韓国メディア「『何もしない外交』が続いている。自由民主主義陣営と足並みを揃えるべきだ」

日本とフィリピンが、自衛隊とフィリピン軍が共同訓練などにおいて「往来しやすく(円滑化)」する協定、Reciprocal Access Agreement(RAA)を結びました。オーストラリアとイギリスに続いて、3カ国目です。ふっと、先月29日の記事のことを思い出したので、1週間遅れて取り上げてみます。東亜日報系列の大手週刊紙「週刊東亜」の記事で、「私たちに『外交』というものがあるのか?」という内容です。自由民主主義側の一員としてもっと役割を果たすべきなのに、「経済10位圏だし軍事大国だから、国際社会で大きな声を出してもいいだろうと勘違いをしている(原文ママ)」というのです。

この前、ロシアと北朝鮮が事実上の軍事同盟を締結したときにも、ついその前日まで政府傘下の外交機関は「軍事的な介入はない」と話していた、とのことでして。記事は、「私たちはいつも『~だけは認めない』としつつ、相手が『~』ラインを超えても、なにもしない」、「自由民主主義陣営と足並みを揃えようとしない」などの理由で、外交が果たして『ある』にはあるのか、と問題を提起しています。いつも「安保は米国で経済は中国」とか、「米国に舵をきってしまったから、ロシアと北朝鮮が同盟を組んだ」とか、そんな話ばかりですが、たまにこんな記事もあがってきます。以下、<<~>>で引用してみます。ウクライナ事態関連、中国関連の部分です。

 

<<・・(※ウクライナ事態において)これまで韓国はこれといった措置を取らなかった。もちろん、ウクライナの砲弾不足が深刻になった時、圧力にたえられず、迂回支援の形(※最終使用者を米軍と限定した、とされています)で155mm砲弾を米国に輸出した。しかし、それでもロシアを気にして、実質的支援はできるだけ避けてきた。「何もしない」外交のおかげか、プーチンから「韓国のそんな点(ウクライナに武器を提供していない)を高く買う」(現地時間6月5日世界主要ニュース通信社代表懇談会での発言)という「お褒めの言葉」をいただいた。だが、プーチンはこの発言からしばらくして、北朝鮮と軍事同盟を締結した・・

 

・・国際情勢と北朝鮮関係が急変している間、きちんと対処できなかった韓国の外交は、一寸先も見通せなかった。これまで韓国外交部当局者は「今日、国際秩序が新冷戦に突入したという情勢判断に同意しない」という立場を、数回も明らかにしてきた。さらに、外交官育成期間とも言える、外交戦略シンクタンクである国立外交院のある教授は、プーチン訪朝の一日前のメディアインタビューで、「北朝鮮とロシアの協力は短期的な関係によるものであり、共同宣言が出ても軍事介入条項などはないだろう」と話した(※数日前から日本など海外メディアは相応の可能性を報じていたので、それに関する質問をうけてこう話しました)。このような判断は、新・冷戦体制に対応する気がない外交部の認識を反映したものだろう。それからわずか1日後、それははずれた・・

・・(※米中対立などについて書いた後に)私たちはこのような状況が、まるで他人事のように、一歩退いて観望中だ・・・・米国が同盟と友好国を集め、南シナ海で「航行の自由」作戦を実施し、中国を意識した軍事協力を強化した時も、私たちは見ているだけだった。中国との友好・協力も重要だという理由で、米国主導の対中国システムにおいて私たちはその役割に応じないでいるのだ。私たちは自由民主主義陣営の一員でありながらも、友達と他の対外政策を共にしない理由は何だろうか。その基底には、自らに対する過信が敷かれていると私は見ている。韓国は自ら「世界10大経済大国」「軍事大国」と評価し、国際社会で大きな声を上げてもよいと勘違いしている。かつて、最高権力者の口から「北東アジアのバランサー」「交渉家」という言葉が出たのも、同じ理由であろう・・

 

・・世界が2つの陣営に分かれて対立するとき、各陣営で一定の責任と役割をする国が評価される。NATO最前線を守った西ドイツ、旧ソ連の太平洋進出を阻止する最一線にあった日本がそうだった・・・・自国が属する陣営で『自分のやるべきこと』をすることで、国際的地位が上がって発言権も大きくなる。またそうしてこそ、同じ陣営の友好国はもちろん、相手陣営国も下手に下手に出ることができない、本当の強大国の待遇を受けることができる(週間東亜)・・>>

世界10位のくだり、本稿はそもそも「勘違いだ」としていますが、この主張は、「『上』のものになるほど、なにもやらなくていい(上になるほど守るべき責務は少なくなる)」とする、昔からの考え方の問題を指摘したとも言えるでしょう。「~『も』重要だから~」という話よりは現実味のある内容ですが、地位とか発言権とか、そんなものに対してズレているのは相変わらずです。「状況の一部」としての認識については今までも何度かエントリーしました。2022年3月14日、朝鮮日報系列の「週刊朝鮮」が、「韓国にとって台湾問題は、ただの興味深いウォーストーリーにすぎない」という記事を載せたことがありますが・・すべて同じ類の話でしょう。

 

 

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