力動経済という言葉があって、関連記事を読んでみました。そういえば朴槿恵政権のときに「創造経済」という言葉がありましたが、そういうふうに何かの「呼び名」を付けたかったのかもしれません。そういえば、今までも似たようなものがあった気もしますが・・あまり話題にはならなかったりしました。今回も、「政策ブリーフィング」というところで確認して、はじめてこういうのがあるとわかりました。政策ブリーフィングはメディア名ではなく、一応ポータルサイトなどで「ニュース」カテゴリーで出てきますが、その名の通り政府の政策ブリーフィング関連ホームページです。
で、3日に力動経済ロードマップというものを発表したそうですが(記事は12日のもの)、具体的になにがどう力動なのかではなく、書いてあるのは「FTA」関連でした。韓国ではFTAを経済領土と言います。どういうことかと言いますと、韓国がFTAを結んでいる国をすべて合わせると、世界経済の85%になる、とのことです。これを「政策ブリーフィング」は「経済領土85%で世界2位」としています。ちなみに、1位は87%のシンガポールだそうです。自分なりの考えを先に書きますと、これはこれで、別にFTAで行くなら、それはそれでいいかもしれません。でも、いま韓国が気にすべきことは、FTAよりは世界経済の再編・・米中の対立で象徴される、サプライチェーンの再編などではないでしょうか。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・政府が7月3日「力動経済ロードマップ」を発表し、グローバルネットワーク拡張という新・通商政策の青写真を提示した。2027年まで経済領土を90%まで拡大してFTA世界1位を達成するという戦略だ。力動経済ロードマップによると、韓国は新規FTA締結および既存のFTAアップグレード、新規分野・新興地域と多層的通常協力を展開し、グローバルネットワークをさらに拡大することになる。政府がグローバルネットワークを広げようとするのは、輸出依存度の高い経済の持続成長には市場拡大が必須と判断したためだ・・・・2023年現在、韓国は全世界59カ国(件数では21件)とFTAを締結・発効中だ。韓国とFTAを結んでいる国家の国内総生産(GDP)規模を足し合わせれば全世界GDPの85%にもなる。中継貿易国として知られるシンガポール(87%)だけが我が国より僅かに先を行っている・・
・・政府はFTAを媒介とした両国間・多国間協力を展開し、新たな分野に対する新・通商規範を形成するなど多様な通常協力を広げていく計画だ。今年下半期「通商政策ロードマップ」を発表し、FTA拡大のための戦略も本格推進する方針だ。3月に開かれたFTA発効20周年記念行事でジョンインギョ通商交渉本部長は「FTAを通じて全世界国内総生産(GDP)85%に達する国々と構築した通常ネットワークは対外不確実性とリスクに対応する上で重要な政策手段」と評価しながら「経済安全保障時代に合わせて柔軟で多様な形態の通常協定を継続推進してサプライチェーンを安定化し、韓国企業が思いっきり飛び出せる経済のプレイグラウンドを広げていく」と強調した。せまい国土の限界を乗り越え、経済領土を最大限に拡大するというグローバルネットワーク拡大戦略とダイナミック経済ロードマップに経済界の関心が集まる理由だ(政策ブリーフィング)・・>>
政策ブリーフィングでは「経済安保時代だからこそFTAで」という主張をしていますが、一部のメディア・・メディアと言うよりは書いた人による部分が大きいですが、一部は『FTAは世界化時代のもの』とし、いまはまた別の時代になっていると指摘しています。当時、日中韓首脳会談で中国は3国間のFTAを主張し、韓国は中国にFTA拡大・強化を話しました。文化日報(6月3日)は、今が『経済安保時代』である点が重要だとし、FTAが必要なら、中国より自由民主主義陣営で動いているCPTPPに入ったほうがいいではないか、としています(引用部分にはありませんが)。続けて引用してみます。
<<・・日中韓首脳会議を契機に、中国との自由貿易協定(FTA)が公論化する気流だ。ユン大統領と李強中国首相は会談の際、中韓FTA2段階交渉に合意し、日中韓首脳会議後には3国FTA交渉加速化方針が発表された。 FTAに積極的な方は中国だ。李首相は、域内産業網・供給網協力強化とともに、3国FTAの必要性を強調した。「経済協力方案の一つ」と言及したユン大統領や「率直な意見交換」と表現した岸田文雄日本首相よりもトーンが強い(※記事ではこう書いていますが、ユン大統領は中韓首脳会談で中国側にFTA強化を要請したとされています)・・
・・米国大統領選挙を5カ月余り控えた状態で、中国が日韓とのFTAを言い出した理由を推測することは難しくない。ジョー・バイデン大統領が再選されても(※記事は6月3日のもので、バイデン氏は今日候補から撤退しました)、ドナルド・トランプ前大統領がホワイトハウスに復帰しても、ワシントンの対中貿易の壁はどんどん高くなる。日韓との自由貿易拡大でこれを迂回して突破するというものだ。体制が違っても物資とサービスの自由化をしようというFTAは、基本的にグローバル化時代の遺産だ。中韓FTAが妥結した2014年や、日中韓FTA交渉が進行されていた2012年~2019年の頃は、その論理が通じる時代だった。今は経済安全保障優先時代であり、米中サプライチェーンの分離も明らかになった(文化日報)・・>>
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