日経平均だけでなく台湾、韓国の株式指数が大幅に下がり、1987年の「ブラックマンデー」に因んでブラックマンデーとも呼ばれた、8月5日。それからもう半月が経ちました。まだ当時の数値を回復したわけではありませんが、日経平均は回復傾向を維持しており、今のところは8月5日当時の複数の記事で読んだ専門家たちの話、「心理状態による過度な動き(たとえば日本の経済・金融に対するファンダメンタル的な問題ではないので、一時的なものである可能性が高い)」という指摘が合っているように見えます。まだ詳しく言いきることはできないでしょうけど、とりあえずは安心といったところでしょうか。
で、本題ですが、それから約半月間、多数の韓国メディアが「なんで日米ほどパッと回復しないのか」という記事を出してきました。8月5日は、韓国も集計始めてから最大の下げ幅でしたし・・そうも言いたくなるだろうな・・としか思っていませんでしたが、それから韓国の証券市場(記事は主に株式市場の話ですが)も回復を続けているにもかかわらず、『なんで、なんで日米のようにいかないのか』という記事がずっと続いています。比較対象はいつも日本と米国です。個人的に、これは「なんでもっと『連動』しないのか」という話ではないのか(そうダイレクトに書いてあるわけではありませんが)と見ています。1~2年前でしょうか。日経平均の上昇が大きなニュースになっていた頃から、韓国メディアの記事からは『連動』という言葉が目立つようになりました。
日米は連動しているのに、なぜなのか、と。そういう動きの延長線上にある「あせり」ではないのか、と。ちなみに、韓国株式市場になにか問題があるわけでもないし、日米にくらべるとそれは遅いけど、回復を続けています。新任金融委員長が真っ先に日本を訪問し、「企業バリューアップ(株価上昇のためのもの)」について相談するとかそういう話もありますが・・国内では、「現状でもバブルではないのか」という声も出ています(これもまた、ソース記事にそうハッキリ書いてあるという意味ではありません)。まず株主還元率だけ見ても、米国はもちろん、日本、中国と明らかに差があるというのです。こちらはKBSです(※1月28日の記事です)。市場が評価する企業の価値は変わっていないのに、有償増資を繰り返すなどのやり方で株式の数だけ増やしているし、還元率は日本など主要先進国の場合は約68%とされているけど、韓国上場企業の場合は29%。中国の32%より低い、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。まず国民日報の記事は『なんでや』系で、KBSの記事は、ある意味、『構造』を指摘したもののような、そんな気もします。ちょっと長いけどそんなの気にしちゃいけません。
<<・・(※米国の回復の話のあとに)日本証券市場も早く以前の株価に近づいている。16日日経指数は前取引日より3.64%上がった3万8062で、11日ぶりにブラックマンデー以前水準の3万8000台を越えた。 16日の上昇幅は4年余りで最大上昇だった。5日終値(3万1458.42)より21%上がった。20日、日経指数は3万8062.92を記録し、3万8000を超えている・・・・専門家たちは、日本や米国に比べて韓国証券市場の回復が遅れた理由として内需不振の懸念と韓国証券市場の体質に言及した。ジョンヨンテクIBK投資証券首席研究委員は、「証券市場の暴落以後、米国では景気低迷の懸念を解消する指標がいくつか発表された」とし、「証券市場の下落幅が大きかった日本の場合、6月の実質賃金上昇率が昨年同月より1.1%上昇し、27ヶ月ぶりにプラスに戻った」と説明した。続いて「これと比べると韓国は昨年より成長率は良いが、内需不振の懸念が持続している」とし「輸出に依存している国で外部の不安要因が続く中、内需が改善する兆しを見せず、日本と米国の回復に及ばないと思われる」と付け加えた(国民日報)・・>>
<<・・(※韓国企業は有償増資が多いとしながら)銀行から融資を受けたり会社債を発行したりすれば、利子を払わないといけません。しかし、増資をすれば利子負担はありません。さらに、特定の大株主ではなく、公衆を対象とした公募型有償増資がはるかに多いです。有償増資で入ったお金で債務から返済する企業も多いです。取引所とコスダック市場に新規株式量があふれたら、誰かがこれを受け取らなければなりません。企業の利益はそのままですが、株式の数が増えるにつれて株価は希釈され、株価は下がるしかありません・・・・株式投資に飛び込んだ個人投資家が全力でこれら新規上場された物量を買い込んでも、株価上昇には限界があります。先進国証券市場のように上がらない大きな理由の一つです。
ここに、『分け』上場まで加わります。 LG化学はバッテリー部門を、SKケミカルはワクチン分野を、斗山は斗山ロボティクスを離して別々に上場します。「あんぱんが美味しい」からA菓子屋に投資したのに、Aの社長がアンパンだけで別の店を出すわけです。既存会社の株主は、会社の将来価値を失うことになります。これらの株式もまた、誰かが『受け』にならなければなりません。私たちの企業は、自社株を買い込んでも消却せずに、そのまま取っておいて、第三者に売ったり、経営権防御など大株主の利益のために使います。10年間、韓国株式市場で自社株を買い入れた1,418社のうち、自社株を焼却した企業は88カ所(4.1%)に過ぎません(韓国ESG基準)・・
・・流通する株式数が急激に増えると、その種目の時価総額ほど指数が上がらない乖離が発生します。実際、昨年の有価証券市場の総時価総額が20.3%(359兆ウォン)上がっている間、コスピ指数は16.44%上がっただけです。米S&P500の場合、昨年の時価総額は24.4%、指数は24.2%上昇しました。均等に上昇しています。配当もまだまだ低いです。配当が着実に高くなれば、投資家は毎年銀行利子のように配当収益を得て、自然に長期投資につながります。私たちの上場会社は、株式購入や配当を通じて利益をどのくらい株主に返しているのでしょうか。配当額と自社株買取額を純利益で分けてみると「株主還元率」が出てきます。国内上場会社の10年平均株主還元率は29%です。一方、米国は92%に達します。米国を除くヨーロッパや日本など先進国の株主還元率は68%です。中国が32%です(KBS)・・>>
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