「半地下」住居、自治体の浸水対策(防水壁設置)が進まない理由・・『壁があると、浸水する(した)とバレるから』と大家が応じず

ソルや秋夕(旧暦の、1月1日、8月15日)になるといつも賃金未払いが大きなニュースになるのと同じく、梅雨シーズンになると、その時期だけ増えるニュースがあります。半地下に住む人たちの安全問題です。映画などでも有名になりましたが、ソウル市の住居問題の象徴的案件として「半地下住居」があります。住宅の半地下(地下住居もありますが)に部屋を借りる人たちのことで、ソウルにしては比較的安いけど、換気など多くの問題があり、特に大雨による浸水が深刻です。

民間側の分析だともっと多いという指摘もありますが、ソウル市が把握しているソウルの半地下世帯の数は、「推定」として20万2741世帯(2021年基準)。マネートゥデイの記事によると、『ソウル全体世帯404万6799世帯の5%程度』です。「急激な都市開発過程で、不足した住宅用地と高い住宅費を代替する案として、地下住宅が許可された。現在のような住宅安全基準などが適用されなかったため、事実上、浸水リスクに無防備のままだ。特に一部の地下住宅は、浸水発生の懸念が大きい地域に集まっている」、とも。

 

部屋が浸水する理由も様々ですが、窓からの浸水が多いと聞きます。住宅の庭に人が立っているとすると、その人の足首の高さに「半地下部屋の窓」があるので、雨水がそこから部屋にそのまま流れてしまうわけです。そこで、ソウル市は、2022年大雨のあと、半地下に住む人たちの引っ越し費用支援すると発表しました。でも、予算不足などで施行1年で終了しました。家の入口またはその家の半地下部屋の窓周辺などに、物理的に防水壁(壁というより「板」のような形ですが)を作るようにし、その支援も行ってきました。対象は約2万世帯。でも、これまた様々な理由で、なかなか進まないということでして。でも、朝鮮日報など複数のメディアによると、支援金が少なすぎでどうしようもなかったり、防水壁ではどうにもならない構造だったり、また、大家が、そんなものを作ると『浸水可能性が高い』または『浸水したことがある』とすぐわかるから、設置に応じないでいるからです。以下、両紙から<<~>>で引用してみます。

 

<<・・2022年の夏集中豪雨で一家族3人が亡くなった半地下住宅から、わずか1ブロック離れている所だが、路地ごとに半地下住宅には浸水を防いでくれる水防ぎ板(※以下、防水壁)がない状態だった。住民たちは今週末から始まるという梅雨予報に気になっていた。半地下に居住するという60代住民は「区役所で気を使って、私たちの家も防水壁を設置したが、何人かの家は家主が反対すると聞いた」とし「今夏も心配」とした。地下住宅はいろいろと住宅環境に問題があるが、集中豪雨の際に窓や階段を通って室内に水が入ってくる。ソウルで浸水可能性が特に高い半地下だけでも、その3分の1には最小限の予防装置である防水壁もない状態だ・・・・設置には家主の同意が必須だが、少なくない家主が「浸水住宅の標識になる」ことを懸念して、壁の設置に応じなかったためだ(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・ソウル市の半地下移住費支援が終了した。昨年、大雨による対策を出してから1年ぶりに終了したのだ。支援実績も低迷した。1年間、わずか62件、2400万ウォンを支援するのにとどまった。ソウル地域の半地下住宅が約20万世帯に達する点を考慮すれば、あまりにもすくない。29日、ソウル市などによると、昨年、住宅脆弱階層を対象に導入した「半地下移住費」支援事業が今年から中断された。半地下移住費事業はソウル住宅都市公社(SH)保証金支援型長期安心住宅事業の一環として施行された。ソウル地域の半地下住宅居住者が地上の住宅に引っ越すとき、引越し費用などを最大40万ウォンまで実費支援する(※個人的な意見ですが、この費用ではどうにもなりません)。

当該事業は2022年豪雨による問題がソウル各地で発生し、その直後に新設された。半地下住居など中長期的な住宅改善対策とともに、すぐに実質的な助けを与える方案を設けるよう、オセフン ソウル市場の指示で導入された。コシウォン(※考試院、もともと泊まり込みで勉強するための施設で、『住宅』としてカウントされません)、屋根裏部屋など様々な住居を支援する他の事業とは異なり、半地下のみ特定して支援するため、ソウル市の積極的な対策として注目された。しかし、事業新設後の執行実績は、パッとしなかった。1年間の移住費支援件数は62件、全体の移住費支援金額は2400万ウォンと集計された。このため、また「そのときだけのための対策」だったという指摘が出ている。実際に支援対象者にきちんと広報されていなかったし、一部は移住費を申請したが、予算不足などを理由に申請が通らなかった(マネートゥデイ)・・>>

 

 

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