韓国経済メディア(8日)が見た、中国の不動産市場・・売れ残り集団住宅6000万戸のインパクト

そういえば、先週だったかな・・ニューヨーク・タイムズがまた中国経済について「市場開放以降最大のピンチ」と報じたりしましたが、特に不動産関連で、多くの記事が出ています。「不動産市場の問題は、金融など他の分野はもちろん、実物経済にも大きな影響を及ぼす」などのパターンが一般的です。そしてなにより、本ブログでも3日に紹介した「成長率データなど、当局がデータを制御している」という指摘。これがもっとも大きな不安要素ではないでしょうか。韓国でも相応の記事は出ていますが、政府は、「あまり気にする問題ではない」というスタンスです。いつだったかな。中国の不動産大手が倒れ、世界的に大きな話題になっていたときの話です。当時、関連記事で、当局側はこう答えました。『韓国の不動産市場には大した影響はないだろう』。

重要なのは、そこではないでしょう。先も書きましたが不動産は実物経済、すなわち消費などにも大きな影響を及ぼします。半導体輸出をはじめ、中国経済への依存度が高いのに、それを『こっちの不動産市場は大丈夫』と話すだけ(それ以外はほとんど言及がありませんでした)ですから、記事を読んでいてちょっとあきれてしまったことを今でも覚えています。政府も中国とのFTA強化に熱心だし、どうやらまだまだ中国経済は問題ないという信念が強いようです。そんな中、韓国経済(8日)の論説委員が、中国不動産問題が「他の分野へ広がっていく」状態である、そしてそれは政策、習近平政権を守るためのその場しのぎ政策が続いた結果だとする記事を載せました。「私たちにも多くのことを示唆してくれる」、とも。現在の韓国不動産市場にも、委員は似たようなことを思っているのでしょうか(普通、そうなるでしょうけど)。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・恒大グループ事態から始まった中国の不動産問題、公式に提起されてから今月10日付で5年目に入る。株価だけを見てみると、単一の問題はいくら長くても2年が過ぎると、おさまるものだ。だが、中国の不動産問題はより深くなっている。先月末基準で未分譲マンションがなんと6000万戸を超えた。韓国国民一人に一つずつ配っても余る。すべての問題はは3つの基準で評価される。一つは流動性問題を克服できるかどうかだ。最初に解決すべき流動性問題は、恒大事態以前になされた融資の満期まで重なって、さらに深化している。もう一つは、「システム」問題をそれだけ克服したかだ。未分譲マンションが20次党大会以後1000万世帯増えた点を考慮すれば、不動産開発業者と親政府勢力との間に新たな癒着が形成されていると思われる。事前段階を克服できなかったため、実物景気が低迷である。中国経済成長の部門別寄与度を見ると、不動産が30%を超えるほど高い。不動産価格が成長に及ぼす資産効果係数を推定してみると、「0.3」で、どの国よりも高くなる。不動産危機を克服できなければ中国の景気は回復が難しいという見方が出てくるのもこの根拠からだ・・

 

・・(※外国資金の離脱が続いていることで)習近平政府は、外国人資金の離脱を防ぐために「人民元の切り上げ」という最後のカードを取り出した。域外市場から1ドル当たり7.3元台まで下がってきた人民元の価値を人為的に7.0元台に上げた。布置ラインとされていた1ドル7元も長くは持たないという予想が出てくるほど、習近平政府の意志が強い。特定国の通貨価値決定を「マーキュリー(ファンダメンタル)」とマース(政策)要因に分けたとき、前者が支えていない人民元の切り上げは必ずしも投機勢力から攻められる。1990年代以降、英国ポンド化、中南米通貨、アジア通貨、そしてユーロ貨の危機のときがそうだった。統計的に中国の外貨は豊富に見えるが、実は、前ほどではないとされている。最大の強みである外貨まで問題になると、中国は株式、不動産、国債、外国為替、そして実物経済まで総体的で複合なピンチに陥る確率が高い。なぜここまで来たのだろうか。根本的な問題解決より習近平体制を擁護するために、その場しのぎに要因を緩和するだけの政策を繰り広げたためだ。「政策の大失敗」である。私たちの経済にも多くの示唆点を投げてくれる(韓国経済)・・>>

 

ちなみに、記事は1990年代日本でバブル崩壊とよばれる減少も、まずは株価、それから不動産、それから国債の順で起きたとし、最近の中国の債券が似たような動きをしている、とも書いています。他の記事の内容も少しまとめてみますと、中国の債券金利が2.1%台(10年物)まで下がっていますが、これは、『行く場をなくした資金が債券に集中しているから』(債券価格が上がれば金利は下がる)であり、株式市場から外国資金が離脱しているとも見ることができ、実際、「エクソダス」という新造語がよく聞こえてくる、とのことです。最近はその国債からも外国資金が離れる兆しが見えており、国債からも外国資金が離れていくとそれは本当に大きな影響を及ぼすだろう、とも。

さて、中国経済のリスクから何の影響も受けない国は、どこにもないでしょう。しかし、韓国(多くのメディアもそうですが、特に政府側)はその影響をあまりにも軽く見ている気がします。無関係な領域での話、と思っている・・というか、なんというか。韓国経済がもっとも大きな影響を受けるはずですが。ユン政権はこの前、自由貿易とかFTAとかを通商政策ロードマップの基本として発表しました。明らかに中国を意識しての政策です。普通ならグローバルサプライチェーン再編の話が主に出てくるはずですが。

 

 

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