ユーンユンユーン~(OPテーマ)、ユン大統領VS自転車の巻、です。本ブログ、家計債務関連エントリーでよく取り上げていた「DSR」というものがあります。それについて、ユン政権は2月、DSRの改良版である「ストレスDSR」1段階を導入しました。実はこれ、家計債務についてずっと書いてきたこともあって、私もかなり注目していました。2月から今朝まで忘れていたけど注目はしていました。ストレスDSRというのは、簡単に言うと、変動金利のリスクを考慮して、加算金利を適用するという趣旨です。適用金利が上がると金融機関が貸す金額も少なくなるから、事実上、「借りられる限度」を下げる、その人の返済能力に合わせるための政策です。
日本ではほとんど目にすることがありませんが、韓国の経済金融関連ニュースだとDSRという言葉が本当によく出てきます。Debt Service Ratio、すなわち所得からどれだけの金額を債務の返済に使っているのか、というものです。2023年4~6月期のデータで、韓国の「家計債務」対象の平均DSRは、39.9%でした。家計債務集計対象は1978万人、集計当時金額は1845兆7000億ウォンでした。ちなみに経済活動人口2800万人です。債務が無い人、または自営業者など「別枠」は家計債務カウント対象になりません(ローンの種類よっては自営業者が家計債務に重複カウントされる場合もありますが)。
彼ら1978万人の平均DSRは39.9%。すなわち、彼ら1978万人は、平均で年間所得の39.9%を債務の返済に使っています。記事によっては家計債務にカウントされない人たちまで全部入れてDSRを低く計算する場合もありますが、一般的に、所得の約40%が返済に使われているわけです。特に、韓国の家計債務は家計債務は金額基準で53,7%が満期一括償還方式です。元利均等返済ではなく利子だけ返済し、元金は満期が来たら一気に返済するタイプのことで、毎月返済する分は元利均等返済に比べて安くなります。これでも40%だから、いろいろ壮大としか言いようがありません。特に韓国の場合は家計債務に変動金利が多く、時期にもよるものの約70%以上とされています。いろいろ、本当にリスキーとしか言えない状況でして。
そこで、ユン政権はこの家計債務問題をなんとかするために、ストレスDSRの導入を準備してきました。これは、5年間の金利をチェックして、もっとも高かった時期と「今(金融機関から融資を受けるタイミング)」との金利差を考えて、その分、加算金利を適用するものです。普通、金融機関は、DSRによって「どれだけ貸してもいいのか」を決めます。金融機関に金を借りに来た人の所得、借りようとする金額、すでにどこかで借りた金額などを計算して、DSRが一定値を超えると、ローンが成立しなくなるわけです。ストレスDSRを導入すると、いまだと加算金利がプラスされるので、借主側は「借りられる金額」が少なくなります。いまのところ、ストレス加算金利を適用すると、ローン金利は1.5%が加算されることになります。だから、結果的には借りられる金額も少なくなります。
必要な政策ではありますが、自転車操業が多いことを考えると、これはなかなか踏み込めない案件でもあります。いっちゃなんですが電気料金も上げられずにいるユン政権が、これ本当にできるのか、と。ですが、2月、なんと、ユン政権はこのストレスDSR1段階(1.5%の25%、すなわち0.375%)を適用しました。個人的に、率直に驚きました。おっ、本当にやったのか、すごいな、と。総選挙前、まだいまよりユン政権勢いがあった時期ではありますが。7月1日から2段階(加算金利の50%)、来年から3段階でフル稼働(100%、加算金利1.5%)を適用するという計画でした。
それから、もう6月27日になったので、2段階関連でなにか情報がないかとニュースをチェックしてみました・・が、どうやら、銀行側にも通知せずに2ヶ月延期したそうです。記事時点からして、施行5日前のドタキャンです。重要なのは100%導入(3段階)時期で、こちらは6ヶ月延期になり、来年の7月施行となりました。ちゃんと施行できるなら、ですが。クッキーニュースの報道によると、銀行側は「すでに電算システムまで2段階に合わせておいたのに、新聞記事を見て延期されたと初めてわかった」と言っている、とのことでして。ま、パッと思いつく理由は・・『新しく借りないと前の分が返せない』人たちが、政府の予想より多かったのではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・金融当局が家計融資の限度を下げようとしたが、施行一週間前(※記事時点で5日前)に突然延期した。7月1日に合わせて準備しておいた銀行は混乱している。25日、金融機関によると、銀行はストレスDSR2段階の延期の事実をあとになって知って、こまっている。銀行は当初定められた日程である来月1日、ストレスDSR2段階施行のために電算システム調整作業までほぼ終えていた。金融当局と銀行間の事前交渉もなかったという・・・・当局は2段階時点を延期した理由として、大きく2つを挙げた。来月発表される庶民・自営業者支援政府政策に足並みを揃えるため、不動産プロジェクトファイナンシング(PF)市場のソフトランディングを勘案したという説明だ・・・・理由が多少とんでもないという指摘も出ている。ある関係者は「金融委員会話した理由だが、率直によくわからない。不動産PFと個人融資に何の関連があるのだろうか」と話した(クッキーニュース)・・>> ユーン~ユーン~(EDテーマ)
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