日中韓首脳会談、前回に比べて「非核化」表現が弱体化・・その他、共同声明文の内容について

日中韓首脳会談が終わりました。時間的に昨日はお伝えできなかったので、今日取り上げてみます。いくつかのニュース、共同声明全文(聯合ニュース)などを読んでみましたので、気になる部分をまとめてみたいと思います。共同声明文は38項目になっています。1~4は、今回の3国首脳会談が持つ意味、頑張った、頑張る、頑張ろう、な内容です。3に「国際法による協定の遵守が重要であることに同意した」となっていますが、中韓が日本と一緒にこれを言うのもどうかな、と思いました。6~9は「これから3国の協力の方向性」ですが、3つ書いてあります。

一つは各種会談などの制度化、もう一つは各国国民の支持のための6つの交流(人的交流、気候変動対応などによる持続可能な発展、経済通商、保健高齢化、科学技術デジタル転換、災害救援安全)、最後に、3国だけにとどまらず、他の地域への拡大です。10から16までは人的・文化交流、17がシンクタンクなどの協力、18~19が気候問題など、20が黄砂低減などのためのモンゴルとの協力など他国との協力、21が海洋生物保全、22~25がいわゆる自由貿易関連で、24には日中韓FTA関連の話もあります。

 

日中韓FTAは、今回、共同声明には「速度を出す」という内容がありますが、詳しくは「協議を再開することに合意した」といったところです。2019年(日中韓首脳会談が定期的に行われていた頃)まではFTAについて議論があったものの、しばらく中断されていました。一部のメディアが「FTAを加速」というふうに報じていますが(確かに共同声明全文だけ見るとそうなっていますが)、詳しくは「再開しよう、遅れた分、速度を出す」といったところでしょうか。最近は2019年に比べて米中対立が強くなっているし、近いうちになにか結論が出るのは難しいと思われます。日本としてはCPTPPもありますが、中韓としては参加が難しい(韓国は加入意志も確定していない)ので、なおさらです。余談ですが、中韓首脳会談でユン大統領は「中韓FTAの拡大」を提案したというニュースもあります。中韓FTAのほうが先になにか続報が出るのでは、な気もします。

 

26が金融、27が電気自動車などスタートアップ企業関連、28が知的財産権(個人的に、これだけでなく、ほぼすべての項目で『中韓がこれをいうか』な内容ばかりです)、29が保健高齢化問題、30が少子化・高齢化問題関連、31が科学デジタル転換、32がAI関連、33が環境を重視する成長、35が非核化関連、36,37が各種国際イベントなどでの協力、38が「次は日本で開催します」という内容です。35ですが、前回の首脳会談にあった「完全な非核化」という表現が、今回はありませんでした。

35の内容は、「私たちは、朝鮮半島と北東アジアの平和、安定、繁栄が私たちの共同利益であり、共同責任であることを再確認した。私たちは、域内平和と安定、朝鮮半島非核化、拉致者問題に対する立場をそれぞれ再強調した。私たちは朝鮮半島問題の政治的解決のための肯定的な努力を続けることにする」です。前回の日中韓首脳会談にあった「完全な非核化」がなくなったのもそうですが、SBSは「立場をそれぞれ再確認した」となっている部分も指摘し、「目標とする趣旨の表現も消えた」と指摘しています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・ただし、中国は米国をはじめとする関連国の責任を強調しました。3回の首脳会議で3国が北朝鮮の非核化に声を出したものの、今回は北朝鮮や朝鮮半島の非核化が目標であるというフレーズが共同声明に含まれていませんでした(※ソース記事にはありませんが、前回は「完全な非核化のために努力する」としていました)。大統領室のハイレベル関係者は、三国がそれぞれ最も重要な問題を共同声明に反映したもので、中国もこれに反対しなかったのは黙示的な同意を表したものと見られると明らかにしました。北朝鮮が予告した衛星打ち上げをめぐり、韓日首脳は断固たる対応を促しました。

【岸田日本首相:「(北朝鮮が)発射を敢行するなら国連安保理決議違反です。 北朝鮮に対して強く停止を求めます」】。しかし、李強首相はこれに言及せず、日米韓共助を牽制するような立場を出しました。【李強中国首相「経済・貿易問題の政治化、安保化に反対し、貿易保護主義とデカップリングに反対しなければなりません」】。大統領室は4年5ヶ月ぶりに開かれた首脳会議を通じて3国協力復元にきっかけを設けたと自ら評価しましたが、久しぶりに出会った3つの国が協力を強化するために解決すべき宿題も少なくないことが明らかになった、とされています(SBS)・・>>

 

 

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