韓国国会、野党が弾劾・憲法裁判所関連など重要常任委員会をすべて掌握・・「国会でのレームダック」本格化

韓国の野党が、18ある国会常任委員会のうち、もっとも重要とされる運営委員会や法制司法委員会をはじめ11の常任委員会長を単独処理し、野党がすべてもっていきました。相対的にマイナーとされるものは、「譲るから与党がやってね」と、いわば『まだたべられるところ残ってるじゃないか』なノリで、与党は大激怒、ただでさえ空振り状態だった国会が、大荒れです。聯合ニュースTV時事ジャーナルなど多くのメディアが報じています。与党は参加しなかった本会議で、こういうのだけが素早く処理されたとのことでして・・与党・野党の対立が強かった韓国においても、今回のような事態は初めてだそうです。韓国で言う「憲政初」で、最近この単語をよく目にします。

4月の総選挙結果が反映された国会(22代国会と言います)は、始まったばかりです。政府・与党の国会での影響力を弱体化させる、国会でのレームダックが本格化した、とも言えるでしょう。特に、法制司法委員会の場合、弾劾や憲法裁判所関連にも影響するので、最近の・・なんというか、雰囲気というか、そんなこともあって、気になります。ここは常任委員会の中でも「競争率」がもっとも高いとされる分野で、法務部、法制処、監査院はもちろん、憲法裁判所関連(事務など)、法務関連行政、弾劾訴追などの事項まで担当しています。立法・(法務関連の)行政・司法の三権分立のすべてに影響力が強いと言えます。

 

運営委員会は、ここもいろいろありますが、大統領(秘書室)関連の権限を持っています。国会立法調査処、大統領秘書室、国家安保室、大統領警護処などなど。大統領関連では、大統領秘書室(特に首席秘書官)の影響が大きいため、それを牽制する役割もあると言えます。ただ、野党がここを担当すると政府と国会の対立が強くなる(いつもそうですが)ので、普通は与党の代表が担当する、と言われています。そういえばそうだったような気もしますが、時期(政権)による、といったところでしょうか。ここもまた、最近なにかあればダンガイダンガイとうるさいので、気になる委員会です。これらを含め、11の重要常任委員会をすべて野党がもっていたわけですから・・与党は国会日程を全面ボイコットすると宣言しましたが、与党内では「仕方ないので、残りのものでも持ってきたほうがいい」という意見も出ている、とのことです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・憲政初、野党だけで常任委員長を選出したことで国会が荒れています。共に民主党は、残っている7つの常任委員長職でも受け取るよう与党を圧迫しましたが、与党「国民の力」は国会日程全面ボイコットを議論すると対抗しています。共に民主党が野党だけで処理して持っていった常任委員長職は、法司委員長と運営委員長などすべて11個です。共に民主党が3日に国会本会議を予告した中、残っている7つの常任委員長の席を受けるよう、国民の力を圧迫しました。【共に民主党院内代表「国民の皆さんが見守っています。1日でも早く国会に帰ってきてください」】・・

・・また、24日から2日間は交渉団体代表演説を、26日から3日間は対政府質問を進行すると明らかにしました。与党は立法的に問題があるとし、国会日程ボイコットを議論するという立場です・・・・与党内部では、(※残りの常任委員会長職を受けると)飾りを添えることにしかならないとする、強い対応をもとめる声が大きくなっています。共に民主党が出した国会日程と関連しては協議や事前伝達すらなかった、と批判しました。与党は、国会議長が中立義務を破ったとし、辞退要求決議案を提出しました。ただし、与党の一部の重鎮たちは、常任委員長職7つでも持ってきたほうがいいとという意見も提起されています(聯合ニュースTV)・・>>

 

<<・・両党の主流と指導部の意見は依然として強硬である。相手党が常任委を取ろうとする裏面に「政略」が位置しているという疑いからだ。野党は、与党が「キムゴンヒ特検(※大統領夫人が理事を務めた会社の株価操作関連疑惑など)」「チェ上兵特検(※殉職した海兵隊員関連調査に大統領が外圧をかけたという疑惑)」を防ごうとしていると、与党は野党が「ユン大統領弾劾」などを推進するために常任委交渉を難しくしていると主張している。与野党の対峙が深化する場合、短期的な打撃は政府与党のほうがより大きく受けるだろうと思われる。最も懸念されるのはユン大統領のレームダックだ。ユン大統領は4月10日の総選挙で、任期全体が与小野大(※ねじれ国会)という初の大統領になった。

以後、与党内でも求心力が弱まり、野党との協力にも失敗した場合、残りの任期中に公約を履行する力は著しく低下する可能性がある、とされているのだ・・・・イジュンハン仁川大学政治外交学科教授は、「ユン大統領のレームダックは(総選挙結果で)すでに来ている」とし、「ねじれ国会状況でユン大統領は立法、予算など、何一つ、やろうとしたことができていない。この状況はこれからさらに強くなるだろう」と見通した。「大野」と「小与」が立法・行政で対峙する「政治はどこへいったのか」な状況が長く続くと、結局国会も大統領でもない、国民がその結果を背負うことになるだろう(時事ジャーナル)・・>>

 

油田とか、半導体支援とか、いろいろ話は出ているものの、この状態で『国会』という難関を通過できるのでしょうか。電気料金の引き上げ、年金改革などは、もう明らかに「次の政権へ」なスタンスですし・・自営業者債務関連のニュースをいくつか読みましたが(新しい内容がなかったのでエントリーはしませんでしたが)、ある自営業者の実例として、「1.8%で借りたのに今は17%で返済している」、という内容がありました。第2金融圏などを利用している人たちを中心に、経済や景気も回復とは言えない状況が続いています。石油・ガス田関連でも支持率はさほど上がらず。国会はこの状態・・ユン大統領、次の手は考えているのでしょうか。

 

 

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