韓国、中央銀行と年金公団が外国為替スワップ枠拡大・・ドルウォン1400ウォンの意味とは

21日、韓国銀行と年金公団が「外国為替スワップ」枠を拡大しました。既存350億ドルから、500億ドルまで拡大しました。ドルウォン為替レートが1400ウォン近くまで上がったことで、為替レート防御のための措置をとったわけです。各メディアの記事に共通する説明としては、「国民年金が海外投資に必要なドルを、現物為替市場で買い取らず、当局から調達し、満期日に返済する方式で行われる。海外投資を持続する国民年金の大規模な現物為替買取需要が、スワップ取引を通じて一部吸収される効果があるため、為替レートでウォン高になる要因として作用する」、とのことです。

この措置のあと、為替レートは多少安定する姿を見せています。ただ、今朝はまた1390.9ウォン(防御ラインが1400ウォンだと言われています)までウォン安に動きました。時事ジャーナル(21日)など一部のメディアは「これといって取れる措置が多くないのも事実」とも指摘しています。このように、韓国でも為替レート、ウォン安が結構問題になっています。単に物価だけではなく、いつものこと、『外貨の流出』なども考えないといけないため、一般のニュースで話題になるというより、経済メディアなど専門家の間での話題、といったところですが。韓国経済、特に論説委員のハンサンチュン氏は数ヶ月前からこの件で記事を出していますが、その中から一つを引用してみます。

 

記事の内容は基本的に、現在グローバル的に外国為替市場が急激に動いており、またさらにそう動く可能性が高く、一つまたは複数の新興国が倒れる可能性に備える必要があると指摘しています。また、「外部要因によるもの」「基本的なファンダメンタルが強いから問題ない」とする現政府の見方は大変リスクのあるものである、とも。韓国だけのローカル用語だと聞きますが、ドルウォン1400ウォンは「カンダッシュライン」とされています。1997年夏、急激に外国資金の流出が発生しているにもかかわらず、当時の政府は「私たちは基礎ファンダメンタルが十分だから問題ない」と主張していました。事実上のギブアップになったラインが1400ウォンで、当時のIMF総裁の名にちなんでこれをカンダッシュラインと呼ぶ、とのことです。当時と今とは多くの要因が異なり、どちらかというと「心理的なライン」としての影響が強いでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・対内外の外国為替市場が揺れている。ユーロ為替レートは1.06ドル台になり、等価線(1ユーロ=1ドル)の維持が難しい状態になってきた。国内円投資家から関心の高い円・ドル為替レートは、100兆ウォンを超える安定措置にも、介入前水準の159円台に戻った。ウォン・ドル為替レートは韓国銀行と国民年金間の外国為替スワップする緊急措置にもかかわらず、1380ウォン台後半まで動いた(※ソース記事は23日のもので、24日今朝は1390.9ウォン)。世界のすべての通貨に対して「ドル高」で代弁される外国為替市場の動きは、米国とヨーロッパなど主要国間の「第2の大分岐(GD・Great Divergence、※米国やヨーロッパなど各国の中央銀行が異なる通貨政策を推進する現象で、筆者によると、前回のGDは1994年から始まりました)」への懸念のためだ・・

 

・・新興国はドル不足現象が深刻だ。米国への資金離脱とともに、2009年の金融危機以後「金融の罠」(債務の罠とも呼ばれる)を知らずに調達したドル債務の満期が集中的にきているためだ。国際通貨基金(IMF)によると、新興国は2025年まで毎年4000億ドル以上のドル債務を返済しなければならないという。問題は、IMFがこれといって役割を果たしていないということです。 1990年代半ば以降、新興国の金融危機はIMFが最後の安全装置の役割をしっかり果たし、ほとんど克服された。

しかし、最近では米国の主導力の弱化と加盟国の自己主張で、クォーター調整ができなくなっており、IMFが債券の発行を検討するほど財源に余裕がない。現時点でIMFのモリスゴールドスター認知表とグローバル投資銀行(IB)が活用する為替返済係数で新興国金融危機の可能性をチェックしてみると、アルゼンチン、ベネズエラ、トルコ、パキスタン、イラン、南アフリカ共和国などが高く出ている。ブラジル、インドネシア、メキシコ、フィリピン、スリランカ、バングラデシュなどがその次にリスクが高い・・

 

・・私たちの立場でもっと難しくするのは、米国と中国の間の為替レート対立が本格化する兆しだ。中国のダンピング輸出を防ぐため、米国は高関税で対応してきた。高関税は価格割増制で、人民元の価値が下落すると無力化される問題を抱えている。最近、中国がこの点で人民元の価値を大幅に下げている。ウォン・ドル為替レートも外国人資金離脱と、思わしくない循環の輪が作られる臨界線である1400ウォンを目の前にしている。韓国銀行と国民年金間の外国為替スワップ拡大措置がなければ、すでにこの線を越えただろう。それほど緊迫した状況だ。唯一支えている外国人資金まで離脱すれば、国内証券市場は外国為替危機(※1997年~)当時よりも難しくなる可能性がある(韓国経済)・・>>

 

 

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