韓国政府が20代就業者に低金利で貸した資金、10%は返済されず

一つ前のエントリーもそうでしたが、債務関連で多くの記事が出ています。いつものことですが、最近(体感としては6月~7月)になってから特に増えた気がします。一つずつ取り上げてもキリがないので、個人的に気になったもの、または前に紹介した話の続報などをまとめてみました。まず、「政策金融」の話です。「債務の当然化」が進む韓国では、政府(傘下公共機関など)が、政策庶民金融商品というものを運用しています。青年用、自営業者用など多くの種類があります。基本的には、金融機関から普通に借りるには力が足りない人たちのために、比較的安い金利で政府がローンの形で提供する(政府が保証して金融機関が貸す)という趣旨です。

趣旨そのものは別に問題ないですが、この政策庶民金融、ちゃんと返さない人たちが多く、5月には共に民主党の国会議員が「ちゃんと返済しない人が多く、2023年だけで公共機関が13兆4000億ウォン以上を代位弁済した」とデータを公開して話題になったりしました。SBS(SBSbiz)が今回も同じ趣旨のデータを取り上げました。20代就業者を対象にした「日差しローン・ユース」という商品に限ってのものですが(もっと調べればもっと出てくるでしょう)、10%は返済されないでいる、とのことでして。しかも申請者が多すぎで、1年分がすでに上半期だけで底をついた、とも。なんと、なんと4.5%(最高で)という超・低金利なのに、です。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・「庶民金融振興院」が国会政務委ミンビョンドク議員室に提出した資料によると、6月末基準「日差しローン・ユース」供給額は981億ウォンと集計されました。当初1000億ウォンだった年間供給目標をほぼ半年ぶりに使い尽くしたのです。昨年も2000億ウォンだった年初目標を超えて3000億ウォン規模が供給されましたが、今年も同様の流れです・・・・日差しローン・ユースは、就職準備生と社会初年生に最高年4.5%の利子で最大1200万ウォンを貸す政策資金信用融資です。青年層の融資需要が特に目立っている状況で・・・・景気後退の中、それほど青年たちの経済条件が良くないという意味です。統計上、20代就業者数が20ヶ月連続で減少し、初めての雇用も臨時職・日用職である青年層の比重が最高水準を記録しました。ちゃんと返済できず、庶民金融振興院が代わりに返済した比率も、日差しローン・ユースも初めて10%を突破しました(SBSbiz)・・>>

 

ちなみに、5月基準で、去年(2023年5月)と比べて、15歳~29歳の常用職(正規職と『1年以上の契約職』をあわせた数値)が19万5000人も減少しました。これは、同年齢代の常用職全ての約7.6%にあたいし、関連データ作成されてから最大の減少幅です。次は自営業者関連です。16日にも、2023年に小商工人・自営業者が100万人も廃業したというデータを紹介しましたが、さらにいろいろとデータが出てきています。どうやら、自営業者10人の6人は「多重債務者」で、第2金融圏「貯蓄銀行」での延滞率が9.9%まで上がった、とのことでして。

多重債務者というのは、韓国では3箇所以上の金融機関からお金を借りた人」と定義されています。人によって状況は異なるでしょうけど、一般的に、家計債務・自営業者債務においてももっとも脆弱な層とされます。その数は、集計によって多少変化するものの、452万8000人。金額(家計債務)で618兆2000億ウォン。データとして確認できる家計債務において、「家計債務がある人」の22.7%、金額で33.0%になります。特に、6月23日ニューシースなどの記事によると、「2030(20代、30代)の多重債務者は142万人」とのことです。確か、20代・30代が約1300万人ですから、かなりの%になります。

 

その多重債務者ですが、自営業者債務が約1050兆ウォンとされる中、金額基準で71.3%、人数基準で57%の自営業者が多重債務者だ、とのことでして。こちらはファイナンシャルニュース(22日)が報じています。第1金融圏(普通の銀行)を利用できない人たちは、まっさきに「貯蓄銀行」を訪れます。第2金融圏には他にもいくつか種類がありますが、貯蓄銀行は比較的お金を借りやすいとされています。理由は、貯蓄銀行は「預金」があるからです。貸す(ローン)だけでなく預かる(預金)こともやるので、「貸すだけの機関(与信専門と言います)に比べると、資金を確保しやすくなります。貸すためにも、どこかでその資金を確保しないといけません。

貸す人たちも、どこかから借りてくるわけです。だから、預金の存在は金融機関にとって結構大きいです。でも、延滞率が・・発表される各種延滞率データが低すぎでちょっと不思議ですが・・そんな不思議の中でも9.9%。というか、貯蓄銀行は新規ローンのハードルをかなり上げた、とも言われています。不動産(プロジェクト・ファイナンス)関連で、政府が不良債権の片付けを要求しているからです。

 

ちなみに、最低賃金の影響で「雇用無し自営業者(店員を雇わない自営業者)」が大幅に増え、「お一人社長様」という言葉が流行ったりしましたが、どうやら、最近はその数が減少しているようです。労働団体などは「ほら、最低賃金を上げても問題ないんよ(ちゃんと人を雇っている)」としていますが、専門家たちは「いや、店ごと畳んだからだよ」としています。とにもかくにも、「借りる」「貸す」関連で話題が尽きない今日この頃です。

 

 

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売中です(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。