ちょっとだけ(8ヶ月)遅れて紹介することになりましたが、韓国人の宗教観というか、信仰観に関するコラムがあったので、取り上げてみたいと思います。ブレークニュースというネットメディア、2023年12月4日のシリーズ記事の一つで、法学部出身ながら哲学博士として生きているイジョンチョル博士のコラムです。博士は、私たち(韓国)のどの時代を見てみても、一つの強力が宗教が存在した、ほぼ全員がそれを信じていた、なのに、なんで物質主義は変わらないのか。宗教、信仰心にはそれをコントロールするための側面が確かにあるはずなのに、なでその効果が見られないのか、という内容です。
書かなかったのか書けなかったのかは分かりませんが、ちょっと迂回する文章ですが、その内容は「物質主義のために宗教を信じるから」という結論になります。経験者(?)の1人として、私はこの考えを強く支持します。韓国メディアの記事引用しながら「強く支持する」と書いたの、これ初めてではないでしょうか(笑)。5月の新刊「Z世代の闇」でも触れていますが、この物質主義については何度も取り上げてきました。特によく取り上げたのが、ピュー・リサーチ・センターのレポートで、「人生に意味を与えてくれるもの」を選ぶものでした。これ、覚えておられる方も多いでしょう。
結果は、日本を含めて世界各国で「家族・子供」が1位でした。「健康」「(自由民主主義など)社会システム」を選ぶ国もありましたが、ほぼすべての国で、この項目が1位でした。特に日本の場合、複数選ぶこともできるのに、家族・子供『だけ』を選ぶ人が多かった、とも。でも、韓国だけ、お金が1位でした。これもまた、なぜかこれ『だけ』を選ぶ人が多く、レポートは「日本と韓国では一つだけを選ぶ人が多かった」と興味を示しています。なぜこうなのか。博士曰く、『いつも宗教の影響下にあった』のに、なぜこうなのか。記事に用途、2022年の韓国人の宗教人口頒布は、プロテスタント20%、仏教17%、カトリック11%、宗教なし51%です。ちなみに、日本ではあまり区別しない・・という気にしない、そんな雰囲気ですが、韓国ではプロテスタント(基督教)とカトリック(天主教)は完全に別宗教扱いです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・拝金主義思想は、宗教が追求する精神とは相反するものだと言える。宗教を信じる人の割合が国民の半分なのに、なぜお金が国民の大多数の至上命題になったのだろうか。ずいぶん前のことだが、「お金たくさん稼いでくださいね」という広告が人気を集めたことがあった。当時人気歌手が出演していたが、お金をたくさん稼ぐというのがTV日常的に登場することが、もう理解できない。このような現象などを見ていると、私たちが真に仕えるのは「貨幣神」(money god)ではないのか、と考えることすらもある・・・・私はそのような面で、私たちの宗教というのは、むしろ物質主義をたきつけるためのものか、せいぜい社交のための装飾品に過ぎないと思う。実際、汝矣島の某大型教会は・・(※現実で豊かになるための、いわゆる『祈福信仰』が効いているという話のあとに)・・で大きく成長し、今日のほとんどの教会はその信徒たちの共同体の役割だけをしている。それは仏教や他の宗教の場合も同じだ・・
・・(※ほぼすべての宗教の教えのように、いまの現世がすべてではなく、自分と相手が『世界の全てだ』と信じているものよりもっと重要で大きな世界があると信じることができるなら)もし私たちがこのような宗教の精神を守るなら、現世の利害関係のために戦う必要もないだろう。宗教がその本然の姿勢に忠実だったならば、ほとんどの宗教は「万人に対する万人のあらそい」というこの現世に愛と慈悲の精神を覚醒させようとしただろう。しかし、私たちの現実において、宗教が果たしてそのような意味を帯びているのだろうか・・・・私たちは、現世の富と権力に執着が強すぎる。口では宗教を信じると言うが、彼らに来世を話し、来世の審判についてどんなに強調しても、反応はない。現世の人生を正しく生き、慈悲と愛を実践しようとすることを期待することは、砂漠で針を一本探すよりも大変だ(ブレークニュース)・・>>
韓国社会の物質主義関連・・いわば家計債務とかマンションとかもすべて関連項目になるわけですが。この話になると、いつも「キリスト教徒が多いと聞いたのに、なぜ?」という疑問をいだく方も多いでしょう。「これだけが正解」と言う自信はありませんが、本文にも間接的に書かれている『祈福信仰で宗教が普及した』ことが大きな一因です。すなわち、物質主義のために宗教が利用されている、といったところです。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。