人民日報系列の「環球時報」の英文版、「グローバルタイムズ」というメディアがあります。そのグローバルタイムズが、韓国のG7(G8、G10案など)入りに関する記事を載せました。今回、イタリアG7首脳会議に招待されなかったことなどで、「韓国はG7には入れない」「その理由は、日米中心の外交路線にある」「日本はG7での自分の影響力を守ろうとしている」などの内容です。中央日報など複数のメディアが、結構大きく取り上げています。「中国の立場からして、韓国が日米中心の外交にならないよう、牽制しているだけではないのか」という見方も可能です。というか、グローバルタイムズが中国官営メディアなのかどうかを知っているかどうかで大きく見方が変わる内容でもあります。
しかし、重要ポイントは、それらの意見が、実は韓国内でも提起されている、一部は定説になっている意見ばかり、という点です。今回だけでもありませんが、中国側が韓国関連で「日米」を持ち出すときはいつもそうですが、表面的には「中国の見解」としているけど、実はそれは「韓国内に存在する見解」でもあります。これは、外からだけではなく、韓国の内側から同様の主張が強くなるように仕向ける意味もあります。日米中心の外交が~というのはとにかく、「日本がG7での自分の影響力を守るため、韓国のG7入りに反対している」という話は、韓国内では結構有名な話で、多くのメディアが定説のように扱っています。以下、<<~>>で、グローバルタイムズ関連の記事(今日、中央日報)を引用してみます。
<<・・23日、中国官営メディアが、韓国が6月イタリア主要7カ国(G7)首脳会談に招待されなかったことに対して、「ユン政権の外交失敗である」と主張する記事を掲載した。メディア(※グローバルタイムズ、他に環球時報にも似たような趣旨の記事が載っています)は、韓国のG7加入を日本が反対していると主張した。中国人民日報系列の英文媒体であるグローバルタイムズはこの日、「韓国のG8の夢がこわれたのは、西側がそれを望まなかったということを示す」というタイトルのコラムを載せた。この記事は、「G7の一席を望んできた誇らしい大韓民国は(※妙な文章ですが原文ママです)、6月イタリアで開かれる今年G7首脳会議に招待されなかった」とし「韓国が思っているほど、西欧からは重要と思われていないことを示す結果」とした・・
・・続いて「中国との関係を犠牲にして西欧と連帯を強化した現政権の外交政策がもたらした結果」と主張した。また「韓国がG7に加入する上で日本が最大の問題」とし「日本は米国が主導するサークルで日本の影響力が弱くなることを望んでいない」と主張した。メディアは「G7のエピソードは、多くの西側国家が韓国を重視していないことを示した」とし「多くのグローバルイシューにおいて、韓国は発言権がなく、西側国家が費用を支払うときだけ、必要とされるだけ」と話した。
続いて「いままでG7が韓国に関わってきた理由は、韓国に高い戦略的価値を与えた中国との友好関係のためだった」と主張した。メディアは、「韓国が世界の真の尊重を望むならば、その努力はG7に焦点を合わせるのではなく、中国と対立する米国だけを追いかけることをやめ、国益のための成熟した決定を下さなければならないだろう」とし、「グローバル中枢国家(※ユン政権の代表的なスローガン)になるには、丈夫な脊椎が必要だ」と付け加えた(中央日報)・・>>
いや、でも、文在寅政権でもG8には入れませんでしたけど。グローバルタイムズは「欧米は関心がない」としていますが、韓国内では「米国は賛成している」と「日本が反対している」いう主張がセットになっていることが多いです。米国は賛成している、とすることで、右も左も関係なく「そういうこと」と認めている(保守側は米国に同調することが基本)、そんな側面もあります。2023年5月には、中央ホールディングス(中央日報)のホンソクヒョン会長が岸田総理と対談して、「こういう話がありますが、どう思われますか」と、なんと岸田総理に直接質問したこともあります(2023年5月15日中央日報の記事)。同じく「米国は賛成しているのに~~という見解がありますが」という質問に、岸田総理は、「それは事実と異なります。なにせ、そのような(G7拡大、G8など)議論は、いままでありませんでしたから」と答えました。米国側も、同じスタンスです。そもそも枠を拡大する案が議論されたことがない、と。
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