2024年8月29日、韓国ソウル中央地法(裁判所)の、日韓請求権関連裁判結果が出たので紹介します。結果はいままでと変わりありませんが、判断の根拠が今までとちょっと異なります。ニュース1など複数のメディアが報じています。今回は、いつもの朝鮮半島出身労働者などが起こしたもので、訴の対象は日本ではなく韓国政府でした。1965年に韓国政府が受け取った資金の中には、個人への分が含まれていました。だから、その分で韓国政府が支払うべきである、というのが今回の核心内容です。
しかし、今回の裁判結果は全然異なる内容です。『最高裁判所の判断により、日本及び日本企業を相手に請求できるようになったので、韓国政府相手に請求することはできない』というのが今回の裁判結果の核心です。請求権協定で個人の分が消えたわけではないけど、それを韓国政府に請求することはできないというのです。請求権協定の2条には、「両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決された」となっています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国政府を相手に請求権資金を返してほしいという訴訟で、原告側が敗訴した。最高裁判所が2012年判決に続き、2018年全員合意体判決でも請求権協定締結で個人の請求権が消えたわけではないと明示しただけに、日本政府と日本企業に対する請求を通じて救済できるという判断だ。28日、ソウル中央地裁民事合議45部(部長判事キム・ギョンス)は・・・・このように棄却判決を下した。また訴訟費用も原告らが負担するようにした。原告らは、請求権協定で個人が日本政府または日本企業に対して請求することができなくなったという主張だ。また、請求権協定により韓国政府が日本から受けた請求権資金が、個人の分まで経済発展事業に使われたとし、2017年に政府を相手に訴を提起した・・・・同時刻ソウル中央地裁民事合意15部(部長判事チェギュヨン)が審理したもう一つの(※同じ内容の)訴訟でも原告の請求が棄却された。裁判部は「最高裁判所全員合意体判決の趣旨により、日本企業や日本相手にした訴訟で個人の請求を認める判決が多数宣告された」・・・・「原告も日本や日本企業を相手にした訴訟でこれを請求し、認めてもらうことができる」とした(ニュース1)・・>>
すなわち、これからは両国の『国内の問題である』というのが『解決』の中心内容だったと言えるでしょう。今回の裁判の内容は、その中心内容とは真逆のものになります。ちなみに、この「1965年、個人の分まで韓国政府が受け取った」とする部分については、文在寅政権になるまでは、韓国政府も認めていました。つい盧武鉉政権でも、個人には韓国政府が補償を行ったりしました。また、2023年3月21日のYTNなど複数のメディアによると、ユン大統領も同日の国務会議で、次のように対国民メッセージを出しました。この内容はなんだったのか、と。引用する前に結論書きますと、今回の判決、「いままでどおり」と言ってしまえばそれだけかもしれません。しかし、決して忘れてはならない隣国の現実です。以下、2023年3月21日ユン大統領のメッセージ一部です。
<<・・日韓関係をさらに新しくしたのは、1998年の金大中大統領でした。大統領は小渕首相との首脳会談を通じて「21世紀の新しい日韓パートナーシップ」を宣言しました。金大中大統領は演説で・・・・50年にもならない期間によって1500年にわたる交流と協力の意味をなくしてはならないと言いました。また、金大中大統領は1965年の韓日国交正常化以後、飛躍的に拡大した両国間の交流と協力を通じて、必要不可欠な協力関係に発展した両国関係が・・・・平和と繁栄に向けた共同の未来を開拓するための基礎になると言いました。
1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定は、韓国政府が国民の個人請求権を一括代理して日本の支援金を受け取るとされています。このような基調のもと・・・・1974年(※朴正煕政権)特別法を制定して、83,519件に対して日本から受けた資金3億ドルの9.7%に相当する92億ウォンを、2007年(※盧武鉉政権)再び特別法を制定して78,000人余りに対して約6,500億ウォンを、それぞれ政府が財政で支払いました。韓国政府は、1965年国交正常化当時の合意と2018年最高裁判所の判決を同時に満たす妥協案として、第三者弁済を推進することになったのです(YTN)・・>>
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