韓国で、失業給与(失業手当)の不正受給が大きな問題となっています。前の国会でこの問題をなんとかするための改正法案が発議されたものの、労働団体などと仲の良い野党の影響もあって、成立できませんでした。今回また改正に挑む、とのことです。改正は『申請する回数』を基準にしていて、賛否が分かれています。「失業者が多くなったから」がもっとも大きな原因でしょうけど、不正受給が多いのもまた事実です。失業は韓国語で「シロップ」と読みますが、それがメープルシロップなどのシロップと発音が似ていて、『甘くておいしい』の意味で「シロップ給与」という新造語までできた、とのことでして。
関連ニュースが目立つようになったのは、確か去年からです。最新の記事は法律改正に集中していて、不正受給については取り上げていないものも多いので、以下は東亜日報(2023年9月21日)の記事の内容です。偽就業で失業手当をゲットしようとして摘発された件だけでも2023年1~7月で4万6900件を超えている、とのことでして。偽書類を提出したり、形ばかりの求職活動をして摘発された事例が4万6909件。ちょっと期間が異なりますが、2022年上半期には(同じ理由で摘発された件数が)69件だけでした。しかし、7月から政府が「新型コロナ関連対策などで、失業手当支給認定がゆるくなっている」などの理由で管理監督を強化した結果、2022年下半期に1295件、2023年は7月まで4万6909件に増えたわけです。
東亜日報は当時の記事で、『摘発されていない分まで含めると、多分うわあぁぁ』な趣旨を書いていますが・・実際、そうでしょう。ブローカーも多いとかそんな話もあります。今年もソース記事に明記はされていないものの、シロップ好きたちの不正受給は相次いでいて、結局政府がまた法律改正に乗り出したわけですが・・今回は通るのか、よくわかりません。ただ、この話、賛否は分かれています。政府は『短い期間で繰り返して手当を申請した場合、支給金額を最大半分以上削減する』としていますが、「もともと短い期間した働けない「短期間契約勤務」が多く、次の仕事が見つからない場合は失業手当を申請することになるのに、そういう場合はどうすればいいのか」などの反論が出ています。
ちなみに、ネット事典から超ざっくり引用しますと、「失業手当を受けるためには、雇用保険に加入した事業場で退職前18ヶ月(短時間労働者の場合は24ヶ月以上)の期間中180日以上勤務していなければならない。失業手当は失職者が雇用保険に加入した期間及び退職する時の年齢により90~240日間支給される。支払金額は離職前職場で支給された平均賃金の60%を受ける」となっています。政府は、これを「5年間3回以上求職給与(失業手当)を繰り返して受けた人に対して、回数別に給与額を最大50%減額する内容を含んでいる。5年間3回の場合は10%、4回は25%、5回は40%、6回以上は50%減額する」としています。低賃金の人の場合はなんとか例外にすると言っていますが、詳しくはまだ未定とのことです・・って、野党がこのまま賛成することはまずないと思います。実はこれ、最低賃金が関わっていることから、『また』文在寅政権が関わっているとも言える案件ですが・・とりあえず、以下、2023年の東亜日報の記事を<<~>>で引用してみます。
<<・・再就職よりも、失業手当の受け取りに没頭する理由は、働いていた時よりも、そうでない時のほうが、より多くのお金を受け取る不思議な構造によるものだ。失業手当は下限額が最低賃金の80%と定められており、下限額(185万ウォン)だけをもらっても、最低賃金(201万ウォン)を受け取る人が公的保険料と税金を払って手にする実受領額と、あまり差がなくなる。昨年、失業手当の受給者の28%は、在職時に受け取った税引き後の月給よりむしろ多くのお金を受け取った。失業手当を受け取るために雇用保険料を払う期間も6ヵ月で、12ヵ月を要求する日本やドイツに比べて敷居が低い。このため、失業手当を繰り返し受け取る割合は増え、失業給付の受給者の再就職率は下がりつつある。
失業手当の財源である雇用保険基金は、10兆ウォン以上あった積立金が底をつき、他の基金から借りた10兆3000億ウォン以外だと、3兆9000億ウォンの赤字となっている。雇用保険料率も上がり、労働者と使用者が追加で負担した保険料が5兆ウォンを超える。税金の無駄遣いになるだけでなく、誠実に保険料を払った人の労働意欲までなくしてしまうこの失業手当を、このままにしておくわけにはいかない。不正受給を徹底的に選別し、失業手当の支給条件を強化し、下限額は下げて、再就職を奨励する制度の趣旨を活かすべきであろう(東亜日報)・・>>
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