韓国政府の「日本ベンチマーク」株価対策、発表後にむしろ株価が下がる・・専門家「メリットもデメリットもよく分かりません」

韓国メディアも結構大きく報じている「日経平均4万超え」のインパクトもあるし、メインで取り上げる韓国政府の「企業バリューアップ政策」も結局は投資関連で、本エントリーという最近の本ブログには、どうしても投資の話、資金の流れなどの話がよく出ています。まさかとは思いますが、本内容は特定の投資を促す趣旨のものではありませんので、その点はご注意ください。それでは、本題です。先も書きましたが、日経平均4万突破が、韓国でも大きな話題になっています。相変わらず円安『だけ』を集中的に報じる記事が多いですが、イーデイリー(※3月3日、まだ4万超える前のものです)など一部のメディアは、今回はいわゆるバブル期とは異なるという分析にも注目しています。

「日本では、1989年のバブル当時とは明らかに異なると見ている。日本経済新聞は野村証券分析を引用し、東京株価指数(TOPIXの12ヶ月先予想の株価収益比率(PER)は現在16倍で、バブル当時の50倍に比べると安い方だとした。トピックスの12カ月先株当たり純利益(EPS)展望値も、2月27日現在166円で、史上最高値を記録、実績がこれを裏付けているということだ」、などなどです。これだけでもインパクトはかなりのものですが、韓国の一部メディアにとって、さらに話題(?)なのはそのタイミングです。

 

なにせ、これ、ユン政権が「企業バリューアップ政策」が発表された数日後ということでして。前にも一回取り上げたことがありますが、ユン政権の企業バリューアップ政策発表は、事前には「日本をベンチマークする」と話題になっていましたが、中身は随分異なります。各企業がPBR(株価純資産倍率、Price Book-Value Ratio)を改善するよう誘導するという方向性は似ているものの、日本が10年以上かけたと言われている各種基盤づくりもなく、企業ガバナンス改革に関する内容もなく、YTN(3月2日)によると、市場からは「すみません。よくわかりません」とされています。チャムジョウン経済研究所のイインチョル所長は、いまの韓国の株価市場は、少額株主たちにとっては、投資できる環境ではないとしており、バリューアップ政策もこのままでは効果を発揮するのは難しいだろう、としています。適当に「ベンチマーク」と言ったところで、効果はない、という意味です。ちなみに少額株主とは、用語説明によると「当該法人の発行株式総額又は出資総額の1パーセントに該当する金額と、額面価を基準にして1億ウォン未満の金額のうち、少ない金額に該当する株式を所有している株主」となっています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・今、最高値を塗り替えているのが、米国証券市場、日本証券市場、台湾証券市場、インド証券市場です。私たちは年初にKOSPIが2655で出発しましたが、年初より株価が下がりました。それで政府、金融当局が、企業のバリューアッププログラムを発表しました。ところが、発表をしてから、むしろ株価がさらに下がっています。噂されたほどのものがなかったからです。各企業に、各自頑張れとしているのが核心です。事実、日本のように、日本をベンチマークして、バリューアッププログラムを導入するにはしたものの、それを守ってどういう利点があるのか、守らないとどういう問題があるのか、わかりません。

例えば、企業側が税金面で恵沢が受けられるなら、それはどういうものなのか、逆に企業バリューアップがうまくいかなかった場合には、どういう対応をされるのか、そのようなことが分からなかったので、売りだけが増えました。これまで(※バリューアップ政策への期待感で)主に脚光を浴びていた金融株、そして自動車関連株が、特に下がっています。最も重要なのは、短期的には配当率を高め、資産率を高めて消却したり、そうした株主にやさしい政策も肯定的でしょうけど、長期的には、企業ガバナンス構造の改善がなくてはなりません。なぜならば、私たちの企業は、企業分割をして、企業を『分けます』。大株主は得をしますが、少額株主からするといい話ではありません。

 

また、証券市場をみだす行為も、すごく多いにもかかわらず、ちゃんと管理されていないので信頼が強くありません。配当を見てみると、グローバル標準の半分以下です。このような状況だから、投資収益も低く、少額株主にとってはいいことがなにもありません。なのに誰が投資をしますか。だから、短期的にはこのような企業バリューアッププログラムももちろん重要ですが、中・長期的に良質な企業のガバナンス構造の改善など、証券市場の根本的な問題一つずつ解決していく努力が必要です(YTN)・・>>

大株主はおろか、企業の重要な案件(企業の統合、分割など)は、財閥グループの総帥一家の間でも秘密にされている、と言われています。一家とはいえ、仲がいいわけではないからです。そういう環境で、本当に『透明な企業ガバナンス』というのが成立するのでしょうか。そもそも、その領域に手を出すことができる政権があるのでしょうか。伊達に「財閥共和国」と言われているわけではありませんので。さて、「安米経中ベン日」はいつまで続くのでしょうか。

 

 

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