本ブログでも取り上げる頻度が増えてきましたが、最近、韓国メディアの「働き口」関連記事が大幅に増えました。日本では「韓国の平均賃金が~」な話も聞こえてきますが、少なくとも韓国内の関連記事は、問題を指摘するものがほとんどです。様々な記事がありましたが、今日は「政府が直接雇用する分が(今年の予定分まで含めて)117万個なのに、今年上半期に実際に増えた就業者数は去年比で22万人だった、という話です。また、一昨日~昨日、朝鮮日報、中央日報など大手をはじめ、複数のメディアが「非自発的失業」という言葉を取り上げています。言葉通りの意味で、リストラなどで、もっと働きたいのに仕事を失う場合のことです。これも合わせて取り上げてみます。
最近何度か取り上げた、『私にふさわしくない』という理由で(主に賃金が安いなどの理由で)仕事を辞める場合は、ここにはカウントされません。そういうのは自発的だからです。また、例の「休みました」もカウントされません。リストラももちろんそうですが、仕事場の休業・廃業なども非自発的失業になります。この前、中国では上半期100万の店が廃業、韓国では去年、小商工人(自営業者)100万人が廃業したという100万繋がりの話をしたことがありますが、そういう流れとも関係しているのでしょう。韓国は大企業グループが多いイメージですが、国内での雇用創出は意外なほど少なく、時期にもよりますがもっとも多くの雇用が発生するカテゴリーが『卸売・小売』または『飲食店など』だったりします。
データによると、もっとも非自発的失業が多いのは建設業です。しかし一般的に「自営業」とされる、「卸売・小売業」、「飲食店など」でもそれぞれ「製造業」とほぼ同じ数になっており、2つを合わせると「製造業」の2倍になります。いわば、「店の廃業によるもの」が多いわけです。20代、そして50代で特に大幅に増加しています。今年1月には(前年同期比で)非自発的失業は減少するように見えましたが(前年が新型コロナ期間だった影響でしょうか)、再び増加、いまは非自発的失業は123万7500人になりました。去年同期比で、1~4月にはちなみに、2022年基準で日本の完全失業者は約178万人(自発・非自発関係なく、求職活動をしていて仕事があればすぐ仕事に就ける人たち)とされています。以下、<<~>>で引用部分です。
<<・・解雇されたり職場が廃業するなどの理由で雇用を失った「非自発的」失業者が、6月123万7000人に達した。このような非自発的失業者は最近5ヶ月連続でますます大きく増えている・・・・非自発的失業者は今年2月に前年同月比7万人(4.3%)増加し、3月に7万6000人(5.9%)、4月8万2000人(6.9%)、5月15万8000人(14.7%) %)増加した。5カ月目、増加幅が拡大し続ける状況だ。高い物価と金利負担が続く中、内需不振まで重なり、扉を閉める事業体が多くなったためとみられる。非自発的失業者が最も大きな幅に増えた年齢帯は50代(※前年同期比27.1%増加)だった。50代以上の場合、建設業従事者の割合が高い方だが、最近建設業不振で一部の現場建設業務が中断されるなど、雇用条件が難しくなった影響だ。40代(20.7%)も高い増加率を記録した。15~29歳の青年層の非自発的失業者は先月22万7000人に達し、前年同月比17.8%増えた。30代でも6%増加した。
産業別にみると、製造業で43.4%増加し(※データ時点で13万9944人)、建設業(34.1%、同じく20万1798人)など主要産業で非自発的失業者が大幅に増えた。これは、「季節的な要因」で失業者が増えたのではなく、昨年と同じ時と比較して雇用市場の不安定さが深化したことを意味する。現在不振を経験している内需関連産業でも同じだ。卸売・小売業(33.7%増加、12万8810人)と、宿泊・飲食店業(24.4%、12万1406人)でも、非自発的失業者が増加した。研究開発(R&D)などを含む専門科学及び技術サービス業でも、今年6月、非自発的失業者が前年同月比21.7%(※3万5944人)増加した(中央日報)・・>>
繰り返しになりますが、最近、こういう雇用関連の話が多くなりました。特に青年(データによりますが29歳まで)雇用関連が目立ちますが、40代・50代の雇用が減っているとか、あいかわらず「政府や自治体の直接雇用により」60歳以上の雇用ばかり増えていく、などなどほぼ全年齢代におよぶ内容です。その影響もあって、60歳以上勤労者の比重で、すでに韓国が日本より多くなっています。6月14日の中央日報の記事によると、高齢者率では日本のほうが高い(高齢・超高齢社会進入時期が早かった)にもかかわらず、60歳以上勤労者比重は韓国が高い、ということになります。日本は2024年22.1%(1488万人)、韓国は2024年22.4%(637万人)。
記事はこの結果を、「高齢層を対象とした直接雇用政策も高齢就業者の割合を高めた理由の一つだ。政府は今年直接雇用117万個を作ると明らかにしたが、この中で高齢者雇用が103万個だ。昨年(88万3000個)より14万7000個増えた」としています。じゃ、別ソースになりますが「アイニュース24」というネットメディアから、今年になってから各年齢代の就業者数がどうなったかを見てみましょう。今年上半期(6月まで)のデータで、総就業者は2844万9000人、去年同期比でプラス22万人でした。同じく去年同期比で、15~29歳の場合はマイナス11万5000人、30代はプラス9万1000人、40代就業者はマイナス8万2000人、50代はプラス4万3000人、60代以上の就業者はプラス28万2000人。70代以上だけにした場合、去年同期比でプラス15万人。例の「直接雇用」、予定数の117万個のうち上半期にどれだけできたのかわかりませんが、それでこの結果ですから・・
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