帰化した人として、最近いろいろ話題になっている永住権(詳しくは永住「資格」)取り消し関連など、移住外国人関連の流れについて私見をつづってみます。まず、これ、永住と帰化を勘違いされる方も多いですが(意外と多い)、永住権とは「在留資格を更新(再審査)する必要なく、日本にいてもいい」権利のことで、国籍は元の国籍のままです、帰化は、国籍そのものが変わり、日本人になることです。私も拙著やブログに何度も書きましたが、日本で滞在するためには基本的に「在留資格」というものが必要です。どんな仕事をして生きていくのかに関する審査で、これをクリアーしないと、日本で暮らす(ビザを取る)は事実上不可能です。
もちろん、お金とは関係ない滞在目的もあるので、例外はありますが、本エントリーでは大まかな内容だけにします。ちなみにシンシアリーは「芸術」でした。作家などはこのカテゴリーになります。これは1年毎に更新、すなわち再審査が必要ですが、「この人は問題ないな」と認められると、3年、5年と、どんどん在留資格の期間は延長されます。そして、これまたいろいろ例外などありますが、基本的に滞在5年以上で帰化が可能になり、10年で永住権の申請が可能になります(就労資格または居住資格5年以上が必要で、この5年に技能実習など一部の在留資格はカウントされません)。永住権のほうが滞在期間が長いから大変だという声もあるし、審査は帰化のほうが厳重に行われる、という話もあります。
帰化はそのまま日本人になることで、永住権は、国籍はそのまま、「在留資格の種類(項目)や再審査間に関係なく、日本にいられる」権利を得ることになります。永住者は約88万人いると言われています。最近、この永住権を取り消すことができるように法律を改正するという話が出ていて、一部団体が反発していると聞きます。じゃ、簡単に言うと、「信頼できそうだから、もう審査など受けなくてもいいよ」という意味のこの永住権。取り消すことはできるのでしょうか。永住権取り消し条件で検索するとすぐヒットしますが、基本的に「いままで出した書類(パスポートとかビザとか)が偽物だった」などの理由ばかりです。今回、ここに追加される内容がありますが、各団体とやらが反対しているのは、大まかに以下の3つです。「故意に公租公課の支払をしなかった場合に永住権を取り消す」こと、「刑事法上で拘禁刑に処せられた場合に永住権を取り消す」こと、そして、「在留カード(※永住者にも、在留資格審査はありませんが『在留カード』そのものはあり、7年毎に再発給が必要です)を常時携帯」しなかった場合、です。
常時携帯の場合は、本当に単純にうっかりしただけもありえるので、ちょっと気になります。でも、これは必要な措置で、現在も(永住者を取り消すという内容は現状ありませんが)常時携帯義務はあります。これは永住者だけでなく、在留資格を持つ人全員が同じです。在留カードは常時携帯が基本で、入国関連(審査官など)はもちろん、普通の警察官から提示を求められた場合、サッと提示できるようにしないといけません。これを強化するという趣旨ですね。ちなみに、私は在留資格更新を行政書士さんに頼んでいましたが、その更新期間中にはカードを入管に提出しっぱなしになるので(手元にない)、その間は行政書士さんの連絡先と、カードのコピーを携帯していました。
なにか別の書類(マイナンバーカードなど?)で身元が確認できるなら、携帯義務違反で「10年以上かけて手に入れた」永住権が取り消されるとなると、少しだけ別の確認法があってもいいのではないか、そんな気はします。ただ、そこはともかくして、税金ちゃんと払わないとか、拘禁刑とかはもう異論がありません。なぜいままで法改正しなかったのか、むしろその方が疑問です。ちなみに韓国の場合ですが、禁固刑または2年以上の懲役刑、5年以内に懲役又は金庫刑が合計3年以上、投資を条件として永住権を取得しておいてその投資を履行しなかった場合、国家安全保障、外交、経済などにおいて問題があると判断された場合、出国して2年以上韓国に再入国しなかった場合、永住証(韓国では10年で永住証を更新します)を再発行手続きをしなかった場合に、永住権が取り消されます。韓国の場合も、外国人登録証常時携帯義務はあります。永住証も登録証の一種なので携帯義務はありますが、それを守らなかった場合に永住権取り消しになるという内容は見つけることができませんでした。
日本に住む、いや日本に一瞬でも「いる」というのは、多くの権利と義務のバランスの上にこそ成り立つものです。私はずっとそれを気にしていたし、今も気にしています。国籍がどうであれ、私がここにいると自分で選んだ人生であることに変わりはありませんから。「故意に税金を払わなかった場合」などの条件が書いてあるのにこの改正に反対するのは、「いる」1人としてありえないことである、と私は思っています。在留資格制度を経て、いまこうして日本人として日本に「いる」1人として。また、「移住外国人の年金加入を徹底 厚労省、職権で手続き」という記事もありました。こういうのも、もちろん義務の一つとして、徹底すべきだと思います。
ただ、在留資格及び年金加入などは、本人ももちろんそうですが、その人が働いている「会社」側が主導することが多いのも事実です。私の場合は個人で(日本の行政書士さんを通じて)やりましたが、多くの場合、日本に滞在するというのは、会社側が手続きを担当します。その会社に雇用されるからこそ在留資格が成立するわけですから、会社の法律担当チームなどが担当する場合がほとんどです。個人だけでなく、企業単位で調べたほうが、効果が出やすいかもしれません。
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