前にも何度か取り上げましたが、LINE資本(持分)見直し関連、続報です。日本総務省が、LINE関連の持分見直し(資本関係見直し)を事実上撤回したという報道がありました。朝鮮日報のスクープ報道で、他のメディアは報じていません。ただ、読んでみるとちょっと「?」な部分もあります。読み方によっては、セキュリティー問題に関する対策計画がちゃんとしていると相応の評価をしただけではないのか・・そんな気もします。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・日本政府がラインヤフーの持分を売るようにネイバーにしていた要求を、事実上撤回した。当初、日本政府は個人情報約52万件を流出する事故を起こしたラインヤフーに対して、3月と4月2回の行政指導を下し、「ネイバーの資本関係の見直し」を要求した。しかしこれに韓国側の反発が強くなると、関係改善を最大の功績としている日本岸田政権が、無理な要求をやめて立場を変えたものと見られる。日本総務省のハイレベル関係者は12日、本誌とのインタビューで、「ラインヤフーが1日提出した対策報告書は、よく言われる絵の中の餅(実際には不可能なこと)」ではなく、きちんとした計画で、高く評価する」 、「ラインヤフーは問題になったセキュリティーガバナンス(セキュリティ関連支配構造・Security Governance)についても、社内ガバナンス委員会の設置や社外取締役強化などの対策を出すことで(総務省の要求を)満たした」とした・・
・・先に行政指導でセキュリティーガバナンスを強化するためにネイバーの持分見直しを要求した。ラインヤフーが母会社であるネイバーをきちんと管理・監督できないため、個人情報流出事故が起こったので、これに関連する問題をまず解消するという論理だった。だが、この関係者は「(ネイバー)持分の買取・売却は総務省とは関係ないこと」とし「今後ラインヤフーの報告書履行の有無を点検するとき(ネイバー持分問題はリストに)入っていない」とした。現在対策だけでも十分だから、ネイバーの持分売却を要求しないという意味だ。総務省は変わった立場をラインヤフーはもちろん、日本のソフトバンクにも伝えたという。ソフトバンクとネイバーはラインヤフーの最大株主であるAホールディングスの持分を各50%ずつ確保した共同経営権者だ(朝鮮日報)・・>>
ただ、ソース記事より10日位前のものですが、総務省が立場を変えたのではなく、「前からそういうスタンスだった」という指摘もあります。たとえば、総務省は今まで一度も「資本関係見直しが目的」とは言ったことがない、というのです。5日の中央日報がそうです。当時、松本剛明総務相の記者会見がありましたが、その場でも「報告書を肯定的に評価する」「資本関係見直しが目的ではない」と話していました。中央日報はこれを「いままでと同じ」としています。朝鮮日報の場合は匿名関係者への取材結果だから異なる部分もあるでしょうけど、それでもずいぶんニュアンスが異なる書き方です。(引用部分にはありませんが)5日の記事で中央日報も「総務省が報告書を肯定評価したことで両社の問題になったが、協議は長く続くと見られる」とだけ書いており、朝鮮日報のような『勝った』的な(?)書き方はしていません。
<<・・松本総務相は今回の会見で、支配構造関係に関する質問を受けると、二次行政指導以後の日本政府が出した立場をそのまま固守する発言を出した。個人情報保護のための対策の準備を要求しただけで、「資本関係の変更自体が目的ではない」という説明だ。彼は「(ネイバーとの)委託関係終了、縮小終了計画を受けた」とし、内容に言及した。報告書で具体的なネイバーとの契約に限らずラインヤフーの全体的な取り組みを確認したという話だった。彼は「ラインヤフーも問題の重大性を受け入れると同時に、迅速な対応が必要だという認識で進行することを報告書を通じて読むことができた」とも話した(中央日報)・・>>
また、総務省がどういうスタンスなのかは別にして、資本関係見直しは今も進行中で、ただ「短期間でできるものではない」とされています。他のメディアの記事には1日に出したという報告書の内容が紹介されていますが、ちゃんと「資本関係の見直し(韓国メディアのいう『持分売却』)」に協力するという内容が書いてあります。たとえばロイターの当日(7月1日)の記事を読んでみると、こうなっています。 <<・・資本関係の見直しを依頼したが、両社間で「現状では、短期的な資本移動には困難が伴うとの認識に至っている」と報告を受けたと明らかにした。個人情報流出問題を巡り総務省はLINEヤフーに行政指導を行い、ネイバーとの資本関係の見直しを求めていた。今回、行政指導に対する報告書を公表した。報告書はまた、ネイバー、ソフトバンクともに協力的に対応しているとし、同社も「議論が進展するよう引き続き取り組む」とした(ロイター)・・>>、と。
どうでしょうね。本当の流れをちゃんと読み取ったのは、中央日報の記事か、それとも朝鮮日報の記事か。朝鮮日報は「ユン大統領の対応など、韓国の反発が効いた」を強調していますが、ちょうど共に民主党から「もっと強い対応を」という話が続いていますが、それと関係があるのかどうか。
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