韓国、長引く不況・・最低賃金未満300万人(530万人との主張も)、賃金未払い1兆ウォン(1~6月)

最低賃金がもらえない人が300万人を超え、「実は530万人でした(じゃーん)」な話が出てきて、賃金未払いも上半期だけで1兆ウォンを超えたというニュースもありました。2009年に(年間で)1兆ウォンを超えたとき、かなり話題になったと記憶していますが。前にも同じ文章を書いた記憶がありますが、最近韓国メディアにこの手の記事が大幅に増えました。賃金未払いなどは、1年に2回、ソルとチュソク(旧暦1月1日と8月15日)だけでした。「稼いだお金でプレゼントを用意して笑顔で故郷に帰って家族と幸せに過ごす」というイメージがあったからです。

でも、いつのまにかすっかり定番ニュースになって、最近は3ヶ月に1回、最新データはほぼ全てのメディアが記事を出すようになりました。今回、数カ月分の記事なのでソース記事も多く、国民日報(5月17日)、東亜日報(8月1日)、毎日経済(7月13日)です。最低賃金がもらえない人たちについても、政府データでは300万人(全体賃金労働者の13.7%)ということになっていますが(調査機関にもよりますが、実はもっと多いというデータもいろいろ出ています)、実は530万人です、という主張が出ています。平均賃金で日本を~とかそんな話もありますが、どうもデータが合致しないというかなんというか、そんなところです。

 

一応、530万人のことですが、ユニークなやり方で、たとえばこうです。最低賃金が1万ウォンだとして、Aさんが週20時間働いて、20万ウォンを受け取ったとします。この場合、統計では「最低賃金未満」にはカウントされません。でも、実は法律に定められている「有給週休時間」が4時間あります(これをちゃんと適用する会社がどれくらいあるのかは分かりませんが)。「1週間で20時間働いて20万ウォン受け取った」ということは、この4時間が適用されなかったという意味であり、実際には20時間働いて24万ウォンもらわないと最低賃金未満になる、というのです。このやり方だと、なんと530万人、賃金労働者の24.3%になるとのことでして。うーん・・これは、参考程度にすればいいかもしれません。公式で301万人、「ギリギリ」のラインまで入れると530万人を軽く超える、おおまかに4人の1人、という分析もある、と。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。

 

<<・・統計庁経済活動人口調査によると、昨年の最低賃金未満率は2001年(4.3%)の3倍を超える13.7%に増加した。最低賃金を受けられない労働者数は2001年57万700人から2023年301万1000人に増えた。経営側はこれを急激な最低賃金引き上げによるものと見ている。韓国経営者総協会は「最低賃金未満労働者が多く分布した宿泊・飲食店業(※本ブログでよく取り上げる『準備無し創業』の多くがこのカテゴリーです)は最低賃金未満率が37.3%で高く現れた・・・・規模別でも、昨年300人以上の事業場の最低賃金未満率は2.2%にとどまったが、5人未満の事業場は32.7%に達した(毎日経済)・・>>

<<・・例えば、労働者A氏が昨年週20時間を働いて20万ウォンの賃金を受けた場合、現行方式では時給1万ウォンを受けて最低賃金未満の統計に入らない。しかし、法的に保障された週休時間(4時間)を勘案した時給は8333ウォンで最低賃金を下回る結果になる。この新しい計算方式によると、昨年最低賃金未満者数は533万6000人、未満率(全体賃金労働者のうち最低賃金未満の時間当たり賃金を受ける労働者の割合)は24.3%に達した。最低賃金委公認方式で算出した時の301万1000人(13.7%)と大きな差を見せている・・・・・最低賃金未満の労働者数と未満率は、当該指標を初めて観測した2001年以降大幅に増加した。2001年1354万人だった賃金労働者数が2023年2195万4000人に62.1%増加する間、最低賃金未満労働者数は57万7000人から301万1000人で421.8%(243万4000人)、未満率は4.1%から13.7%に9.4%ポイント急騰した(国民日報)・・>>

 

<<・・今年上半期(1~6月)賃金未払い額が、半期基準で(※上半期だけで)初めて1兆ウォンを超えた。政府の特別取り締まりにもかかわらず、賃金未払い額は前年同期比27%急増し、年末までに2兆ウォンを超える可能性があるという懸念が出ている。1日、雇用労働部によると、今年上半期の賃金未払い額は1兆436億ウォンと集計された。滞納を経験した労働者は15万503人だった。昨年同期間の滞納額が8232億ウォンだったのと比べると、2204億ウォン(26.8%)急増し、労働者は1万8636人(14.1%)増えた。雇用部関係者は賃金滞納が増加した理由について「建設業を中心に景気不振が影響を及ぼしたと思われる」と説明した。建設業の滞納額は昨年年間4363億ウォンで前年比49.2%急増したのに続き、今年上半期(2478億ウォン)にも前年同期比26%増えた。建設関連産業を含む金融不動産事業サービス業の滞納額も38.6%増の1221億ウォンに達した。この他、地方療養病院中心で保健業の滞納額も上半期717億ウォンで67.8%急増した(東亜日報)・・>>

 

2022年6月4日朝鮮日報によると、2017年~2021年の5年間データで、賃金未払いは日本の14倍(民間の分析だと100倍以上という主張もありますが)。OECDの最低賃金『以下』データ(OECDは未満ではなく以下で集計します)によると、最低賃金制度がある25カ国の中で、最低賃金以下労働者がもっとも多いのはメキシコ(25%)で、その次が韓国(19.8%)でした。ちゃんと制度が機能している国としては、ベルギー0.9%、米国1.4%、オーストラリア1.7%、日本2.0%、チェコ3.1%などです(アジア経済2023年4月2日)。制度がちゃんと機能していないのが、22位フランス(12%)、23位スロベニア(15.2%)、24位韓国、25位メキシコ。

 

 

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