韓国、違法金融業者への利子負担が6年間で24兆ウォンも増加か・・平均金利は年535%

そもそも「第1金融圏(銀行)、第2金融圏(ノンバンク)、第3金融圏(合法貸金業者)」と、SFアニメの防衛ラインみたいな言葉が定着している時点で、韓国において家計債務は、ユニークな社会経済生活の一部になっています。新型コロナが収まりかけた頃、必要以上におそれず、守るべきことを守りながら前向きに生活パターンを取り戻していこうなどの趣旨で「ウィズコロナ」という言葉がありました。この場合、ウィズバイシクル(自転車)とでも言いましょうか。操業付きで。そんな中、第3金融圏、すなわち貸金業者に関する最新データがあったので、紹介したいと思います。

いろいろ法律どおりにやっていないという話も聞こえてきますが、ここでいう第3は「合法的に」運営している人たちのことで、違法金融業者の場合はサグミュン(私的な金融)、サチェ(私的な債券)と言います。第3は、法定上限金利(20%)内です。サグミュンの場合は数百パーは基本だと聞きますが。実はこれ、前にも紹介したことがあるので覚えている方もおられましょうけど、2018年あたりから、貸金業者を利用する人が大幅に減るようになりました。理由は、2018年、上限金利が27%から24%になったからです。そして、2021年、日本と同じ(多分、意識していたのでしょう)20%になりました。このときから、事実上、第3の機能は止まったという見方もあります。

 

6月時点の記事によると、第3を利用する人数は、2023年末時点で72万8000人まで減りました。一応、金融監督院、または政府・大統領室などの関連委員会で報告されたデータではありますが、第3は公式データちゃんと集計されておらず、「推算」となります。2017年には同じデータで247万3000人でした。単純計算で、約6年間で170万人以上が減少したことになります。第3は金利が高いから、利用者数が減ったならよかったな、おめでとう、と見ることもできます。でも、本当にそうでしょうか。まず、貸金業者利用者数が大幅に減ったのは、貸金業者側からすると「上限金利が低くなって、回収リスクまで考えると、カネを貸す相手の数を絞るしかない」立場になったからです。

 

減少した約170万人に、「じゃもうそろそろ返済しようかハハハ」とか、「じゃ今度は第2または第1金融圏で借りようかハハハ」とか、そんな余裕があるのでしょうか。あるなら、そもそも第3金融圏から借りる必要もなかったはず。この170万人は、どうなったのでしょうか。マネートゥデイの記事その1(6月16日)とその2(6月28日、引用はその1だけですが、その2を参考にした数値もあるので併記しておきました)に、170万人のうち、一部がどうなったのか、データが載っていました。そのうち57万8000人が、サグミュンのほう、すなわち「制度圏の外」に出たとのことです。6月16日の記事によると、約57万8000人以上がサグミュンなどに移動、その利子負担金額だけで24兆4000億ウォンと推定される、とのことでして。これは『6年間で増加したサグミュン利用者(推定57万8000人)による利子分ですから、既存の人たちの分まで含めたものではなく「増加分」になります。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・貸金業者利用人数は2017年247万人から2023年85万人に大幅に減った。貸金業者の調達費用と回収リスク、手数料などを合わせた貸出原価が法定上限金利を上回り、貸金業者が信用ローンを減らす代わりに、アパート担保ローンなどに事業モデルを転換した余波だ(※その分、借りるのが難しくなりました)。同期間、貸金業を利用できなくなり、サグミュンに移動した低信用者の利子費用は24兆4000億ウォンに達したと推定された。過去6年間、貸付業利用者のうち少なくとも57万8000人がサグミュンに移動したと分析された。平均融資利用額は1307万ウォン、平均金利は2018年353%、2023年535%とそれぞれ推定される。

庶民金融研究院(※大統領直属金融分科会議にこの報告書を出したシンクタンク)は、貸金業者協会に受け付けられたサグミュン案件2万3000件と、金融監督院の発表資料などをもとにこのような推定値を出した。実際のサグミュン利用者の平均金利仮定値は、これより多少高い場合もあるし、キャピタル・カードローン利用者もサグミュンに流れることまで考えると、サグミュン利用者の利子負担は推定値よりも大きいというのが研究院側の説明だ。研究院は、貸金業利用者のうち、少なくとも57万8000人がサグミュンに移動したと分析した(マネートゥデイ)・・>>

 

サグミュンなど違法金融業者の平均金利は、2022年基準で414%とされていました。ずいぶん高くなったものです。なんと1万%以上を取る人たちもニュースになったりします。そもそも平均1307万ウォン借りているのに、なにをどうすれば利子負担だけで24兆ウォンを超えるのか。というか、170万人のうち58万人だとすると、残り約112万人はどこへ行ったのか。各種経済指標には彼らの分がちゃんと集計されているのか。そもそも、把握はされているのか、経済活動人口としてはカウントされているのか? 様々な疑問を残し、ウィズバイシクル、今日も真顔で回っています。

 

 

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