韓国のチェコ原発受注、最終契約が不透明に? 技術の知財権で米国企業が「同意」せず

『国産化』7月19日に本ブログでもお伝えしましたが、韓国の公企業「韓国水力原子力」が優先交渉権を得ました。来年3月に最終契約が残っていますが、普通ならこれで契約はほぼ決定したようなものです。当時、発表から1~2日間は、かなり大きな話題になり、多くのニュースが出ていました。それから、価格単価が競争相手だったフランスの半分にもならず、中国よりも低かったなどの報道が出て、一部のポータルサイトには「チェコ原電」と書くと「低価受注」という言葉が関連ワードとして出てくるようにもなりました。

で、1ヶ月ぶりに続報がありましたが・・チェコに原発を作るには、米国企業ウェスティングハウス社の『同意』が必要だ、とのことでして。ですが、そのウェスティングハウスは韓国側と技術の権利において連邦裁判所に訴を提起しており(今回の『同意』はそれとはまた別の権利ではありますが)、今回の原発輸出にも同意しないでいる、との内容です。朝鮮日報がスクープで報じています。韓国は米国側に代表団を送りましたが、これといった成果なしで帰国した、とも。米国政府は「両社間の問題」としています。別記事などでは、「低価受注したのにまた金が出ていくのか」などの意見も出ています。なんでこうなったのかといいますと、『国産化』が原因です。

 

まず、なんで米国企業の同意が必要なのかですが、「1978年に結成された原子力供給国グループ(NSG)指針により、韓国は原発を海外に輸出する際に、源泉技術を持つ米国ウェスティングハウス社の同意を受けることになっている(記事より直訳)」からです。初の原発輸出である2009年UAE(アラブ首長国連邦)原発受注の時は、そもそも国産化をあまり主張せず(国産にしようとせず)、ウェスティングハウス社やウェスティングハウスの最大株主東芝社に効果設備を発注したこと、などなどで、問題になりませんでした。でも、今回は『国産化』できたという理由で、全部韓国側がやることになったので、問題になっている、とも。

朝鮮日報はこれを『タックル』『モンニ』(本来の意味とは異なり、ここでは理由もなく問題を提起してことをややこしくするという意味です)としていますが、本ブログとしては韓国側の国産化という言葉にあまり良いイメージがないのも事実です。さて、紳士協定とされるNSG指針をやぶるのか、それとも素直にウェスティングハウスとなにかの合意を成し遂げるのか、ですが・・ 以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・今回のチェコ原発をめぐってウェスティングハウス側が知識財産権問題を取り上げ、同意せずにいる。米国エネルギー省も「韓水原とウェスティングハウスの間の問題」とし、関わろうとしない姿勢だ。政府ハイレベル関係者は23日、「今月初め、産業通商資源部長官、韓電社長、韓水原社長などで構成された官民代表団がチェコ原発受注の仕上げ作業のために米国を訪れ、米エネルギー省およびウェスティングハウスの高位関係者と会ったが、これといった成果なしに帰国した」と伝えた。来年3月に予定された本契約まで、韓水原側とウェスティングハウスの間で異見をなんとかできなければ、最大規模の原発輸出に深刻な影響が響くのではないかと懸念される。

今月初め、産業部と公企業などで構成された代表団が米国を訪問し、エネルギー省とウェスティングハウス関係者に相次いで会った。ウェスティングハウスが韓国の原発輸出を防いでほしいと訴訟などを続けており、その解決のためだ。先にウェスティングハウスは2022年10月、米国裁判所に韓水原が自社の技術を使ったとし「韓水原が原発を輸出するには米国政府許可を受けなければならない」と訴を提起した。昨年9月、米ワシントンDC連邦地方裁判所は「原発輸出権は完全に米国政府にあるため、ウェスティングハウス社には訴訟資格がない」と却下したが、来月上訴し、現在上訴裁判所で訴訟が進行中だ。

 

ウェスティングハウスは前から国内原発事業に参加し、各種原発技術を国内に伝授した企業だ。国内で建設した原発28基のうち18基がウェスティングハウス系であり、海外に輸出する韓国型原発の基盤もウェスティングハウスモデルだ。だから、源泉技術に対する権利を主張するのだ。最も大きな問題は、ウェスティングハウスが、韓国型原発の海外輸出時に、米国エネルギー省に輸出申告する権限を持っているという点だ。韓国が1995年から参加したNSG指針によると、米国原発に基づく韓国型原発は、米国エネルギー省の輸出統制手続きを経なければならない。

米国と原子力協定を結んだチェコに輸出する時は、申告さえすれば手続きは終わるが、知財権で問題になっているウェスティングハウスが申告そのものを後回しにしている。これに先立ち韓水原は2022年11月、エネルギー省にチェコ原発事業入札関連書類を提出したが、昨年1月、エネルギー省は「関連規定により米国人または米国法人が申告書を提出しなければならない」と、受け入れなかった。15年前、UAE原発受注当時も米国政府の手続きを守らなければならなかった。しかし当時は韓国型原発の技術国産化があまりされておらず、大きな問題はなかった。

 

設備制作を担当した斗山重工業(現斗山エナビリティ)が一部設備をウェスティングハウス側に発注し、許可問題を解決したのだ。当時国産化されなかった各種設備はウェスティングハウスに、高価な発電機タービンなどはウェスティングハウスの最大株主である東芝に注文した。だが今回は、私たちが原発核心設備の大部分を国産化に成功している。さらに最近になって、欧州など先進国を中心に原発発注が相次いでおり、2050年までに世界原発設備規模が現在の2倍に大きくなる状況で、ウェスティングハウスの牽制が強くなったという観測も出ている(朝鮮日報)・・>>

 

 

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