今回の日米首脳会談、かなり大きな案件がいくつも報じられています。いままで本ブログでも2~3回取り上げましたが、経済安保において、安倍総理から続いた日本の「自由で開かれたインド太平洋」政策そのものが、さらなる実を結ぼうとしているのでしょう。「駐日米軍と自衛隊の施設共同使用がさらにスムーズになる」など新しい話も出ていますが、オーカス協力などの続報も出ています。中央日報が(元記事はファイナンシャル・タイムズ)「もう日本のオーカス(ピラー2)加入の議論が始まっている」と報じる、などです。
また、案件だけでなく、今回の首脳会談の共同声明、成果関連文書などに明記するということで、韓国メディアも日米の動きを結構大きく報道しています。ファイナンシャルニュースが「米韓同盟の地位は揺るがないという私たちの希望とは異なる結果になる可能性もある」など、意味深(深いのか浅いのか)な記事を載せたりしています。ただ、総選挙関連ニュースが多すぎで、ちょっと目立たなくなっています。そんな中、アーミテージ・ナイ6次報告書をもとに、ソウル経済のワシントン特派員が、「米国は、日本をグローバルリーダーにしようと思っている」という題の記事を載せ、「韓国をG7(G9)に入れるという部分だけ報じられているが、その真の意味は別にある」との見解を示しました。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・「大統領選挙で誰が勝つにせよ、米国の孤立主義と信頼性に対するピンチは続くでしょう。そのため、グローバル、及び地域内のリーダーシップは、ますます東京が背負うことになります」。4日(現地時間)米ワシントンDCの著名なシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)で、このような内容を盛り込んだ「アーミテージ・ナイ」6次報告書が出た・・・・韓国内では、今回の報告内容と関連して、韓国と日本が「共同安保宣言」を採択し、安保協力を加速し、主要7カ国(G7)を韓国やオーストラリアなどを含めて拡大改編することが必要だという部分が、重点的に報じられた。 実際、報告書は「日米関係の深度ある統合はオーストラリア・フィリピン・韓国・台湾などとの関係強化の中でなされなければならない」と韓国との共助を強調している。しかし、アーミテージ報告書をより深く分析する日本メディアは、今回の報告書が提示した方向性に注目している。米国のリーダーシップが揺れる中、日本がアジア地域はもちろん世界的にその空白を埋めなければならないという提言だ。日本経済新聞は「米国が内部に目を向けながら、日本が同盟を背負わなければならないというのが米専門家たちの要求」と分析した。
4年前の2020年5次報告書のタイトルだった「同等の同盟(equal alliance)」が、今回は「統合された同盟(integrated alliance)」に変わったのは、このような方向性を象徴的に見せている。日米関係が、もう同等さを超えて、一体のように動いて、さらに日本が主導権を行使できるようになるべきだ、という意味だ。報告書は「米国の役割に対して、大いに異なるビジョンを提示される(※米国)大統領選挙キャンペーンを考慮すると、米国の関与に対する未来は不確実だ」とし、「日本はポピュリズムと孤立主義という衝動を避けたため、(リーダーの)役割に適している」と明らかにした。また「安倍晋三元日本首相はインド太平洋戦略の設計者であり、彼の後継者たちはこれを完璧に継承している」と付け加えた・・
・・10日、日米首脳会談で発表される内容も、報告書が提示した方向と同じだ。駐日米軍司令部と自衛隊間の指揮統制連携を強化し、日本周辺で展開する米軍の空母修理を日本に任せ、日米両国が武器を共同開発・生産することなど、日米関係の根幹を変える内容が大挙発表される予定だ。続いて、日米首脳会談の翌日の日本・米国・フィリピン首脳会議では、中国に対し三国海軍が共同で南シナ海を巡回する案も調整されている。各種国際紛争と政治的リスクにより、米国がインド太平洋に安保資源に集中するのが難しくなり、米国の伝統的役割の相当部分を日本に委任するということだ。ジョーバイデン米大統領の最側近であるラームエマニュエル駐日米大使は「今回の日米首脳会談は、典型的な首脳間の出会いではない」とし「一つの時代が終わり、次の時代が開かれることである」と意味を与えた(ソウル経済)・・>>
結局は、G7拡大の話も、日本をリーダー役にするためのものなのに、なんでそこだけ報じているのか・・という危機感の漂う記事です。引用部分にはありませんが、記事は「日米同盟に属する形にならないよう、『高度の』戦略が必要だ」としていますが、どうでしょうか。報告書にある「大統領選挙で両候補の路線があまりにも異なる」という指摘、これ、韓国大統領選挙にもっとぴったりな指摘だと思いますが。そういえば、G8かG9の話が出た時、一部、「経済とか国力とかそんな話ばかり取り上げるけど、政権交代で外交路線が急に変わり過ぎるので、難しいのでは」と指摘するメディアもありました。さて、日本としては、これを「責任が増える」と「権利が増える」の両方のバランスを取る必要があるでしょう。これもまたそう短期間でできることではないでしょうけど。もちろん、私はそういう日本を応援しています。
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