韓国政府、CPTPP加入を事実上取り下げて「日本・中国との3国間FTA」を目指す動き

本ブログで23日に取り上げた、韓国政府の「通商政策ロードマップ」。WTOの機能回復などで自由貿易を強化、リードしていくという内容でした。FTA拡大なども含まれており、本ブログとしては「日中韓首脳会談のときに中国側が主張した内容とほぼ同じに見える」ものでした。その際にも書きましたが、貿易で生きるとなると、いま必要なのはFTAではなく「サプライチェーン再編」ではないのか、と思うところですが。そのロードマップ関連で、ソウル経済23日(記事その1、26日(記事その2)、25日電子新聞など韓国の経済メディアが取材し、「少なくともいまのユン政権では、CPTPP加入はもうできなくなった」という記事を載せました。また、ロードマップに明記された「日本、中国との3国間FTA」において、専門家は大いに肯定的に評価しています。

これもまた、日中韓首脳会談で中国側が積極的に話した内容です。公式発表内容ではありませんが、取材した各メディアの記事を読んでみると、「中国は日中韓FTAを主張し、韓国は中国とのFTA強化(いわゆる2次FTA)を主張した」という内容が大まかに共通しています。CPTPPがあるし、水産物関連措置に関する問題もあり、日本側は大して興味を示さなかった、とも。中国も韓国とのFTA強化にはそこまで話題にせず、結局共同声明に残ったのは「3国はFTAのための協議をもっと加速するための議論を持続するだろう(共同声明、項目24番)」だけで、具体的な内容はありませんでしたし、実際、それから何かの動きがあったわけでもありません。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・ユン政権任期中の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」加入が、野党の反対などで、事実上、霧散される状況になった。産業通商資源部は22日、2027年まで今後3年間の通商政策ロードマップを発表し、CPTPP加入と関連して「多様な国内関係者との疎通、専門家懇談会などを通じて社会的共感帯形成を優先・主力する」と明らかにした。 CPTPPは、アジア太平洋地域の経済統合を目標に2018年末に発足したメガ自由貿易協定(FTA)だ。開放水準が高く、既存の12カ国の加盟国の全会一致が必要であり、すぐに交渉を始めても加入までに2~3年かかる。今回、加入時点と推進意志を明文化しなかったことで、現政権任期中の加入はできなくなったという分析だ・・

 

・・CPTPPに加入すると、農産物市場開放に伴う農漁民の反発が避けられず、間接的に日本とFTAを締結する効果が発生する。共に民主党は一貫して協力せず、主務省の産業部がCPTPP加入申請のための段階である「国会報告」すらできなかった、という。政府としても、4月の総選挙結果が野党の大勝だったうえ、2026年の地方選挙、2027年の大統領選挙などの選挙日程を控えており、再び(CPTPPを)推進する力はすでに失った状態だ。政府は昨年も、福島処理水問題などでCPTPP加入についての議論を中断した・・・・CPTPPは、中国への経済依存度を下げ、サプライチェーンを安定化するための最適な代替手段として評価されている(ソウル経済、記事その1)・・>>

 

<<・・政府がCPTPP加入と関連して、今回の国会がスタートしてから、野党議員と会同すらしなかったことが確認された。産業通商資源部は「CPTPP加入を継続的に検討していく」と明らかにしてはいるが、実際にはちゃんと進んでないわけだ。26日、ソウル経済新聞の取材を総合すると、産業部は今回の国会発足以来、CPTPP加入の推進に対して野党側議員と面談や個別会同などを一度もしていないことが分かった。国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会で野党幹事を務めたキムウォン共に民主党議員は本紙との通話で、「政府側が国会に同意を要請したことはなかった」とし「全く報告も受けられず、連絡もなかった」と言及した。他の民主党議員室関係者も、口を揃えて「CPTPP協力要請や問い合わせはなかった」と明らかにした。政府側の主張とは異なる。ジョンインギ通商交渉本部長は22日、通商政策ロードマップブリーフィングで「22代国会で、(※野党)議員に会う機会があるたびにこの部分について言及している」と明らかにした(ソウル経済、その2)・・>>

 

<<・・(※今回の通商ロードマップの)ような基調は、通商ロードマップに「日中韓FTA」交渉再開を言及したことからも見えてくる。米国大統領選挙を控えて、米中対立が高まる時期に、三国の交渉再開を推進するというのは、戦略的な判断というのが専門家たちの解釈だ。ホ・ユン西江大学国際大学院教授は「日中韓国FTAは現実的に妥結するまではかなりの困難を経験するだろうが、未来志向的に見ると十分に追求する価値がある」とし「私たちとしては戦略的にまともな歩みである」と評価した・・・・それでも中国は巨大な市場であり、中国と協力が必要だという点を政府が十分に把握しているという意味だ。中韓FTAが締結されたが、貿易自由化の程度は非常に低いレベルとされている。これを、より堅調な水準に引き上げる日中韓FTAを締結すれば、米中対立の中でバランスを求める一つの「カード」としても活用できる(電子新聞)・・>>

 

 

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