本ブログでも9日に取り上げたことがありますが、韓国ではまだまだ電気自動車の火事関連でニュースが続いています。ソウル市は「バッテリーの充電を90%に制限した車でないと、マンションなどの地下駐車場に入れない」ようにする案を検討中だそうです。事実上、使用者とメーカーがバッテリーの完全充電を90%までにしないといけないので、これがうまくいくのかは分かりませんが。こんな中、韓国メディアの反応は分かれています。主流は、『国内メーカーに大きなチャンスが来た』というもの。電気自動車のバッテリーがどこのメーカーのものなのか分かるようにすれば、さらに効果が上がるだろうとも言っています。
韓国の大手バッテリーメーカー3社の営業利益(上半期)は、去年比で10分の1になっています。今年4~6月期だけでみるとさらに低調です(アメリカからもらった補助金を含めても)。特にSKグループのSKグループの「SKオン」の場合は、グループ全体の流動性問題になるのではないかという話まで出ています。経済安保関連でも、『韓国の超技術力』として、半導体の次によく挙げられていたバッテリー。しかし、実際は中国メーカーと協力したり、中国依存度はさらに上がったりしていましたし、ついに実績でも中国メーカーが圧勝するようになりました。このような現状も、今回の件がプラスになると思うメディアも多い一因ではないでしょうか。
しかし、すごく慎重な書き方ではありますが(「国内メーカーもこの件で完全には自由になれない」など)、一部のメディアが、というか一部のメディア『だけ』が、「そういう問題ではない。ただでさえ需要が減少していた電気自動車市場が、さらに萎縮することになる。それでに、国内メーカーもバッテリー火事は発生している」という趣旨の記事を載せています。実際にはもっと多いと思われますが、韓国で電気自動車の火事が増えたのは(普及が進んだことで)2021年からです。2021年24件、2022年43件、2023年72件でした。2018年から集計で、総160件だそうです(この部分だけ「ニュース1」の記事、8日)。ちなみに、約半分が走行中の火事である、とのことです。マネーSもまた、この件で「結局は市場の問題で、国内メーカーに得になることもないのでは」な記事を載せています。冬の寒さ、全般的なインフラなどの影響もあって、韓国でもハイブリッド車の需要が高くなり、電気自動車人気は一時に比べて大幅に減少しています。その流れが加速するのでは、と。ただ、先も書きましたが、こういう意見はかなりマイナーです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・業界では、今回の事故が電気自動車全体のバッテリー全体に対する安全性の問題に広がる可能性に懸念している。実際、国内の一部のマンション団地などでは火災を懸念し、地下駐車場に電気自動車の進入自体を止めるところも続出している状況だ(※団地内の規則としてそうなっているところが多いと聞きます)。韓国産バッテリーも火災問題から完全に自由なわけではない。昨年8月まで国内バッテリー3社の火災発生件数はLGエネルギーソリューション35件、SKオン14件、サムスンSDI1件などだ。国内メーカーは、電流・電圧・温度などを最適な状態に維持できるバッテリ管理システム(BMS)の高度化などで火災のリスクを下げているが、消費者の懸念を完全に抑えられるかどうかはわからない。
バッテリー業界は、収益回復時点が遅れる可能性を懸念している。LGエネルギーソリューション、SKオン、サムスンSDIなど国内バッテリー3社の今年4~6月期の実績は予想以上に低調だった。LGエネルギーソリューションの同期間の営業利益は、前年同期比57.6%減の1953億ウォンだ。米国インフレ抑制法(IRA)税額控除金額4478億ウォンがあるので、事実上は2525億ウォンの営業損失を出した。SKオンは同期間4601億ウォンの営業損失を記録し、発足以来、四半期基準で11期連続も赤字が続いている。サムスンSDIの営業利益は2802億ウォンで37.8%減った。下半期も実績反騰は期待できそうにない状況だ。下半期にも電気自動車バッテリー需要の鈍化が持続し、既存顧客の在庫負担に伴う新規注文減少リスクが続くだろうという観測だ・・
・・国内業界も下半期の見通しを暗く認識している。キム・ジョンソンサムスンSDI経営支援室副社長は最近、実績発表後カンファレンスコールで「下半期の需要は上半期と同様に、当初の見通しには及ばず、本格的な回復時点も予想より遅くなるだろう」と見通した。 LGエネルギーソリューションは市場状況を考慮して今年の売上目標を「前年比4~6%成長」から「20%以上減少」に変更した。市場でも、これらの会社の業績見通しを下げている。
金融情報会社のF&Gは、上場企業のLGエネルギーソリューションとサムスンSDIの7~9月期の営業利益コンセンサスをそれぞれ5073億ウォン、2008億ウォンと見て、それぞれ前年比1.6%、59.5%減と見込む。一部の証券会社はコンセンサスにも及ばない実績を出すと見ている。SKオンも今年第3四半期3800億ウォン台の赤字を持続すると予想される。ジョンウォンソク、ハイ投資証券研究員は、「欧州主要国が補助金支援を中断する影響で、欧州電気自動車需要鈍化が明らかになった」とし「北米完成車メーカーの電気自動車販売も不振だという点を考慮すると、下半期の業績に対する調整が避けられない」と言った(マネーS)・・>>
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