これもまた、何度も指摘されている問題ですが、電気料金とガス料金などエネルギー料金関連で、久しぶりに大手メディアに記事が載ったので紹介します。韓国電力公社が原価にもならない価格で電気を供給し、多くの赤字を出しているのは有名な話ですが、ガス公社も同じで、中央日報によると、この二つの公社の債務を合わせると、GDPの11%になる、とのことでして。債券を発行して、赤字の分をなんとかしようとしたからです。これは韓電債と呼ばれ、他の会社の債券が売れなくなった(資金流動性リスク)大きな理由だとも言われています。
恒大グループの債務は、デフォルトした2021年時点で360兆ウォンで、中国GDPの約2%でしたが、二つの公社の債務を合わせると、約250兆ウォン。GDPの約11%。去年のサムスン電子の営業利益に匹敵する分を、利子として支払っているとのことでして。このことで記事は、なにより日本など先進国のように、エネルギー料金が決められる機構の存在が最優先だと主張しています。韓国の場合、電力供給は公社1社体制です。政府は、「前の政権」が問題の原因だとしていますが、記事は、現政権も変わってない、としています。一時、今度こそ上げるとしながらも、支持率がパッとしなかったからか、延期、また延期を繰り返しています。「エネルギー料金が安いっす」といえば良いことのようにも見えますが、実はどんな問題があるのか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・二つの公社の債務は、昨年GDPの11%で、中国不動産リスクを巻き起こした恒大集団の比重よりはるかに高い。公企業なので可能性はほとんどないものの、もし彼らが破産すれば、恒大集団の何倍にも及ぶ衝撃になるだろう。両公社がこうなった理由は、知られている通りだ。原価の70%に過ぎない料金構造のせいで赤字が累積された結果だ。行政安全部の地方物価情報などによると、40年間、全国平均のジャージャー麺価格は185倍になった(※最近はそれほどでもありませんが、数十年前から庶民外食の代表格でした)。しかし、電力販売単価と都市ガス料金は2倍にとどまった。売れば売るほどマイナスになる料金を正常化しなければならないが、高物価と4月総選挙のため、料金正常化議論は完全に中断された状況だ。
問題は、様々な副作用が両エネルギー公企業だけの問題ではないという点だ。予算が不足しているため、送電・配電網など国家のエネルギーインフラ建設に支障をきたし、先端産業・電気自動車などに不可欠な電力管理に問題が生じ、ブラックアウトの可能性すらある。米国で2003年8つの州で2日間ブラックアウト事態が発生したのも、電力会社が送電網管理にお金を使わなかった結果だ(※これはアメリカだけの問題ではなく、欧米先進国の停電時間が日本の数倍に及ぶのも、諸説ありですが、この電力インフラ管理費用が大きな理由だとされています)・・
・・料金を抑えながらも、消費者の電気・ガスの使用は増え、エネルギー収入が再び増加して貿易赤字規模が大きくなる。貿易関連も懸念される。実際、米国は現代製鉄と東国製鋼が輸出する厚板に、韓国政府が補助金を支給したという理由で相関関税を付けた。原価に及ばない安い電気料金は補助金だということだ。金融市場では、韓電が赤字保全のために発行した数十兆ウォンの社債に投資が集まり、他の企業は資金調達が難しくなる。韓電・ガス公社に投資した外国人株主が続々と足を引いて、株価が下落すると、小額株主は損をするしかない。いずれもエネルギー料金凍結による現象だ・・
・・政治に振り回されるしかない料金決定体系が定着している。現行法上、電気料金は産業部傘下、電気委員会の審議・議決手続きを経るだけで、最終決定は産業部にあり、企画財政課が協議過程で実質的な影響力を行使する仕組みだ。「外風」に振り回され、世論の顔色を気にするしかない。法的に何の権限がない与党が、(※支持率のため)料金決定に影響力を行使する事態まで繰り返されている(中央日報)・・>>
記事は、専門的な機構がエネルギー料金を決定するようにするしかない、としています。 記事によると「米国の公益事業委員会」、日本の「電力ガス市場監督委員会」、英国の「ガス電力市場委員会」(原文ママ)など、先進国はすでにそうしている、とも。ただ、そのためには本当に大幅な料金引き上げが必要になりますが、誰がそれをやるのでしょうか。ユンたんはやりそうにないし、ジェミョン(野党リーダー)さんか、ドンフン(与党リーダー)さんか・・またその「次の人」か。 最後に告知ですが、明日、また1日休みをいただきます。次の更新は18日(月曜日)の11時頃になります。それでは、明後日、また。
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