韓国大手オンラインショッピングサイト、TMON・ウィメップ問題について

一歩遅れて紹介する形になりました。自分自身、「ソーシャルコマース」たるオンラインショッピングサイトを利用したことがないので、こんなに大きな事態になっているとは気づかなかったからです。結論から申し上げますと、「TMON」と「ウィメップ」という、韓国の大手「ソーシャルコマース」サイトが、事実上、破綻しました。未精算金額だけで、5000億ウォン~7000億ウォンで、社員が残したとされるメモなどには、販売店(TMONに商品を出した販売側)と消費者(利用者、買う側)合わせて1兆ウォンに及ぶという話もあり、数万の自営業者が破綻のピンチに立たされている、という話も聞こえてきます。メディアにもよりますが、代金が受け取れなかった販売店だけ6万は軽く超えていて、多くは零細企業だそうです。

ソーシャルコマースというのは、一定期間の共同購買の形でモノを購入するショッピングサイトのことです。一説によると「なにか購入したいものがあるとき、共同で購買すると価格が安くなるから、SNSで同じものを買おうとする人とコミュニケーションを取ろうとする」などの意味で、ソーシャルコマースという名になった、とも言われています。もう10年以上前のことですが、韓国ではこういう形のショッピングサイトを「オンライン先進国の証」などと高く評価する時代もありました。当時、主に各種チケットをメインにしていた「チケットモンスター」(某ゲームを意識た社名でしょうか)が、いまのTMONです。

 

創業者のシンヒョンソン氏は、一時は「第2世代ベンチャー神話」の主役とされたりしました(よくわからないけどこう呼ばれています)。シンヒョンソン氏は、クォンドヒョン氏とともに「ルナ」「テラ」という暗号通貨の開発にかかわった人物でもあります。それから、この会社はシンガポールのQ10という会社のものになりました。シンガポールといっても、代表は韓国のクヨンベ氏です。それから、各メディアの報道によると「とにかく安く売ろうとする形」「クーポンばらまき」「無理な営業拡大」などが原因で、このような結果になりました。ちなみにウィメップは「ウィーメイクプライス」の略で、TMON系列会社で、ほぼ同じ理由で、今回事実上破綻しました。

 

TMON・ウィメップは、販売店側(売る側)への代金支払いも、消費者側(サイト利用者、買う側)への払い戻しも行うことができないとしましたが、数千人の利用者が本社ビルに集結、急に「払い戻しに応じます」ということにしていますが、途中で資金がつきたのか、「待ち」状態が延々と続いています。特にマネーSノーカットニュースなどの報道によると、一部の利用者たちは本社ビルからPCやテレビを持ち帰った、とのことです。また、Q10(キューテン)のクヨンベ代表とは連絡もできないでいます。以下、<<~>>から引用してみます。

 

<<・・TMON・ウィメップの大規模な支給不能事態による影響がどんどん大きくなり、これらの親企業のキューテンのクヨンベ代表責任論が大きくなっている。キューテンの『体格だけふくらませる』やり方から問題が始まったという指摘が出ているが、ク代表が姿を現わず、利用者たちの不安も大きくなっている。ク代表は韓国のEコマース第1世代経営者としてGマーケット成功神話の主人公とされる。彼は2003年インターパークで勤務し、社内ベンチャーの形でGマーケットを創業し、2009年Gマーケットを3億5千万ドル(約4500億ウォン)にeBayに売却した・・

・・2010年シンガポールにキューテンを設立した。そして10年が過ぎ、2019年にキューテンをはじめ物流子会社のキューエクスプレスの韓国法人を作り、国内事業を再開した。以後、持分交換方式でTMON、ウィメップなどを買収した。また今年はAKモールなどを買収した。これら企業も買収される当時は返済すべき借金が資本より多い状態だった。これに加え、米国ベースのグローバルショッピングプラットフォーム「ウィッシュ」を買収し、TMONやウィメップの資金まで使って流動性問題が生じた・・

 

・・資金事情は良くなかったが、体格だけ大きくすることに集中し、今回の事態が発生したという指摘が出ている。払い戻しできずにいる利用者だけでなく、代金がかかっている中小企業や小商工人なども懸念されている。ほとんどは中小販売者という点も問題だ。事態解決のためには緊急資金を投入しなければならないが、キューテンそのものの資金状況も良くないと伝えられる。このため、この事態の張本人であるク代表が問題解決に乗り出さなければならないという声が大きい・・・・ク代表とは、会社はもちろん金融当局も連絡できないでいると伝えられた(ノーカットニュース)・・>>

 

<<・・精算遅延などにより、TMON利用者の一部が本社ビルからコンピュータやテレビなどを持って行った・・・・本人の力で権利を実現する「自力救済」は国内法では認められていない・・・・25日からTMONウィメップ問題と関連、利用者たちはソウル江南区の両社の本社ビルを訪れ、払い戻しなどを要求した。一部の利用者が、ビルにあったコンピュータやテレビなどを持っていったという。中古取引に売って現金化したり、返金してもらえるまで物を返さないという意図だと思われる・・・・26日午前8時基準約2000人に払い戻しが完了したが・・・・TMONはすぐに返金できる金額が30億ウォン位しかない。返金を受けようとする消費者たちが集まり、本社ビルは混雑している(ニューシース)・・>>

 

 

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