まず本題に入る前に、韓国では「正規職」という言葉は、「契約期間を定めずに契約した職員」のことです。法律的な定義があるわけではない、とされています。主に区分するのは、「常用職」「臨時職」「日用職」などです。他にもいろいろありますが、とりあえずソース記事に出てくる用語だけ簡単に説明いたしますと、常用職とは、「契約期間が決まっていない(韓国で言う正規職)」と、「1年以上の期間の契約をした職員」を意味します。一般的に1年未満の契約の場合は「臨時職」といい、1日だけの雇用の場合は「日用職」と言います。
またもや青年(データや記事によって基準が異なりますが、今回は15歳から29歳までです)関連記事が増えたので、大して長くもない前髪を揃えるポーズを取りながら「ふっ・・またこの話か・・」と思いましたが、せっかく開いたのでちょっと読んでみました。どうやら、5月の経済活動関連データが発表されたとのことですが、15歳~29歳のデータが、いろいろすごいことになっている、とのことでして。聯合ニュースなど、複数のメディアが取り上げています。内容がほぼ同じなので引用はしていませんが、朝鮮日報など右側の大手も記事を出しています。読んでみると、なんというか、ある種の象徴的な流れ・・そんな気がしたので、もう一回エントリーしてみます。
要約しますと、5月基準で、1年前(2023年5月)と比べて、青年常用職が19万5000人も減ったことがわかった、とのことでして。19万5000人といいますと、これは、同年齢代の全常用職の約7.6%にあたいし、関連データ(マイクロデータ)が作成された10年前からして、最大の幅の減少です。韓国では、常用職を「雇用の質を考えるための指標」としており、その点、使い方は日本メディアの経済記事においての「正規職」とほぼ同じだとも言えます。というか、常用職をカッコ付きで「常用職(正規職)」と書くなど、もう一般的な使い方は正規職でいいんじゃないかな、な気もします。ただ、詳しくは「正規職と1年以上契約職」なので、日本で言う正規職と単純比較はできません。日本と韓国の正規雇用を比べるとき、この「1年以上」を考えずに常用職と比べる人もいるようですが、それ、「私が知っているかぎりだと」、厳密には間違いです。
で、この雇用の質たる常用職ですが、前回のデータ、すなわち2022年5月と2023年5月を比べたデータでは、約1万人が減少していました。それまでは少しずつ増加していた、とのことでして。でも、今回、すなわち2023年5月と2024年5月を比べてみたら、19万5000人も減少したわけです。15~29歳常用職は、2023年5月基準で約254万8000人でした。その中から19万5000人が消えたわけですから、ニュースにもなるでしょう。ちなみに、15~29歳全体の就業者数は383万2000人で、こちらも2023年5月に比べて17万3000人も減少しています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・19ヶ月連続で下り坂の「青年雇用」が、質的にも量的にもさらに下がっていることがわかった。青年層で雇用の質を代表する『常用職』が、20万人近く急減し、最近10年の間で最も大きな幅に減った。23日、統計庁の経済活動人口調査マイクロデータによると、5月の青年層(15~29歳)賃金労働者のうち常用勤労者は合計235万3000人と集計された。昨年同月より19万5000人減った水準だ。これは、マイクロデータが作成された2014年以来最大の幅の減少だ。青年層の人口減少を考慮しても、昨年5月(1万人減少)より減少の幅は著しく拡大した。5月基準で・・・・2022年には255万8000人まで増えたが、昨年254万8000人に減少した後、今年また減少した・・
・・常用職だけでなく、全体的な青年雇用は量的にも着実に減少しつつある。先月、青年層全体の就業者は383万2000人で、昨年より17万3000人減った。2021年1月に31万4000人減った後、最も大きな幅の減少傾向だ。青年層就業者は2022年11月(5000人減少)から1年7ヶ月連続で減少している。人口自体が減るうえ、青年層で在学の割合が増えており、キャリアを優先採用する雇用市場のトレンドも影響を及ぼしている(聯合ニュース)・・>>
気になるのは、「60歳以上では1年前より20万4000人増えた」、とのことでして。これ、ひょっとして、例の「政府や自治体がばらまく仕事」も、給料に関係なく1年以上の契約だと「常用職」になるのでしょうか。詳しくはなにも書いてませんでした。30代と50代でそれぞれ9万3000人、6万4000人増加しましたが、40代では9万1000人減少。5月時点で全体常用労働者数は1638万5000人で、昨年同月より7万5000人増えたとのことです。60歳以上が20万4000人も増えたことを考え必要があるでしょうけど。あと、韓国の賃金労働者が約2145万人という話を聞きましたが・・1年以上の契約が1638万5000人となると、それ以外は1年未満ということでしょうか。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。