大きく話題になったわけではありませんが、パリオリンピック関連で、複数のメディアが「金メダル5~6個予想」記事を出しています。予想は、大韓体育会公式発表によるものです。金メダルだけではなく、そもそも予選をクリアーした選手が少なく、選手団の規模も180人ぐらいで、ニュース1は「48年ぶりの少なさ」としています。1984年ロサンゼルスオリンピックで金メダル6個でした。最近、オリンピックだけでなく、国際大会などで韓国スポーツの弱体化が目立っています。各記事は、これを現状の「エリート体育」の限界だと指摘しています。
韓国では、選手育成を基本的に「国家代表育成」メインでやります。他のもの、たとえそれが学生時代の学業だとしても、スポーツでの成績以外は重要視されません。韓国ではこういうのを「エリートスポーツ」と言います。日本の場合は逆で、「生活スポーツ」と言います。しかし、エリートスポーツの領域(国家代表になるために育成した選手たちによる試合)でも、もう日本が強いのは一目瞭然です。各紙は、これを「エリートスポーツをメインにするのは、もう限界」としていますが・・社会的に、それ以外の道があるのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・金メダル5~6個。2024パリオリンピックに出場する選手団が掲げた目標だ。弱めに、控えめに言っているものではない。現場では、本当にそうなるという不安が大きい。衰退するエリート体育の現在を現すものであり、大会に参加する出場選手規模も200人を下回ると見られる。100年ぶりに再びパリで開かれる2024オリンピックが、現地時間で7月26日開幕する。イギフン大韓体育会長は今回の大会韓国の予想を金メダル数で5~6個とした。フェンシングとアーチェリー以外だと、どの種目でも金メダルを手に入れられないという話だ。実際、最近韓国スポーツの国際舞台での地位は下がる一方だ・・
・・2004アテネ、2008北京、2012ロンドン、2016リオ・オリンピックですべてトップ10に名前をあげた。だが2021年に開かれた東京オリンピックでは総合16位(金6、銀4、銅10)だった。新型コロナの影響があったが、他の国も条件は変わらない。2024年パリオリンピックの場合、さらに深刻だ。そもそもオリンピック予選をクリアーできなかった種目も多い。ボクシング、レスリング、ハンドボールなど、いままではメダル畑のようにされてきた、いわゆる「親孝行種目」に挙げられた種目は、予選通過だけも難しくなった。
自然に、参加選手団の規模も減った。大韓体育会は今回のオリンピックに出場する選手団規模を180人前後と評価している。50人を派遣した1976年モントリオールオリンピック以来48年ぶりの最小規模だ。ちなみに東京オリンピックに選手232人(役員122人)、リオ大会に204人(役員129人)、ロンドン大会に248人(役員129人)などを派遣した。1976年モントリオール大会(金1、銀1、銅4)以後、もっとも低い成績を出すこともあるという懸念もでており、トップ10はおろか20位圏の外に出るのではないかという予想も少なくない(ニュース1)・・>>
前にも紹介しましたが、日本で「部活」を知った市民記者が、驚きとともに書いた記事があります。授業にも出ず、運動だけさせられた記者の学生時代の経験の話とともにしたもので、2019年2月15日オーマイニュースです。は「私たちの場合は、全国大会で良い成績を出さないと、大学に行けない。そのため、すべてをかけて大会で成績を残そうとする。しかし、日本ではそうしない。普段は、部活活動とともに学校の授業も着実に受けているからだ。甲子園で優勝したチームのエース選手たちも、進学して名門大学に入る場合が少なくない」、「いまも、私たちの学校スポーツは何も変わっていない。少数の選手を選んで、勉強はせず、ただ運動だけする機械として育てる。その中の一部だけが(※大学スポーツチームなどに)進学できる。ほかは何の安全装置もなく放り出されるシステムだ」・・
・・「エリート体育という言葉、 誰が作ったのだろう。10%だけエリートを作って、残りの90%は社会に適応できない人にするものなのに、それのどこがエリートシステムだ」などと話しています。いわば、エリート体育は、『私教育』に似ています。スポーツを目指す人以外は、私教育を受けます。スポーツを目指す人たちは、エリート体育を受けます。そういったところでしょう。そんなシステムの中で、「生活スポーツ」で生きる方法はあるのでしょうか。私教育が問題だと誰もが認めるけど、やめる人、自分の子に私教育をしない人はそういません。それと同じでしょう。
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