IMFの「ゾンビ企業(2000年~2021年平均)」統計、韓国7位

インタレストカバレッジレシオ、利子補償倍率について、何度かエントリーしたことがあります。これが1にならないと、「企業が稼いだ収益より利子のほうがより多い(東亜日報の用語説明より)」という意味になります。こういう状態が続くと、その企業をゾンビ企業、限界企業などと言います。ただ、定義が異なるのでちょっと注意が必要です。IMFの場合、「ゾンビ企業」を「利子補償倍率が1未満であり、レバレッジ比率(総債務/総資産)が同種業界の中位値より高く、売上増加率がマイナスの状態が2年連続で続いた企業」を意味します。ソース記事で取り上げている報告書は、上場企業だけです。

そのIMFの報告書を、複数のメディアが記事にしています。もともとは2023年1月にIMFが出した報告書ですが、韓国銀行が韓国の企業債務などを話しながらこの報告書を取り上げたためです。ニュース1などによると、IMFが2000年から2021年まで(平均値)64カ国の「ゾンビ企業(ニュース1では「限界企業」と「ゾンビ企業」両方で表記しています)」を分析した結果、韓国が7位(7番目に該当企業が多い)とのことでして。オリジナルの報告書はIMFのHPからダウンロードできます。報告書に詳しく何位なのかは書いてませんが、報告書47ページのFigure C.6を見てみると、日本は50位前後に見えます。ソース記事には64カ国と書いてありますが、このC6には62カ国しか載っていないような気もしますが、私の数えミスでしょうか。以下、<<~>>でニュース1から引用してみます。

 

<<・・金を稼いでも利子すら返済できなかった韓国の限界企業の割合が64カ国のうち7番目に高いことが分かった。これで韓国はカナダと共に、いわゆるゾンビ企業が多い先進国ということになったと言える。21日、韓国銀行によると、国際通貨基金(IMF)が昨年、主要国の限界企業比重(上場企業基準、2000~2021年平均値)を調査した結果、韓国が13.4%を記録した。これは調査対象の64カ国のうち7番目に高い水準だ・・・・IMFが定義した限界企業とは、利子補償倍率(営業利益/利子費用)が1未満であり、レバレッジ比率(総債務/総資産)が同種業界の中位値より高く、売上増加率がマイナスの状態を2年連続につなげた企業を意味する・・

 

・・2年連続で、経営活動を通じて利子も返済できなかった企業の割合が、韓国には他の国より高かったという意味になる。IMF分析で韓国より限界企業の割合が高く現れた6カ国は、ヨルダン、キプロス、ギリシャ、クロアチア、ポルトガル、カナダなどだった。先進国の中で唯一カナダだけが韓国を上回った・・・・これにIMFは「オーストリア、フィンランド、スペイン、ドイツ、オランダ、フランスなどヨーロッパ諸国の上場企業は限界企業の割合が少ない傾向を示したが、カナダ、韓国、オーストラリアなど他の先進国の場合は限界企業の割合が高かった」と明らかにした・・・・IMFはこのような限界企業を「ゾンビ企業(zombie firms)」と呼び、「グローバル金融危機と新型コロナ拡散以後、このような企業が世界的に増える現象が観察されてきた」と付け加えた・・

・・韓銀は前日に出したBOKイシュー・ノート・レポートで、IMFの調査結果に言及し、韓国企業債務の質的低下の可能性を懸念した。報告書は「一般企業の債務比率は比較的良好な流れを見せているが、債務規模の増加や高金利などで、利子返済負担が増え、債務返済能力が低い限界企業の債務比重が拡大するなど、企業債務の質はやや低下 されている点に留意する必要がある」と指摘した。一方、「企業の利子補償比率が2022年以降下落(利子支給能力が低下しつつある)を見せているが、特に大企業の下落幅が、中小企業より大きいことが分かった」とし「ただし、昨年の大企業利子補償比率下落はグローバル半導体市場の下落サイクル進入、主要企業の業績不振に相当部分起因したものと見られる」と分析した(ニュース1)・・>>

 

韓銀は、利子補償比率が3年連続で1未満の企業を意味限界企業とします。外部監査が可能な企業の借入金基準で、2022年17.1%だったとしています。IMFのような細かい基準がないわけですが、韓国銀行の基準だけで見ると、2021年基準で韓国の「利子補償倍率1未満」企業は40%を超えます(2021年)。ファイナンシャルニュース(2022年10月19日)によると、「10月19日韓国銀行が発表した2021年の年間企業経営分析によると、2021年、国内非金融営利法人企業85万8566社のうち、利子補償比率1未満の企業の割合が40.5%に達した。2020年度40.9%で歴代最高値を記録したのに続き、2番目に高い割合だ」、とのことです。 最後に告知ですが、おかげさまで、今回は拙著の抜粋記事が「プレジデントオンライン」に掲載されました。いわゆるZ世代関連の内容です。興味をお持ちの方はぜひお読みください。ありがとうございます。

 

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