韓国経済メディアが分析した、『利益が残せない企業』急増の理由・・企業債務の51%が最近4年間の増加分

昨日、金融委員長が現状を「債務中心の経済」とし、それを「資本中心の経済」にするためにいろいろやってみる、と話した・・という内容をお伝えしました。昨日も書きましたが、金融委員長となると金融当局の長であり、こんなポジションの人からこういう発言が出たのは、私が知っているかぎりだと初めてでした。主に民間債務(家計と企業)のことで、GDP比だと日本などで120%レベル、韓国で206%を超えている、と。で、珍しい発言だったのでもうちょっと調べてみたら、7月あたりから一部の経済メディアが同じ趣旨で企業債務に関する記事を出していました。

本ブログでも何度も取り上げた内容ですが、世界的に問題になっている『営業利益で債務の利子も払えない企業』の、2023年データが公式に発表されたのが、一つの原因だったのではないか、そんな気がします。ちなみに本エントリーのソース記事は、シリーズ記事2回目のもので、7月16日デイリアンのものです。結論からいいますと、全企業の41%がそうでした。大きなところから小さなところまで全部合わせての数値ではありますが、会社10社のうち4社以上が『営業利益で債務の利子が払えない』状態、言い換えればインタレスト・カバレッジ・レシオ(利子補償倍率)が1にならないわけです。また、その企業債務の5割以上が、最近4年間で増えたものだ、とのことでして。

 

債務というのが全てそうですが、特に企業債務というのは、なにかの投資のために債務が必要になることもあるので、評価が難しいところではあります。ただ、4年間というと2020年からですが、その時期になにか投資する動きがあったのでしょうか。記事はこの点において、『各金融機関が、家計債務で限界になったため、企業債務へ方向転換した』側面もあると指摘しています。『貸す』というのは金融機関からすると稼ぐという意味ですが、家計債務ではもうどうにもならない段階まで来たので、企業債務を主力商品にした、と。なぜそうなるのか。理由は、『企業ローンは、家計ローンより規制がゆるいから』です。企業が借りようとする需要があるから貸しただけでしょうけど。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国際通貨基金事態は、過度の企業債務からはじまった。ところが、現在国内総生産と比較した韓国企業の債務比率は、IMF事態当時を上回り、連日最高値を更新中だ。企業10社のうち4社は営業して稼いだお金で、融資の利子すら返済できないゾンビ状態だ。社会が債務に寛大になったとも言うが、それでも今は制御装置が必要だという声が大きくなっている・・・・国内金融会社が企業に出した融資だけで2000兆ウォンに迫ったことが分かった。新型コロナ後、企業の経営条件が急激に難しくなり、資金準備のための融資需要が拡大した影響だ。これに加え、政府の家計債務総量を制御する政策も、各金融会社が企業融資で成長を模索しようとする動きに繋がった・・

・・問題は、高金利とそれに伴う景気後退状況が長期化しており、企業の債務返済余力がますます弱くなっているという点だ。自然に、金融会社が保有する融資の質も下がり、その健全さにリスクが増える。今後もこのような傾向が持続すると予想されるだけに、産業別リスク管理に万全を期すべきだという診断が出ている・・・・16日金融圏によると、国内金融会社の企業融資残高は去る1~3月期基準で1866兆4000億ウォンで、前年同期比92兆ウォン(5.2%)増えた。新型コロナ直後の2020年1~3月期と比べると、637兆3000億ウォン(51.9%)も増えた。これは国内企業の債務(2734兆ウォン)の68.3%を占める水準だ(※ちょっと分かりづらい文章ですが、1866兆4000億ウォンは国内金融会社の企業融資額で、他の分まで合わせると企業債務は2834兆ウォン)・・

 

・・新型コロナ後、企業の運営資金の需要が大きく拡大している。また、高金利で債券市場が萎縮し、銀行を訪れる企業が増えた。また、政府の家計融資関連政策の強化も、企業融資が大幅に増えた原因の一つとして指摘される。政府が昨年総債務元利金償還率(DSR)算定満期を最大40年に縮小したのに続き、今年9月からはストレスDSR2段階を本格施行する。これは融資限度を算定する際に、加算金利(ストレス金利)を追加賦課して、借りられる限度を縮小する制度だ。金融会社が、比較的ルーズな企業ローンに目を向けた背景だ・・

・・問題は、企業融資が増えた分、不実化も急速に進んでいるという点だ。韓国銀行は2021年8月0.50%だった基準金利を、昨年1月まで10回連続引き上げて3.50%に引き上げた。この過程で企業の金融費用が高まり、景気鈍化による売上の減少で、元利金の返済が難しくなった。実際、昨年の利子補償倍率が1未満の企業比重は41.4%に達した。企業10社のうち4社は営業して稼いだお金で債務の利子すら返済できずにいるという意味だ(デイリアン)・・>>

 

すでに結構前から、PF(不動産プロジェクトファイナンス)が限界に来たことを察し、大手銀行はそのPFは関連ローンを減らしていたという話があります。そこで、『ハードルは低いけど金利が高い』第2金融圏などノンバンクがPFに主力して、急激に問題が進んだ・・と。最近は家計債務で同じ現象が起きているという話もあります。今回のデイリアンの記事もまた、そういうものだと言えるでしょう。でも、企業41%のインタレスト・カバレッジ・レシオが1にならないとなると、こちらも限界ではないのか・・そんな気もします。次は誰に貸すのでしょうか。で、それはともかくして(おぃ)・・昨日は本文にリンクするのを忘れましたが、久しぶりに、レナスレを書きました。ぜひ御覧ください。レナはもう10歳、本ブログは15歳になりました。本当にありがとうございます。

 

 

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