日本の14倍とされていた韓国企業の賃金未払い、今年はさらに40%急増(1~3月、前年同期比)

これもまた、本ブログで1年に3~4回は取り上げる案件ですが、韓国の賃金未払い関連です。もともと韓国でも、ソル(旧暦元日)とチュソク(秋夕、旧暦8月15日)、1年2回だけはこの件を大きく取り上げます。でも、最近は、期間別のデータが発表されるたび、ちゃんと報じられるようになりました。主に建設業の影響などで、大幅に増えているからです。一部のメディアは、景気がどうなのかもっともはっきり分かるデータだ、とも報じています。SBSなど複数のメディアによると、いままでは2023年が最高記録でしたが、今年1月~3月、前年同期比で約40%も増えた、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・昨年、最大を記録した賃金未払いが、今年に入ってからも、なんと40%も急増し、懸念が大きくなっています。雇用労働部によると、今年1月~3月期に未払いされた賃金は5718億ウォンと集計されました。これは昨年同期(475億ウォン)より40.3%も急増した金額です。現在の傾向が続くと、賃金未払い額は上半期だけで1兆ウォンを突破する可能性があります。賃金未払い額は、昨年最大を記録しましたが、今年に入ってさらに急増しているわけです・・

 

・・年度別で見ると、賃金未払い額は2019年1兆7217億ウォン、新型コロナが大流行した2020年1兆5830億ウォン、2021年1兆3504億ウォン、2022年1兆3472億ウォンで、減少していました。しかし昨年には1兆7845億ウォンで、その前年より32.5%急増して最大を記録しました。さらに、今年の1月~3月期の賃金未払い増加率は、昨年の増加率よりも高い40.3%に達し、懸念はさらに強くなっています。賃金未払いが増えた原因としては、全体的な景気低迷とともに、建設業界の不況が挙げられます・・・・昨年も建設業界の不況は賃金未払いの急増の主な原因として挙げられました。昨年の建設業賃金未払いは4363億ウォンで、全体の滞納額の24.4%で、前年(2925億ウォン)より49.2%急増しました(SBS)・・>>

 

「2017年~2021年までの5年間、未払い賃金が7兆ウォン。同期間の日本の未払い賃金に比べると14倍規模」とされている、る賃金未払い問題(朝鮮日報、2022年6月4日)。いままで政府もいろいろと対策を打ち出しましたが、これといって効果がありませんでした。100万ウォンの賃金が受けられないでいる労働者がいると仮定した場合、もし経営者が『50万ウォンだけで済ませるなら今すぐ払うけど、どうする?』と提案します。労働者としては、資金的に余裕のない、いますぐお金が必要な場合が多いので、その提案を受け入れるしかありません。

この場合、合意とみなされるため、「労働者を保護するための各種措置」は何一つ適用されません。こういう側面をわざと利用している業者も少なくありません。ちゃんと払えば100万ですが、あとで払うと、50万でなんとかなるからです。京郷新聞(今年1月25日)は専門家(労務士など)の意見として、「賃金未払い共和国になってしまったのは、企業側が賃金を遅く支払うするほど得をする仕組みを放置してきたからだ」、「賃金未払い額が最高値を記録したのは、景気不況による部分もあるだろうけど、政府の対策がきちんと効いていないからだ」としています。

 

ただ、政府の政策が効かなくなった理由が企業側「だけ」にあるのか・・と言いますと、そうでもありません。代支給制度があります。いろいろと証明できる書類が必要ですが、いったん国が賃金未払い分を支払って、それから企業側から国が受け取る制度です。新型コロナ対策の一つとして、2021年、政府はこの代支給に必要な条件(証明書類など)を大幅に緩和しました。最近不景気ということもあるし、賃金未払いも増えたので、一応この緩和措置は維持していましたが・・しかし、4月19日韓国経済の記事によると、緩和してから「本当は賃金未払いでもないのに、国に支払いを要求する」人が増えすぎで、結局、元通りに書類証明などを強化することにした、とのことです。ユンたんも大変ですね、いろいろと。

 

で、ここから新刊のご紹介となります。おかげさまで、2024年5月2日、「Z世代の闇」という本が発売されます。20代、30代の世界観に関する本ですが、その前の世代である私が彼らについて「知っている」というのは、あまりにも一方的ではないでしょうか。彼らには彼らの世界があるわけですから。でも、社会というのは受け継がれるものであり、いまの韓国の20代、30代は、前の世代からどんな世界観を受け継ぎ、どんな世界観の中で生まれ育ったのか。それが、どんな形で表れているのか。そんな考察の本です。ありがとうございます。

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売されます(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
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