・・>>

まず気になるのは、「どこを見ているのか」より、「どこから見ているのか」です。いま自分がどんな環境の中にあるのか、どういう状況の一部なのか、まずはそこからハッキリしなければ、どこを見るのか、どう見るのかもハッキリしないでしょう。日本とて、米国の方向性に合わせることで、たしかに得られたものも多いですが、装備輸出など、失った部分も大きいということ、そういうことも複合的に考えるべきでしょう・・って、そこまで考える記事なら、本ブログで紹介することもないでしょうけど。

 

 

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