半導体関連もそうですし、日米同盟などもそうですが、「米中対立で日本『だけ』が大いに得をしている」という話。前から定期的に(?)出ていた話題ですが、特にユン政権になってから、韓国メディアのこういう記事が一気に増えました。特にインパクト強かったのが、ユン大統領就任初期、バイデン大統領の訪韓および米韓首脳会談のときです。当時、最初は「先に韓国『から』来た」という話で大いに盛り上がり、会談内容も『新しい未来』などとかなり好評でした。
文政権の後ということもあって、確かに雰囲気は良くなったものの、具体的な話がなく、一部のメディアは「方向性はともかくして、そこまで良かったのか?」という記事を載せたりもしました。それからバイデン大統領が訪日、日米首脳会談をしてからは、各メディアの論調が変わり、「バイデン大統領は、事実上、良いものは日本にプレゼントした」という記事が増えました。あくまで一説ですが、当時、ユン大統領はバイデン大統領とクアッド首脳会議のためにそのまま日本に行く構想だった、という話もあります。
東亜日報(2022年7月7日)によると、「ユン大統領就任式に岸田文雄日本首相が出席し、その10日後、ジョーバイデン米国大統領が訪韓、米韓国首脳が一緒にクワッド(米日印豪4カ国)首脳会議が開かれる日本に行くという、もっともらしい構想だった」、と。実現しませんでしたが、それこそ「ユン大統領が考えた最高のシナリオ」だったのでしょう。最近の日米関係(というか、自由民主主義陣営の動き)に関しても、同じく「こっちは十分与えたのに、相応の対価がもらえないでいる」「良いものは日本がもらっている」という話がまた増えてきました。地上波放送SBSが、「良いものは全部日本に行く」というわかりやすい題の記事を載せましたので、以下、<<~>>が引用で引用してみます。
<<・・アメリカと中国の間で、日本が笑っています。アマゾンやマイクロソフトのような米国ビッグテック、また先端企業が、日本に投資するというニュースが相次いでいますが、米中の対立が影響を与えたものと見られます。「良いものは日本に行く」という言葉が出てくるほどです。世界最大の半導体委託生産企業である台湾のTSMCが日本ソニーなどと合弁したJASM、熊本第1工場。2月に第1工場の開所に続き、TSMCは7兆ウォンを投資してくる2027年までに第2工場も建設すると発表しました。【TSMC創業者「私は日本の半導体生産のルネッサンスが始まると信じています」】・・・・米国のIT大企業オラクルは、今年から10年間、データセンター増設のために日本に11兆ウォンを投入すると明らかにしました。マイクロソフトは先週、岸田首相の訪米に合わせて4兆ウォン規模のデータセンター投資計画を発表しました。
これに先立ち1月にはAmazonもクラウドサービスなどに20兆ウォンを投資すると明らかにしました。いわゆるビックテック、先端企業が我先にと日本を訪れることが相次いでおり、それは米中対立と無関係ではありません・・・・個人データの海外移転を制限する日本の政策も、AI開発に重要なデータ流出を防ぐべきビッグテック企業の需要と合致しました。ここに、莫大な補助金や税額控除など日本政府の破格的支援まで加わり、投資誘致が拡大しているのです。投資の増加に伴い、雇用も増え、日本経済の長期低迷脱出に速度がついている、という評価です(SBS)・・>>
いつものことですが、「相応の責任も同時に発生する」という見方が、どこにも見当たりません。去年の夏、米国で日米韓首脳会談があったときのことです。与党国民の力の(当時の)キムギヒョン代表が、「これで私たちはルールテイカー(ルールを守る側)からルールーメーカー(規則を作る側)になった」と発言しました(8月21日、CBSノーカットニュース)。「国民の力が21日、アメリカのキャンプデビッドで開かれた日米韓国首脳会議の結果について、「我が国が、国際社会でルールにしたがうルールテイカーではなく、自主的なルールメーカーとして立ち上がる最初の一歩を踏み出した」と評価した」、と。権利だけでなく、責務も合わせて考えているとはとても思えない発言です。米中関係、日米韓関係を気にしているなら、良いものがどこへ行ったかより、総選挙の票がどこへ行ったかを考えたほうがわかりやすい気もしますが。
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