個人破産制度にもいくつか種類がありますが、各メディアがもっとも一般的に取り上げるのが「個人回生」です。趣旨的には日本の個人再生制度に似ている制度です。昨日の午後あたりから、聯合ニュースや朝鮮日報、SBSなど大手メディアが一斉に関連記事を出しました。ソウル回生法院、すなわち個人回生を担当するソウルの裁判所部署が、2023年データを発表したためです。どうやら、2022年に比べて約30%増加し、特に20代が45%も増加した、とのことでして。他の年齢層に比べるとそこまで多いわけではありませんが、暗号通貨や株式などで、最近急増している、とも。
まず、今回の記事によると、個人回生(個人再生)は1万9379人で、20代が3278人とのことですが、去年9月にすでに申請が8万人超えましたという記事があったので、「えっ、なんで急に減ったの?」となっています。ソース記事に明記されていないので推測ですが、「申請数ではなく、最終的に決定した数だから」の可能性があります。そして、わざわざソウル回生法院と書いてあることから、「ソウルだけ」。詳しくはソウル法院が担当した件だけのデータである可能性もあります(該当法院は他の地域にもあります)。これ、記事にちゃんと書いたほうがいいじゃないかな、とも思いました。
普通は「申請数」が記事になります。今回の記事も、(これから引用しますが)基本的に申請者データです。ちょっと去年の記事を取り上げますと、去年1~8月の個人回生申請は2022年同期比で40%急増、8万件を超えました。2023年9月27日、CNB系列のネットメディアCNBジャーナルによります。当時、とっさにネット検索しただけですが、2022年基準で日本の個人再生は12864件(申請数)でした。繰り返しになりますが、個人破産制度にも種類があるし、制度そのものが異なるので単純比較は出来ませんが、かなり多いと見てもいいじゃないでしょうか。
2023年、ソウルで個人回生(個人再生)を申請した人たちの月収は、10人の7人が100万ウォン以下でした。これで株式や暗号通貨をやっていたとは、驚きです。ソース記事引用の前に、CNBジャーナルの2023年8月までのデータを紹介しますと、「裁判所行政処によると、倒産手続き全体のタイプのうち免責事件を除いた個人回生、個人破産、法人回生、法人破産事件がすべて増加した」、「特に個人回生は8月までに合計8万748件が受付され、去年(※2022年)全体の8万9966件の約90%に達した」、です。それでは、ここからは昨日のSBS、<<~>>で引用してみます。
<<・・昨年、ソウル回生裁判所が処理した個人回生事件が前年より30%ほど増加(※1万9379件、前年比30.7%増加)したことが分かりました。 特に20代が前年より45.3%も増加(※2255件から3278件へ増加)しました・・・・昨年の回生申請者の年齢比率は30~39歳(30.4%)、40~49歳(28.5%)、50~59歳(18%)、29歳以下(16.9%)、60歳以上(6.2%)の順でした。このうち20代の回生(※個人再生)申請事件は3278件で、前年(2255件)より45.3%増加しました。また、20代申請者の割合は10.3%(2021年上半期)、11%(2021年下半期)、13.8%(2022年上半期)、16.6%(2022年下半期)、16.8%(2023年上半期)、17%( 2023年下半期)と、着実な上昇傾向を見せています。これは最近、暗号通貨、株式など20代の経済活動領域が拡大した結果だと裁判所は分析しました・・・・申請者10人のうち7人(74.52%)は月収が100万ウォン以下でした。月収が300万ウォンを超える場合は1.73%で、10人のうち2人にもなりませんでした(SBS)・・>>
特に、ソース記事には書いてありませんが、ネットメディア「アイニュース」などいくつかのメディアは、20代が平均で235万ウォン(約25万円)が返済できなくて破産を申請している点を、題にしたりして強調しています。もう少し、個人再生に頼らずなんとかならなかったのか、と。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>です。若い人たちと高齢の人たち、女性と男性、「私たち」と「それ以外」、こっちとあっち、私と他人、豊かな人たちとそうでない人たち、様々な形で出来上がった社会の壁、「分断」に関する話で、特に合計出生率関連の話が多めになっています。・準新刊<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・既刊<韓国の借金経済(扶桑社新書)>、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。