複数の大手貯蓄銀行、2022年基準「不動産PF不良債権」が0%・・いったいどういう統計なのか

メインになる話は貯蓄銀行(第2金融圏)の実績が、2兆ウォンを超える黒字から7000億ウォンの赤字になった、という内容です。本エントリー、各数値はソース記事以外からも取っています。でも、個人的に「えっ」と思ったのは、一部の貯蓄銀行、しかも資産基準で「10大」とされる大手のところの4つ以上が、プロジェクト・ファイナンス関連ローンの不良債権(この場合、「3ヶ月以上延滞」、及びそれより回収が難しいものを意味します)が、2022年基準まで0%だったことです。政府が「もう少し評価基準を強化したらどうですかね」と言ったら、2023年基準では急に4~10%を超えていた、とも。2023年には金利引き上げとかいろいろありましたけど・・いくらなんでも2022年0%だったって、これどうよ、と。個人的には、これが一番気になりました。

本ブログで何度も取り上げましたが、韓国の各種債務、家計債務や企業債務などは、大まかに3つの『金融圏』に分かれています。第1金融圏の場合は普通の銀行のことです。都市銀行という言葉を使うこともありますが。第2金融圏はノンバンク領域で、第1よりローンが組みやすいものの、金利は高くなります。これまたよく取り上げている「プロジェクト・ファイナンス(PF)」関連で問題視されている保険会社や証券会社なども第2金融圏としますが、やはり代表的なものは「セマウル金庫」や「貯蓄銀行」などです。これらは、普通の銀行とほぼ同じ営業をします。貯蓄銀行とは一つの金融機関のことではなく総称のようなもので、詳しくは「銀行(BANK)」ではありません。

 

この貯蓄銀行のことですが・・全国に79行もあり、その営業損益は2022年に2兆300億ウォンを超えていましたが、2023年には急減、マイナス7000億ウォンとなりました。純利益でも55億ウォンの純損失を記録しています。2011年に貯蓄銀行関連で大きな金融問題がありました(一般的に「貯蓄銀行事態」と言います)が、ソース記事の韓国経済によると、当時、「固定以下与信(貸出金のうち、3ヶ月以上延滞された不良債権)は8%まで」というちょっとしたルールみたいなものがあった、とのことでして。いまは、79行のうち21行が、10%を超えているそうです。これは、家計債務に対する影響も大きいでしょう。

 

最近、運営において問題指摘が相次いでいる「セマウル金庫」もそうですが、貯蓄銀行もまた、家計債務において大きな影響を及ぼす存在です。利用する人が多いですから。しかし、貯蓄銀行としても、余裕がなくなると、満期延長や新規貸出(ローン)において、さらに慎重になるしかないでしょう。すると、満期延長や新規ローンなどができなくなった人たちは、第3金融圏、すなわち貸金業者、韓国で言う貸付業者を訪れるしかなくなります。でも、最近、合法的に営業している第3金融圏は、上限金利で貸しても利益が残せないため、新規貸出などはほぼ行わなくなりました。これだけでなにか大きな変化が現れるとも思えませんが、金融市場は確実に思わしくない方向へ進んでいると言えましょう。少しではありますが、この前お伝えした「エバーグリーン化」と同じ趣旨の話も出てきます。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国内貯蓄銀行79社のうち4分の1が、不良債権(固定以下与信)の割合が10%を超えていることが明らかになった。主要貯蓄銀行の建設・不動産関連ローン延滞率は1年で4倍近く急騰した。金利の上昇で家計と企業のローン返済能力が弱くなり、プロジェクトファイナンシング(PF)市場が沈滞した結果だと解釈される。昨年末、固定以下与信比率が10%を超えた貯蓄銀行は21カ所と集計された。固定以下与信とは、3ヶ月以上延滞した債権を意味する。2022年にはこの割合が10%を上回る貯蓄銀行が4カ所に過ぎなかった。全体貯蓄銀行業の固定以下与信は昨年末7.7%で、前年比3.6%ポイント急騰した。

不動産市場の萎縮でPF延滞率も急に上がっている。資産基準で上位10位の貯蓄銀行の場合、PFローン延滞率平均は昨年末6.2%を記録した。1年前の1.6%から4倍近く上がった。金融監督院が集計した貯蓄銀行79社の不動産PF延滞率は平均6.9%だった・・・・昨年末、固定以下与信比率が10%を超えた貯蓄銀行が全体の4分の1に達したことで、業界も金融当局も、緊張している。上位10の貯蓄銀行の不動産プロジェクトファイナンシング(PF)延滞率は、1年で4倍増加した。金融当局は、不動産関連不良債権整理を誘導する制度改編に乗り出した・・

 

・・10大貯蓄銀行のうち、建設・不動産ローンの延滞率が最も高いのは、サンサンイン貯蓄銀行(14.5%)だった。OSB貯蓄銀行、ペッパー貯蓄銀行(以上12.4%)、ウェルカム貯蓄銀行(8.6%)、OK貯蓄銀行(8.4%)などがその後に続いた・・・・金融当局のPF政策基調が変わったのも負担になっている。昨年上半期まで、貯蓄銀行らはPFローンの不良化を、満期延長でカバーしていた。しかし、昨年末、泰栄建設事態以後、金融当局がPF事業性評価を厳しくするようにし、状況が変わった。ペッパー貯蓄銀行のPFローン延滞率は2022年末0%から、昨年末13.2%に垂直上昇した。OSB・ウェルカム・シンハン貯蓄銀行の不動産PF延滞率も、2022年の0%から1年ぶりにそれぞれ5.1%、4.9%、3.2%に跳ね上がった(韓国経済)・・>>

 

 

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