日経平均の最高値など日本株式市場の好調に、韓国専門家「10年以上前のアベノミクスですでに始まっていました」

バリューアップ政策という言葉を何度かお伝えしました。日経平均が最近またすごいことになっていますが、38000超えが話題だった頃、韓国政府は日本をベンチマークするとして、各企業のバリューアップを政策として推進すると発表しました。主にPBR(Price Book-value Ratio)改善などの話でしたが、一部からは「日本企業の場合は十数年前から準備してきたもの」「日本企業は資金に余裕がある」「韓国の大企業グループは企業ガバナンス構造が難しい」などの指摘があり、実際、今年3月バリューアップ政策が発表されたものの、思ったほどの内容はなく、発表当時はむしろ株価が下がったりしました。

年初9日、WGBI国債指数への組み入れの件で、「複数のメディアが、共通して『日本の協力が必要だ』『関係改善したから日本の強力な投資家たちを仲間にできる』ことで、「なにかあればすぐ日本に頼みに来るこのような姿勢、これがもっとも『見もの』ではないだろうか」と書いたばかりですが・・こういう点でも、結局はすぐ日本をベンチマーク(ベンチマークと言っていいかどうかはともかく)するとし、同じ結果は得られない、そんなところであります。で、韓国経済の6月28日の記事ですが、「資本市場研究院」というシンクタンクの人が、日本の株式市場が「私たちと異なるところ」を寄稿しました。今日はこの見解を取り上げてみます。

 

興味深いのは、日本の株式市場は、「2012年から総収益指数を見てみると、日本が米国や台湾より高い」とのことでして。すなわち株式市場の好調は10年以上前から『流れ』が来ていた、というのです。そういきなりいくつかの要素を変えて出来上がったものでもない、アベノミクスからすでに始まった流れである、と。はっきり書かれているわけではありませんが、「なんでいまさら騒いでいるのか」な感じでもあります。日本メディアでもそうありませんが、韓国メディアで、アベノミクス関連でこういう話を聞くのはすごく珍しいことです(この見解が合っているかどうかは別にして、肯定的に評価する話がほぼ無い)。米国や台湾などに比べて「遅れている」「問題がある」などの話ばかりだったような・・そしてそういうのをある種の教養のようにしていた、そんな気がします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・最近、政府がバリューアッププログラムを推進しながら、日本の事例がよく言及されている。筆者が院長である資本市場研究院も関連分析をしている。日本の株式市場が30年余りの不振から抜け出す過程を見ればみるほど、私たちとは異なる部分が多いことが確認できた。まず日本の株価は最近になって好調になったのではなく、10年間着実な上昇傾向を維持してきた。配当再投資を考慮した総収益指数を基準に、2012年以降の累積収益率を比較すると、日本は297%で、米国の271%、台湾の246%より高い。一方、韓国は中国(71%)より低い61%にとどまっている。

韓国では2023年初めから始まった東京取引所の上場企業企業価値向上要求が注目されているが、すでに2013年から推進されたアベノミックスがその始まりといえる。 2014年の経済産業省の依頼で伊藤邦雄一橋大学教授は「持続可能な成長のための企業競争力向上とインセンティブ検討」という報告書を作成したが、その核心は企業ガバナンス構造改善による企業価値の向上だ。これは現在まで推進されている株式市場改革政策の根幹をなしている。

 

アベノミックスで最も強調した部分は資本の効率性であり、企業は自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)で測定された投資収益率が資本費用を上回るかを検討し、これに達しない場合に改善策を提示し、収益性と企業価値の向上に乗り出すことを求められる。これを積極的に励ました機関がGPIFだ。韓国国民年金は保有国内株式の半分程度を委託運用しているが、GPIFはすべて委託運用している。その過程で、運用会社の選定と評価基準にスチュワードコードを積極的に活用する。

 

もう一つの核心軸は東京取引所だ。 2022年上半期の構造改編を通じて、プライム、スタンダード、グロースなど3つの市場に、単純かつ上位市場である支配構造の模範基準履行を強く要求する。上位市場であるプライム市場の場合、社外理事が理事会の3分の1以上を維持し、彼らの責任を強化し、理事会議長を社外理事が引き受けるようにした。特に注目すべき部分は流動株式比率である。上場維持のためには、他企業との相互株式保有、大株主持分などを除いた純粋流動株式比率で35%以上を維持するようにした。これは株式市場の流動性を増やし、一般株主の投資比重増加を通じて企業が企業価値向上を実行する推進動力となっている。

興味深いのは、このような改革がスチュワードシップコードや支配構造の模範基準など、軟性規範(※ソフト・ロー)を通じてなされたという点だ。例えば、上場会社の社外取締役の義務化は、2019年の会社法改正に初めて含まれており、それ以前は、企業が取引所上場要件を合わせるためにこれを実行してきた・・・・日本株式市場の復活は、10年余りにわたる政府と民間の着実な努力の結果といえる(韓国経済)・・>>

 

 

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