韓国、1~3月期の合計出生率は0.76人・・同期初の0.7人台、年間0.6人台が確実に

家計債務などもそうですが、「上(下かも)には上がある」とでも言いましょうか。合計出生率において、さらに低い数字が出ています。すでに合計出生率0.72人、ソウル市の場合は0.55人という「世界的な研究課題」レベルの出生率を記録している韓国ですが、ついに1~3月期の出生率も0.7人台(0.76人)になりました。去年同期は0.82人でした。前にも関連エントリーで何とか書きましたが、韓国では1月の出生数がもっとも多く、1~3月の出生率が4つの分期(1~3月、4~6月、7~9月、10~12月)の中でもっとも高くなります。

これは、幼稚園や小学校などで体の能力に差が出るから、とされています。だから、できれば1月、遅くても3月には子が生まれるように、なんというか、スケジュールを立てておくわけです。基本的に、4月~からのデータが1~3月期より高くなることはちょっと考えられないので、ニュース1など複数のメディアは「これで、年間0.6人台が既成事実となった」と報じています。一部からは、下半期、または来年あたりから出生率が上がるのではないか、という見解も出ています。「結婚してから子が生まれまで、2年半ぐらいかかる」からです。2年前あたりから、新型コロナで結婚を延期していた人たちの婚姻件数が増えたからです。しかし、これにはまた反論があって、「最近は『婚姻数』が『出生率』とそこまで繋がらなくなっている。もし増えるとしても、合計出生率を『0.1』分上げるのも難しいだろう」というのです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・今年1~3月期の合計出生率がさらに最低記録を更新、初の0.6人台の年間出生率を記録するという見通しが出ている。30日、統計庁が発表した「3月の人口動向」と国家統計ポータル(KOSIS)によると、今年1~3月の出生児数は6万474人で、前年同月比6.2%(3994人)減少した。同じ1~3月期基準では2020年(マイナス11.4%)以後、4年ぶりに最も大きな幅の減少だ。これにより、合計出生率も下がった。第1四半期の合計出生率は前年比0.06人減った0.76人と集計された。通常、年末よりも年初の出生児数が多い点を勘案すれば、今年の年間合計出生率が0.6人台になる可能性が高い・・

・・例えば昨年の場合、1~3月期0.82人から、4~6月期には0.71人、7~9月期0.65人になって、年間合計出生率は0.72人を記録した・・・・統計庁が昨年発表した「将来人口推計:2022~2072年」を見ると・・・・今年の合計出生率は0.68人と見込まれた。低位シナリオでは0.67人、高位シナリオでは0.70人だった。つまり、すべての状況が肯定的な場合には0.7人ラインを守ることが見込まれたが、1~3月期から大幅なズレが生じているわけだ(ニュース1)・・>>

 

先もちょっと書きましたが、婚姻件数などにより、下半期、または来年には合計出生率が上昇するだろうという見解も出ています。実際、婚姻件数が増えているので、その影響はあるでしょう。引用部分にはありませんが、ソース記事で統計庁関係者は「1~3月期の傾向が年末まで続くと仮定すると、今年の年間合計出生率は0.66人になるという意味」としならも、「ただし、昨年8月から前年同月に比べて婚姻件数が多く増えた。平均的に出生まで2年半程度かかるため、年末に行くほど上方要因がある」としています。ただし、これには反論もあります。キムジョウン韓国開発研究院(KDI)国際政策大学院教授の見解ですが、教授によると「20代に様々な理由で結婚及び出産を後回しにした人たちについて、『いずれ、結婚して出産もするだろう』と期待する」、いわゆる遅延効果理論というものがあります。しかし、最近はこの現象があまり見られなくなった、とのことでして。教授は記事で「2年前に婚姻件数が増加したとしても、合計出生率を0.1分変える(上げる)のも難しいだろう」としています。

で、最後に・・この前、合計出生率が低すぎることで「わぉ、完全におわりましたね」と驚きが隠せず、話題(?)になった教授がいます。労働法及び人口学でも有名な、カリフォルニア大学法科大学院のジョアン・ウィリアムズ名誉教授です。JTBCがジョアンウィリアムズ教授と再びインタビューをしましたが、そこで教授は「物質主義」を一つの理由として取り上げています。この部分だけ、JTBCです。 <<・・お金の価値が『上』なら、出産前で選択は明らかだとも指摘しました。実際、2021年のある調査では、OECD諸国のほとんどが「家族」を1位に選んだが、韓国は「物質的成功」が最も重要だと言いました。教授は「それだと、子供を持つのはとても不利なキャリアになります。物質的成功がとても重要な社会では、『計算』をします。豊かさが優先なのに、そんな選択(出産)をするのは、話が合わなくなります」(JTBC)・・>>

ある調査とは、本ブログで何度も取り上げた「ピュー・リサーチ・センターの『人生に意味を与えてくれるもの』でしょう。日本を含めて多くの国で1位は「家族と子供」でしたが、韓国だけ「物質」が1位でした。新刊でも取り上げている内容なので、ちょっと興味深いと思いました。 あと、最後に告知ですが、明日は1日休みをいただきます。今度もまた、伊豆方面に向かいます。ちょっと前に予約しましたが・・どうやら台風(元台風?)直撃コースのようでちょっと心配です。ま、なんのその。行ってきます。次の更新は、6月1日(土曜日)の11時頃になります。

 

 

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売中です(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。