韓国、各種統計に入らない「休んでいます」人口が初めて244万人超え・・23年出生児数の10倍以上

6月14日、「休みました(休んでいます)」の話をしたことがあります。ここでいう休んだという表現は、仕事もせず、求職もしないため、「経済活動人口」にカウントされません。すなわち、失業率など各種統計にもカウントされません。ちなみに、非経済活動人口は、不可避な理由(たとえば入院中とか)で仕事を休んでいる人たちまでカウントしますが、この「休んだ」人口の場合は、入院など不可避な理由が「ない」人たちのことです。「休んだ人口」は、主に若い人たちの場合を、世界各国ではニート問題とし、社会問題として対処しています。国によってパターンも様々ではありますが、最近数年間、韓国ではこの「休んでいる」が大きな問題と指摘されるようになり、経済関連ニュースでも取り上げられることが増えました。

今回、今年上半期の最新データが出たので、もう一度取り上げたいと思います。いろいろ理由があるでしょうけど、その「休んでいます」人数が244万人で、最高記録となりました(中央日報、12日)。「15~29歳」と「60歳以上」では減少しましたが、他の年齢代ではすべて増加しています。15~29歳の場合は人口が減少傾向にあることが理由だと記事は分析しています。また、これは記事には書いてありませんが、60歳以上の場合、政府や自治体が「簡単な仕事」をばらまいているのが原因だと思われます。韓国の2023年の出生児の数が、23万人でした。その10倍を軽く超える数値が出たわけですが・・はてさて。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・就職も求職もせず、特別な理由もなく、「ただ休んでいる」人口が今年上半期(1~6月)に最多を記録した。新型コロナ当時の記録をも超えた。景気鈍化が持続し、「働き口のミスマッチ(不一致)」が現れているという分析だ。11日、韓国統計庁の経済活動人口調査マイクロデータを分析してみると、今年上半期の「休みましだ」人口は244万4000人で、前年同期比0.8%増えた。関連の統計集計が始まった2003年以降、最高記録である。休んだ人口は非経済活動人口のうち、病気などがないにもかかわらず、「何もせずにただ休んでいる」と答えた人たちのことだ。休んだ人口は、新型コロナ当時の2021年(以下、すべて上半期基準)243万8000人で最高を記録したが、その後、新型コロナが収まって2022年には229万1000人に減少した。だが、昨年、242万5000人に再び増加する傾向を示し、今年の上半期に入り最高記録を更新したのだ。

年齢代別にみると、青年層(15~29歳)の休んだ人口は3%減少した(マイナス1万3000人)。だが、30代で9.3%(2万5000人)、40代で7.3%(1万9000人)増えるなど、30代、40代で大きな増加幅を見せ、50代も0.5%(2000人)増えた。60歳以上では1.3%減少した(マイナス1万4000人)。通常、「休んだ」人口は、高齢層で多く発生するものだが、60歳以上が小幅で減少し、代わりに「経済の『腰』」(※韓国でよく使う表現で、『中心になって支える』などの意味です)である30代、40代で急増したのは、異例なことである(中央日報)・・>>

 

本文でいう「ミスマッチ」がどういうことかというと、「高学歴である自分にふさわしくない」という理由で、仕事をせず、求職もせずにいるという意味です。記事はその論拠の一つとして、15~29歳青年層の休んだ人口(41万2000人)は青年人口全体の減少などの影響で今年上半期に若干減少したが、初級大学(※1968年まであった短期大学)卒業まで含めて大卒以上に限定した『休んだ青年人口』は15万8000人から16万1000人に、むしろ1.8%増えた」などをあげています。これは青年層だけでなく、仕事を失った40代なども、『より良い条件の職場』を探しているため、結局は『ヤスムンジャー』になってしまう、とのことでして。

前から、いわゆる「1年にもならない超短期就職者が多い(すぐ仕事をやめる人が多い)」理由の一つとされていましたが、それでも数年前、十数年前の記事では「求職はする(『休んだ』にはならない)」のが一般的な、そんなニュアンスでしたが・・見つからないから休むしかなくなった、といったところでしょうか。ある程度の資産(多くの場合は親の資産でしょうけど)があって、それで「ただ、休む」選択をした人も多いでしょう。個人的な考えですが、そういう場合、ネットなどを使った『投資』いわゆるヨンクルなどに流れやすいのではないか・・そんな気もします。

 

でも、それ『だけ』なのか? については、疑問もあります。ここからハンギョレ新聞の記事までのデータは個人的に調べたものでソース記事には書いてありませんが、20代と30代の「休んだ人口」は68万人(20代39万5000人、30代28万5000人)。20代・30代の総人口は1271万5000人。20代・30代の『休んだ人口』は5.34%、100人に5人以上となります。これが、去年までは4%台(時期にもよりますが4.6%~4.7%あたり)だった、とのことでして。20代・30代の人口は毎年約20万人減少しているのに、割合は増加しているわけです。

しかも、スピードが速いですね。6月にこの話を取り上げたときには、各メディアは統計庁が発表した「5月」雇用関連データをソースにしていました。たとえばハンギョレ新聞(6月12日)の場合、「30~40代の『休んだ人口』が1年前より10%以上も増えた」としながら、「(6月)12日に韓国統計庁が発表した5月雇用動向によれば、先月の休んだ人口は233万4000人で、1年前より87000人(3.9%)増え、3カ月連続で増加傾向を示した」となっていました。もう244万4000人ですか。しかも、あれほど「簡単なお仕事」をばらまいておいて。

 

 

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