韓国メディア「隠遁青年(引きこもり問題)、人口比で日本の約2倍」、「『休んでいる』233万4000人が失業率統計に入っていない」など

韓国の経済関連記事を見ると、「休みました(直訳すると『休んでいる』)」という言葉がよく出てきます。仕事も求職もしないため、失業率など各種統計にもカウントされない人たちのことです。似たような問題が世界各国で起きていて、そのパターンも様々ではありますが、特に最近数年間、青年層データを中心に、韓国でも大きな問題として認識されるようになりました。ハンギョレ新聞(6月12日)の場合、韓国では「休みました」としていますが、日本語版ではニートと書いています。ただ、日本で言うひきこもり問題と韓国で言う「隠遁(者)問題」もそうですが、韓国で言う「休みました」と他国でいうニートの基準がまったく同じなのか、単純比較はしていいのかどうか、ちょっとわからない部分もありますので、ご理解ください。以下、まずは記事を引用して、関連したデータを紹介します。

<<・・30~40代の「休みました」人口が1年前より10%以上も増えた。新型コロナの影響で雇用ショックがあった2021年2月以降、最大の増加幅となる。12日に韓国統計庁が発表した「5月雇用動向」によれば、先月の「休みました」人口は233万4000人で、1年前より87000人(3.9%)増え、3カ月連続で増加傾向を示した。雇用統計で「休みました」に分類される人口は、仕事をする能力はあるが出産・育児や求職活動など具体的理由なく仕事をしていない場合を言う。求職意思がなく非経済活動人口に分類され、失業率統計にもカウントされない・・

 

・・特に労働市場で「腰(※中心で支えるという意味で、韓国では特に40代をよくこう表現します)」とされる30代と40代の「休みました」人口は48000人と35000人増加した。1年前よりそれぞれ19%、15.2%急増した数値だ・・・・先月15~64歳の就業者は2494万9000人で、1年前より8万人増加したと集計された・・・・青年層(15~29歳)の就業者は17万3000人減り、減少幅が最も大きく、40代も11万4000人減少した。60歳以上の高齢就業者が26万5000人増えた。産業別に見ると、製造業の就業者は3万8000人増え、6カ月連続で増加傾向が続いた。宿泊・飲食店業も8万人増え、3カ月連続で増えた。卸売および小売業(7万3000人減少)、建設業(47000人減少)などでは、就業者が減った(ハンギョレ新聞)・・>>

 

「増加する就業者の多くが60歳以上」という記事は多くのメディアから目立っていますが、ここにも同じ話が出ています。ちなみに、この「休みました」と回答した理由があいまいで、調査してみすろほとんどが「体の調子がよくない」としているとのことですが、「実は、雇用においてなにかのミスマッチがある」と統計庁関係者も話しています。記事では「休みました」を233万4000人だとしていますが、「大学を卒業した『高学力の非経済活動人口』だけで366万6000人だ」というデータも出ています(ニュース1、2019年2月5日)。この中には病気で入院している人とか、産後に休んでいる人とかも含まれていますので、ハンギョレ新聞の記事で言う「トニー」とはちょっと集計が異なりますが、彼らはちゃんと各種統計にカウントされているのでしょうか。3月16日のものですが、CBSノーカットニュースも同じ趣旨の記事を出していますので、こちらも紹介します。二人の進行者が会話する形の記事ですが、ちょっと書き直しましたので引用ではありません。

 

「(※3月)13日に発表された統計庁雇用動向によると、理由なく休む30代、40代就職放棄者がまた最多だったそうです。雇用率は最高水準を維持しています。就職放棄者が多いのに雇用率も高いってなにか妙な話ですが。1月基準で見ると、前年1月より増えた就業者が38万人ですが、その中になんと35万人が60代以上です。一方、青年層では「休んだ」人口が増え続けています。労働可能人口は経済活動人口と非経済活動人口に分けられます。今仕事をする就業者と、仕事をしていないけど就職したら働く意思のある失業者を合わせて経済活動人口と言います・・

・・求職をあきらめることを越えて、社会生活せず仕事もせずトレーニングも受けず、さらに部屋から出ずに隠れてしまう隠遁青年たちが多くなっています。青年人口の5%である54万人だそうです。多いですね。日本でずいぶん前から社会問題とされてきた「ひきこもり」と同様の手順を踏んでいると見なければなりません。昨年の日本政府調査で把握した15歳から39歳以下の青年ひきこもりは67万人です。日本の人口が1億2000万を少し越えます。韓国人口は約5,100万人だから、そのうち54万人とすると、割合で日本の2倍レベルです。昨年末にこの数値が出たのも、近年制定された青年基本法によるもので、初めての調査でした(ノーカットニュース)」

 

記事では専門家の見解として、「職業選択権」が制限されていることをあげています。たとえば日本では「親の家業を受け継ぐ」となると褒められるのに、韓国では「大学まで出たのに何をいう」とされてしまう、というのです。また、「なにごとも素早く片付ける」のが有能なこととされているので、「ちょっとおそい」人が「できない」人だと思われてしまい、職場を失ってしまう事が多い、との指摘もあります。いろいろ、理由も事情もあるのでしょう。記事には「部屋の数だけ、理由がある」とも書いてありますが、確かにそのとおりかもしれません。

 

 

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