フィナンシャル・タイムズ、韓国経済の構造的問題を指摘・・「漢江の奇跡はもう終わりか」「いまだ模倣で先進国に追いつくモデルのまま」

ファイナンシャル・タイムズが、「Is South Korea’s economic miracle over?」という記事を載せました。記事はデータを引用、2030年のGDP成長率が0.6%まで下がるだろうとしながらいろいろ書いてありますが、その中には、本ブログで取り上げてきた内容と重なる部分も目立ちます。中央日報、毎日経済など多くのメディアが報じています(オリジナル記事:ファイナンシャル・タイムズ)。記事が指摘しているのは、基本的に「構造」です。気のせいかもしれませんが、20年位前から日本経済に批判的だった(それらの内容が当たったかどうかは別にして)海外メディアの記事とよく似ています。構造的に変えなければならないのに、それができないでいる、というのです。以下、毎日経済から<<~>>で引用してみます。いつもより引用長目です。

<<・・漢江の奇跡の寿命が尽きたという指摘が出た。22日、フィナンシャル・タイムズ(FT)はこの日、アジア版の紙面を通じて「韓国の経済奇跡は終わったのか」という題の企画記事を報じた。この日、FTは、半導体、人工知能(AI)など多様な先端産業分野の専門家や経済学者たちとのインタビューを紹介し、国家主導資本主義で急激な経済成長に成功した「漢江の奇跡」が、製造業大企業に依存した古い経済成長モデル、高い家計債務とジ◯ツ率、少子高齢化、中国の技術発展、源泉技術の不在などを理由に、尽きていると指摘した・・

 

・・(※300兆ウォン規模の半導体クラスタ投資を進めている点を紹介しながら)FTは「しかし、経済学者たちは、韓国政府の製造大企業の成長動力を強化する政策は、既存の経済成長モデルを改革しようとする意志が足りない、または力が足りないと明らかにするだけだ、と懸念している」と付け加えた。これは過去の成功公式にとらわれ、韓国の潜在成長率がますます下がっている現実を指摘したものだ。パクサンイン ソウル大行政大学院教授はFTとのインタビューで、「外部では、韓国をダイナミックだと思っているが、模倣を通じて先進国に追いつく経済構造は1970年代以降、根本的に変わらなかった」とし、韓国は半導体やバッテリーなどの技術商用化には強みがあるが、新産業育成のための「源泉技術」の開発には脆弱だと指摘した・・

 

・・また、これまで韓国経済の成長を主導してきた「財閥」が率いる大企業集団のリーダーシップも、成長志向から現状維持に基調が変わったという点も問題だとした。パク教授は「現在、オーナー3世が多数経営陣として参加した大企業が、成長志向的な思考から、現在志向(※現状維持)的な思考に変わった」と指摘し、韓国の技術力は、米国のビッグテックと中国の浮上という2つの影響に加え、サムスン、LGが大規模投資を行っていた2011年あたりが、すでに頂点だったと主張した・・

・・今や中国企業が先端半導体を除くほぼすべての分野で韓国の競争会社に追いついたし、いままでは顧客または下請け会社だった中国企業が、もう韓国企業の競争者になった・・・・(※低出産・高齢化など人口構造にかかわる社会問題の原因の一部も、大企業中心の経済成長にあるとしながら) 教授はFTに、大企業が多くの中小企業に納品価格を圧迫した結果、労働者の80%が雇用された中小企業は、職員や設備に投資する資金が不足し、生産性と革新という側面で力を失うことになったと話した。いままでは、財閥を育成・支援することで、海外の競合他社との競争に勝てるというのが、大企業支援の理論的根拠だった。今は、大企業は国内革新を妨げ、革新に脆弱になった」と付け加えた。

 

2021年基準で、韓国GDPの半分近くが、全体労働者の6%を雇用した大企業による。韓国の大企業・中小企業に両極化された産業構造は、社会的・地域的な格差を生み、青年層の無限競争を呼び起こし、低出産などに影響した・・・・このような古い成長モデルは、今年4月の総選挙で「ねじれ国会」政局が広がり、さらに解決が難しくなることになったという指摘も出た。FTは「今年4月の総選挙で左派政党が勝利し、左派が掌握した国会と人気のない右派の行政府に二分され、2027年次期大統領選挙まで3年以上のデッドロックが発生する可能性が高まった」と評価した(毎日経済)・・>>

他にも、「私教育費の支出は増え、出生率は下がり続けている」「年金、住宅、医療改革は停滞したまま」「大企業への国家経済依存度を減らす、企業価値を高める、ソウルをアジア金融ハブにするという、ずいぶん前から聞こえてきたキャンペーンは、ほとんど進展がない」などなどと書いています。低産業用電気料に対して、「製造業に事実上の産業補助金として安い電気を提供してきた国営電力会社韓国電力は、1500億ドルに達する債務を積み、安価な電気料と人件費という古い成長モデルの根幹が揺れている」、とも。また、半導体やバッテリーなどでも、いまだシェアは高いし商用化にも強いものの、いわゆる基盤技術に弱いため、日本、中国の革新にどんどん追いつかれている、としています。なんか、いろいろ「まとめ」たような感じの記事ですが、『構造』ってそう簡単に変えられるものではないから、問題です。

 

 

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