朝鮮半島情勢関連ニュースでたまに出てくる、「南北基本合意書」というもの、ご存知でしょうか。簡単に言うと、南北がこれからは協力・交流していく、お互い不可侵である、とする内容です。国連に同時加入するという内容も、この合意書に含まれています。1991年12月、事実上「はじめて」の南北間の公式合意でもあり、右にも左にも、象徴的な意味を持つと言えるでしょう。具体的に守られていたかどうかはともかく。ですが、北朝鮮がこれを破棄すると言われています。また、北朝鮮関連ということで、日本に対しても「またスタンスが変わった」ことも、合わせてお伝えします。
まず南北基本合意書ですが、先、「南北の間の公式合意」となっていますが、じゃ、当時、南北はお互いを国家や政府と見ていたのか、それが問題でして。文在寅政権のとき、南北首脳会談が特に話題になりました。懐かしいですね。あのネタ感(なんだそれは)は本当にすごかったです。南北鉄道連結からなる巨大な経済圏の誕生とか、そんな記事も結構ありましたが・・そういう会談での合意文書なども、本当はどうなのか、政府や国家同士のものなのか。この点は、南北関係においてずっと問題として提起されてきました。実は、それがこの南北基本合意書で説明されています。「国家と国家の関係ではなく、統一を目指す過程で暫定的に出来上がった特殊関係」である、と。見方にもよりますが、それから出来た南北の合意は、すべてがこれを基本にしています。
その南北基本合意書の内容ですが・・最近、北朝鮮は「国家と国家の関係ですがなにか」とスタンスを変えました。主に欧米の専門家たちの間で、「これはとでもデンジャラスな変化だ」とされている理由も、そこにあります。これは、いままでかろうじて維持されてきた南北基本合意書とは別の路線でいく、という意味だからです。『和解』『交流と協力』『不可侵』なども南北基本合意書に含まれています。ソウル新聞がこの件を取り上げました。また、韓国では中央日報などが報じていますが、北朝鮮の日本関連の動きも一緒にお伝えします。今まで「岸田総理と首脳会談できる日も来るだろう」「岸田総理が首脳会談を提案してきた」などと話していた金与正党副部長が、急に「首脳会談は推進しない」と、またスタンスを変えました。
理由は、日本政府が、北朝鮮拉致問題、核・ミサイル問題を続けて取り上げたからです。林官房長官はこのことで、「拉致被害者全員の帰国を目指して日朝首脳会談を働きかけていく立場に変わりはない」とだけ話しました。首脳会談が、なんのために必要なのかを指摘したわけです。「推進しない」が26日、この林官房長官のこの発言が27日ですから、事実上、「返事」になります。結局、首脳会談したかったのは北朝鮮で、「でも、その議題では会談できない」としていたわけですが・・北朝鮮は、本当にこんな日本の反応を予想できなかったのでしょうか。なんだったんだよ、としか思えません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・北朝鮮が次の最高人民会議で南北基本合意書を廃棄する可能性があると、政府が見通した。統一部当局者は28日、取材陣と会い、北側政治・軍事・経済動向を紹介しながら「現在の第14期体制でもう一度会議を開いて憲法を改正する可能性が高い」とし「金正恩国務委員長がすでに言及した。改憲の他に組織問題と、南北合意書関連の追加措置の可能性がある」と明らかにした・・・・南北関係を二国家関係と規定した北朝鮮の最近の歩みと南北基本合意書が衝突するためだと見られる。「南北を国と国の間の関係ではなく統一を目指す過程で暫定的に形成された特殊関係」として平和統一を成就するための共同の努力を盛り込んだ南北基本合意書の廃棄は、すでに予見されていたことでもあり、33年間南北関係を規定した枠組みは無くなるということだ(ソウル新聞)・・>>
<<・・北朝鮮が、既存の立場を特別な説明もなしに覆すのは、珍しくもないパターンだ。しかし、今回のように党副部長のようなハイレベルがわずか1日で、自ら話した立場を覆すのは珍しい。その前日までも、「重要なのは日本の政治的決断」としていたが、わずか1日で態度を変えたのも、よくわからない部分だ。林芳正官房長官が「拉致問題がすでに解決されたとの(北朝鮮の)主張は全く受け入れられない」と明らかにしたが、これは目新しいものでなく、一貫して日本が維持してきた立場だ。北朝鮮が日本との交渉において「瀬戸際戦術」をしている可能性もある。北朝鮮は2018シンガポールで予定されていた米朝首脳会談の前にも、当時のペンス米副大統領を非難して機先を制しようと試みたが、トランプ大統領が会談中止を通告したことで、北朝鮮はまたすぐにスタンスを変えた(中央日報)・・>>
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