少子高齢化が世界最高のスピードで進んでいる、韓国。少子化関連ニュースは多いけど、高齢化など引退問題についてはそこまで多くの記事が出ていません。そんな中、中央日報が「そろそろ2次ベビーブーマー世代の引退じゃね?」な記事を載せました。韓国では1955年~1963年生まれの人たちを1次ベビーブーマー世代と言い、その数は約705万人。1964年~1974年生まれの人たちを2次ベビーブーマー世代といい、その数は954万人。全体人口の18.6%にあたいします。彼らが60代になり、これから10年間で引退が進むというのが記事の主な趣旨です。
さぁ、どうでしょうか。各種調査を見ると、一般的に、50歳前後(調査によりますが47歳~51歳あたり)で仕事をやめる・・というかなにかの理由で仕事をやめるしかなくなります。だからすでに2次ベビーブーマー世代の引退は進行中だと見るべきでしょう。前の文政権の頃から、新規雇用の多くが「60代以上の人たちに簡単なお仕事をばらまく」政策によるものだというデータは何度も取り上げましたが、ひょっとすると、この2次ベビーブーマー世代の引退を意識したものだったのかもしれません。そこまで考えてない可能性もありますが。まず、<<~>>で引用してみます。
<<・・1964年~1974年生まれの第2次ベビーブーマー世代が今年から11年にわたり本格な引退手続きに入る。単一世代としては最大規模だ。これまで韓国経済の中枢の役割をした人たちが職場を離れ、経済成長率も下がると予想される。韓国銀行は1日、「第2次ベビーブーマー世代の引退年齢進入にともなう経済的影響評価」と題する報告書で、彼らが法定引退年齢の60歳に差しかかる2024年~2034年にかけて前年比の年間経済成長率が平均で0.38%ポイント下落すると予想した。1955年~1963年生まれの第1次ベビーブーマーム世代の引退で2015年~2023年に平均0.33%ポイント下落したよりも下げ幅が大きい(中央日報)・・>>
4月の出生児が若干増加したというニュースも出ていますが、それは新型コロナが収まったあとに、(延期していた)結婚をした人が増えたことで、まだまだ前代未聞の少子化は健在です。そんな中、人口の18.6%の引退が始まるというのは確かに気になることでしょう。ただ、記事はGDPが~という話をしていますが、個人的には別のことが気になります。「1次」ベビーブーマー世代の引退が韓国経済に及ぼしたもっとも大きな影響は、個人的に、『2次創業ブーム』、すなわち自営業者の急増だったと見ています。本ブログでもなんどか取り上げましたが、50歳前後に引退してなにかやらないと生活できないから、とにかく自営業を始めたわけですが、ノウハウ無しでなんとかなるほど甘い世界ではなかった、というオチです。
新型コロナ期間中の低金利を目当てに、また自営業者が増えました。韓国の自営業者は、約650万人とされています。経済活動人口が2800万人だから、大した数字です。ちなみに、日本の場合は200万人台だとされています。韓国経済TV(2023年6月6日)の報道によると、彼ら約650万人の自営業者の2021年の平均所得は、年1952万ウォンでした。どんどん減少しつつあり、2000万ウォンより下がったのは初めてのことだそうです。「1次」の人たちに比べると、年金システムがある程度は機能するようになったとはいえ、同じく韓国経済TV(2023年7月25日)の報道によると、55歳~79歳を対象にした調査で、年金を受給している人は50.3%だけでした。公的年金だけでなく、個人年金まで含めての数字です。2次ベビーブーマー世代とは年齢代がズレますが、大まかな推測には役立つでしょう。
<<・・55~79歳の中で年金を受けている人は半分水準であることが分かった。彼らの1人当たりの月平均年金数受領額は75万ウォンと集計された。25日、統計庁が発表した「2023年5月の経済活動人口調査(高齢層付加調査)」によると、55~79歳の人口は1548万1000人で、1年前と比較して2.5%(38万4千人)増加した。このうち、1年間の年金受領者の割合は50.3%(778万3000人)と確認された。 統計庁は国民年金、基礎年金、公務員年金、私学年金、軍人年金など公的年金をはじめ、個人年金まで含めて調査を進めた。前年同月比0.9%ポイント上昇したものの、多くの高齢層が年金受領ができていないことが分かった(韓国経済TV)・・>>
政府による「簡単な仕事」を選ぶのか、それでも創業(自営業者)を選ぶのか。ソース記事には2つしかコメントがありませんが(DAUMカカオの仕様上、記事投稿から24時間内にしかコメントできません)、その中に「マンションを買ってくれる人たちがいなくなるわけだな」というものがあって、それもそうかな、と思いました。買う人がいなくなるというより、買うために借りたお金をどうするのか、といったほうが合ってる気もしますが。
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