韓国の政府債務について・・「政府債務GDP比50%」、多いと見るか少ないと見るか

韓国の政府債務についての記事が複数出ているので、わかりやすいのをチョイスしてみました。韓国の場合、民間債務(家計債務、企業債務など)はかなり大きく、特に返済能力についてずいぶん前から指摘されてきました。特に家計債務の場合は、約1850兆ウォンで、経済活動人口2800万人のうち約2000万人が家計債務集計対象で(自営業者600万人は別枠)、その2000万人は平均DSR39.9%すなわち年収の40%を返済に使っていて、それでも家計債務総額の53.7%が満期一括償還式である・・という、よくわからない状態になっています。しかし、政府の債務関連では、比較的健全とされてきました。しかししかし、その「政府債務は健全」という流れにも、反論が聞こえてくるようになりました。

おおまかに二つのきっかけがあります。一つは、「ハードカレンシーを持っていない国の財政を、ドルや円などを使う国の財政と比較しても意味がないのではないか」という主張の台頭です。といってもまだマイナーですが。政府債務は日本の赤字が大きすぎで「韓国はまだまだ健全では」な気もしますが、様々な見方があります。本ブログでも紹介したことがありますが(去年10月16日)、「ハードカレンシーを使わない11カ国政府債務データ」を、その11カ国だけで比べたほうが実質的に意味がある、という見解があり、実際、IMFが集計しています。で、そのD2債務(一般政府債務)を調べてみたところ、韓国が(GDP比D2政府債務で)4位でした。2018年40%から2022年53.8%にまさに急増で、このままだと5年後にはシンガポールに次ぐ2位になる、とも。ちなみに、その11カ国、政府債務を40~50%の間に調整するのが一般的だという話もあります。

 

もう一つは、増加スピードです。ここからは国内データなので先のIMFデータとは基準が異なりますが(こちらはD1、すなわち非営利とされる公共企業の債務などは含めないデータです)、「健全」とされた政府債務がGDP比で30%を超えたのが、2011年でした。ですが、9年後の2020年に40%になりました。これでも増加スピードが速いとか言われていましたが、2023年、50%を超えました(50.4%)。文在寅政権での政府債務の増加を「政権の問題」とし、健全財政を公約としてきたユン政権。これはかなりきびしい数値で・・朝鮮日報も「これのどこが健全財政だ」というインパクトのある題の記事を載せました。ソース記事にはありませんが、一部、「総選挙の翌日に発表したのも、『そういうこと』ではないのか」という話も出ています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・昨年、政府債務(※原文では「国家債務」)が1126兆7000億ウォンで、1年前より59兆4000億ウォン増えたと企画財政部が11日明らかにした。国内総生産(GDP)に対する国家債務の割合は50.4%で、初めて50%を超えた。新型コロナが起きた2020年に40%を超えた国家債務比率が、わずか3年ぶりに50%を越えた。その増加速度が上がってきたのだ。政府は11日、国務会議でこのような内容の「2023会計年度国家決算報告書」を議決した。中央政府と地方政府債務はそれぞれ1092兆5000億ウォン、34兆2000億ウォンと集計された。政府債務比率は2011年に30%を超え、40%台に上がるまで9年かかった。しかし、40%台から50%台になるまでにかかった期間はその3分の1だった。それだけ経済成長の速度に比べて国の債務が増える速度が上がったのだ・・

・・去年、今までで最大となる56兆4000億ウォンの「稅收不足」を記録するなど総収入が減り、財政健全性も低下した。昨年の総収入から総支出を差し引いた統合財政収支は36兆8000億ウォンの赤字で、GDPの1.6%だった。統合財政収支から国民年金・雇用保険など4大社会保障性基金の黒字を蹴り、実質的な国の暮らしを見せる「管理財政収支」は87兆ウォン赤字で、GDPの3.9%に達した。これは「健全財政」を前面に出したユン政権が推進する財政準則基準(GDP比管理財政収支赤字比率3%以内)を超えたものだ(朝鮮日報)・・>>

 

これくらいでなにか大きな問題になるとは思えませんが(家計債務などに比べると)、政府としては、明らかに『財政支出』を意識するようになるでしょう。そういえば昨日の半導体関連税金控除の話もそうでしたが・・(野党の反対があったとはいえ、思ったより少なく、いままで補助金などもありませんでした)最近、政府が企業や自営業者などに直接補助金を出す、または何かの保護措置を取らず、「銀行に任せる」「民間に任せる」などの話が多くなりました。税収不足(特に不動産関連で)の話もまだまだ聞きますし・・ユン大統領の大冒険は続きます。あ、ちなみに管理財政収支というのは、韓国にしか存在しない妙な数値だと言われています。集計するようになってからまだ数年しか経ってないとも聞きますが・・なんで韓国にだけこんな項目があるのか、詳しくはわかりません。

 

 

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