本題は、各企業のリショアリング(生産拠点の国内回帰)関連ですが、一つ前のエントリーで紹介した超伝導体LKK-117についても続報があったので、合わせて紹介したいと思います。コメントも2つ合わせてどうぞ。まずLKK-117ですが、一つ前に紹介した記事と同じソース朝鮮日報(朝鮮BIZ)によると、例のシーシーエスという企業の株価が、昨日は22%も急騰し、今朝(9時50分時点)も8%上昇中です。本題(リショアリング)に入る前に、ちょっとだけ引用してみます。
<<・・シーシーエスは22%以上上昇し、3375ウォンで取引された。今日も午前9時50分基準の8%上昇中だ。超伝導体のテーマ株とされるソナン塗装も12%以上上がり、シンソンデルタテックは8%台、アセンディオは9%台上昇して取引された。以後は上昇の幅が縮小している。クォン代表は前日、記者懇談会を開き、LK-99の純度を高めたLKK-17を開発したと発表した。昨年7月LK-99が常温超伝導体だと主張する論文を書いた著者の一人だ(朝鮮日報)・・>>
ある意味、社会像が『よくわかる』案件ではないでしょうか。家計債務関連で多くのデータを紹介してきましたが、超伝導体も家計債務や不動産バブル関連でよく出てくる『マンション』という存在と同じく、『手に入れれば、すべてがなんとかなる』という夢の対象になっているのかもしれません。では、ここからリショアリング関連です(本題よりLK-177関連コメントが多そうな気もしますが)。最近中央日報が、「いろいろ、出ていくばかり」というテーマの記事を増やしています。本ブログでも6月19日に取り上げたことがありますが、富裕層が海外に出ていくとか(流動性投資可能資産100万米ドル以上所有の人の純流出、中国1位、イギリス2位、インド3位、韓国が4位、日本はほとんど動かず、などなど)、各企業が海外に行って、そして『国内回帰する予定または計画』を持っている企業が不思議なほど少ないとか、そんな内容です。
正式にシリーズ記事になっているわけではありませんが、今回のリショアリング関連も、似たような趣旨ではないでしょうか。そういえば、ピークコリアという言葉を大きく取り上げたのも中央日報でした。最初なのかまでは確認できませんが、中央日報がこの言葉を使ってから、一時期結構有名になりました。そこで日本のメディアが同じ単語を使ったことで、「日本メディアがこんなことを書いた」とされ、それから各メディアの記事からこの単語が一気に消えました。それでは、以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・(※ヒュンダイ車がロシア・中国の工場を売却したことで)国際情勢不確実性が大きいロシア・中国投資を減らす代わりに、東南アジア・米国などで生産拠点を組む形だ。韓国はその拠点の選択肢に入ってなかった。これとは異なり、日本の自動車業界は数年前から「メイドインジャパン(Made in Japan)」の風が吹いた。ホンダは23年間運営していたメキシコ工場を2016年に日本埼玉県に移した。トヨタは2017年、米国インディアナ州工場で作っていたベストセラーの中型セダン「カムリ」年間10万台の生産分を愛知県工場に移した。日産は2017年に北米で作ったスポーツユーティリティティー(SUV)の物量の一部を日本工場に回した。朝日新聞は、日本自動車企業の国内復帰について「安価な人件費を求めて海外に行った日本企業が、円安効果、サプライチェーン関連の不安定、経済安全保障意識の強化、「メイドインジャパン」に対する消費者の信頼に応じて、国内に戻る事例が続いている」と報道した。
円安をウォン安にしてみると(※現在、ウォンも安くなっている状態です)、日本と韓国は条件が似ているが、このように両国企業の選択は異なるものだった。韓国企業が外国に行くことを減らすのも重要だが、彼らを再び国内に誘致することの重要さも高くなっている。イサンホ韓国経済研究院経済産業本部長は「大企業が韓国に復帰する場合、直接雇用創出効果だけでなく、協力企業など中小・中堅企業で経済波及力が大きい」と説明した・・
・・世界各国が海外進出企業の海外生産施設を国内に移す「リショアリング(reshoring)」政策を積極的に推進している理由だ。米国が半導体・電気自動車などグローバル先端産業のブラックホールとなったのも、国内投資に対する莫大な企業補助金とインセンティブのためだ。欧州が掲げた核心原資材法(CRMA)も同様の内容だ。日本は、海外進出企業が本国に帰って来る場合、日本政府が移転費用の3分の2まで支援する。韓国経済研究院によると、米国はリショアリング企業が2014年340カ所から、2021年に1844カ所に急増した。欧州は2016~2018年193カ所、日本は2006~2018年7633カ所が本国に戻った(中央日報)・・>>
引用部分にはありませんが、韓国の場合は2020年23社、2021年26社、2022年23社、2023年22社。同じ内容を取り上げた韓国経済TV(7月1日)の記事では、2024年上半期には4社だけだった、とも。他にも、国内の投資家たちの動向が、基本的に海外への投資に変わっている、との話も載っています。最後にちょっとツッコみを入れますと、記事は「円安とウォン安は似たようなもの」としていますが、ハード・カレンシーである円の場合、ウォンとは異なるでしょう。また、「条件が似ているのに各企業の選択は異なる」となっていますが、記事で紹介されている「国内製造品質の信頼、サプライチェーン問題、国際情勢」などにおいて、本当に「条件は同じ」なのでしょうか。個人的に、超伝導レベルでそうは思えません。
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