2022年秋あたりから、円安関連記事が増えました。日本もそうですが、韓国もまた批判記事がメインで、『ほかでもない日本メディアがそう言っている』というふうに、ほぼすべてのメディアが多くの記事を載せました。2022年秋あたりだと、韓国では基準金利の引き上げによる家計債務も利子負担が大きくなった時期でもあります。詳しくは、そこまでも少しずつ金利を上げていたものの、10月から中央銀行の金利引き上げが本格化しました。金利引き上げによる数々の問題の中、「基準金利を上げない日本は円安でこうなっている」とする論調で・・なんというか、「心理的な安らぎをもとめた」と書けばいいのかな、そんな心理もあったのではないか、そんな気もします。
円安も円高も、結局は「急激に」動くのかどうかが問題でありましょう。もちろんそういう側面を指摘する記事もあるにはありましたが、基本的には円安批判がメインでした。個人的に特に記憶に残っているのは、。KBS(2022年10月21日)の「我が国にも影響するので、日本の国運があまりにも早く衰退しないことを願うだけです(直訳)」という記事と、韓国日報日本特派員が書いた記事(同日)です。「(韓国ではドル円が150円になったことで大騒ぎになっているが)とても平穏で、出勤する証券会社の職員たちに『金融危機が迫ることもあると思うか』と聞いたところ、みんな『初耳ですが』とびっくりした、彼らが心配するのは物価だった」という内容の記事です。
最近もそんな感じで、一部のメディアが「円安のいいところ、よくないところ」のバランス的な報道をしていますが・・元ソースは日経新聞やTBSなど日本メディアですが、左側とされるハンギョレ新聞が、ちょっと以外なことに『バランス』記事を載せました。記事は前半部で円安による企業の負担を報じ、後半部は円安によって好実績を残した企業を報じています。どちらがいいのかという結論を出そうとせず、両方伝える姿勢は、もとが外国メディア(日経新聞)の記事とは言え、珍しいと言えます。日本など海外のメディアがこういうバランス記事を報じても、『円安による負担』部分だけ紹介するメディアもありますので。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・日本市場調査機関である東京商工リサーチによると、昨年円安で困難を経験して畳んだ企業は56カ所で、前年比1.5倍に増加したと集計された。特に内需産業中心の中小企業の負担が大きくなっている。輸入価格上昇と円安がダブルで企業に負担を与え、製品値上げも困難な企業は、耐えられなくなったわけだ。実際、昨年物価上昇のせいで倒産した企業も前年比1.7倍の684件に達したことが把握された。耐えられる企業の場合も、いったん控えめなスタンスを取っている。日本経済新聞は日本財務省法人企業統計を引用し、資本金1000万円以上~1億円未満の中小企業が保有する現金・預金が、昨年末基準で141兆円で、10年前と比べて1.7倍も上昇したことを確認 した。同紙は「中小企業が現金・預金を積んでおく姿であり、景気対する保守的な態度を垣間見ることができる」と述べた・・
・・ただし、円安現象ですべての企業がよくない影響ばかり受けるわけではない。日本国内全体の企業として見た場合、失うよりもむしろ得られることが多い、という見方もある。実際、去る3月に集計された2022年の日本上場製造業の純利益が史上最高値を更新したが、経済界は主な原因の一つとして円安現象を挙げている。去る8日、2023年実績を発表したトヨタ自動車が売上高45兆円(前年比21.4%増加)、営業利益5兆3500億円(96.4%増加)など史上最高成績を出したのが代表的だ。 日本テレビ(TBS)ニュースはこの日、「実績の背景に新車販売の増加とともに、円安によって営業利益が増えたことが主な要因に挙げられる」と述べた。当時佐藤恒治トヨタ自動車社長は「このように車を作って顧客にあたえることができ、どうやって感謝すればいいのか分からない」と感謝の意を伝えた・・
・・振り返ってみると、2011年東日本大震災の後、日本産業界が6つの困難を訴えたが、その事案の一つが「円高」だった。日本政府と日本銀行に円の価値の下落を要求したのも日本企業だった。これに対し、日本経済新聞は「現在の状況を悪い円安と断定できない側面があるのも事実であり、円安と円高の両方が過ぎると、安定した企業活動と消費活動を妨げる」とし「今できることは円安効果を最大限に生かす経済構造改革だ」とした(ハンギョレ新聞)・・>>
引用最後の日本経済新聞の部分が、そのまま「オチ」になってくれている気がします。あとは、円安による国家レベルの利益を、何かの形で「日本のため」活かす方法を考えることも必要でしょう。言うまでもなく、政府も考えているでしょうけど。さて、最後に告知ですが、おかげさまで好評の拙著「Z世代の闇」の抜粋記事が、FNNプライムオンラインに掲載されました。すべて4つあります。もしよろしければ、ぜひお読みください。3つがコラム、1つが「国際」カテゴリーです。ありがとうございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。