現地時間で5日、米国BIS(Bureau of Industry & Security)が中・ロを牽制するための新しい輸出関連措置を発表しました。本ブログでも6日に取り上げましたので、参考にしてください。広帯域メモリー(HBM)など先端半導体関連のもの、量子コンピューティング、3Dプリンティング関連など、それぞれ24の品目において、各国は輸出する際にアメリカに許可を申請しなければなりません。ただ、日本、オーストラリア、イギリス、ドイツなどは、一部においてこのプロセスの免除国家に入っています(1つの国が全ての品目で免除されるわけではなく、たとえば日本は4品目、オーストラリアは13品目など、それぞれの項目で米国と類似したレベルの措置を行っているかどうかで決まります)。韓国の場合はこのリスト、あえて言うならホワイトリストに入っていません。
「許可する方向で審査する」Aグループになっているとのことですが、言い換えれば、将来、許可しなくなる可能性もあるということです。あくまで仮定ですが、たとえば政権交代によって中韓・米韓関係がいまの路線から変わるようなら、許可しなくなる可能性もあるわけです。中国にあるサムスン電子やSKハイニックスの半導体工場への装備搬入もこんなタイプで、許可を得るためのリスト提出が必要です。ただ、EUVなど、最初から搬入できない装備が決まっているようで、野党側がこの件を国会で追及したこともあります。それから5日後、現地時間で10日(韓国メディアの記事は11日)。韓国日報などによると、ワシントンで開かれた米国・韓国の経済安保関連カンファレンスで、米国商務省のエステベス次官が「HBMを作る韓国メーカーが2社ある」「その協力に感謝する」「HBMは、(中国ではなく)米国とその同盟国のために作るべきものだ」「韓国も近いうちに同じような措置を発表すると期待している」などと話しました。もともと2国間の会議だったこともあり、いままでよりダイレクトな表現です。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・人工知能(AI)核心半導体を中国に供給しないようにするための、米国の圧迫が大きくなる兆しを見せている。米国の対中国輸出関連措置に韓国も参加すべきとの要求の範囲が、先端技術分野に広がっている。アラン・エステベス米国商務省産業安保次官は10日(現地時間)ワシントンで貿易安保管理院が開いた韓米経済安全保障カンファレンスに参加し、米国と同盟の安保のため、中国が先端技術を確保できないようにしなければならないとし、広帯域メモリー(HBM)に言及した。HBMは複数のDRAMを垂直に積み上げて作られた高性能メモリで、AIの根幹であるグラフィック処理装置(GPU)に入る。全世界のHBM市場をSKハイニックスとサムスン電子、米国企業のミクロンテクノロジーがリードしているが、HBMの中国輸出を制御するために米国は韓国など同盟と協議中だと、海外メディアは最近報道していた・・
・・エステベス次官は「世界にHBMを作る企業が3カ所あるが、そのうち2カ所が韓国企業」と強調した後、「その力量を私たち自身と私たち同盟国の必要のために開発して使用できるようにすることが重要だ。その部分で韓国との協力に感謝する」と話した。韓国政府は慎重なスタンスだ。ジョンインギョ産業通商資源部通常交渉本部長はこの日の行事に出席した後、取材陣の質問に「米国側もまだ何も確定していない状態なので、私たちが何かを話すことができない」とし「関連当局の間では、そのような問題について、米国が私たちに協議を要請している」と話した。ただし「私たちにあまりにも影響が大きい」と憂慮した。
同日、エステベス次官は商務省が5日、量子コンピューティング、先端半導体製造装置、3次元(3D)プリンティングと関連して発表した新しい対中(※ロシアも含まれます)輸出関連措置にも、既存の半導体装置分野とともに、韓国が参加してほしいと繰り返し注文した。彼は、「他の多くの類似の入場の国が、このような品目に対する新しい国家レベルの関連措置をすでに発表、または実施した。韓国もすぐにこのような措置の施行を発表するよう、希望している」と話した(韓国日報)・・>>
各メディアによってちょっと書き方が異なりますが、ジョンインギョ通商交渉本部長のコメント、記事によっては、ソース記事よりニュアンスがあいまいです。基調演説では「経済安全保障安全ネットワークの構築のために、米国をはじめとする主要国の支持と協力が必要だ」とし「経済安全保障措置の効果性を高めるために米国との輸出関連措置と技術安全保障協力も強化しなければならない」と話したとのことですが・・カンファレンスの後には、取材陣の質問に「米国もまだ何も決めていないし」「そんな問題については、とりあえず米国当局がが私たちに協議を要請している」と話しました。韓国日報の記事にだけ、「私たちに影響が大きすぎる」と話したという記述があります。ソース記事の記者にだけ話したはずもないのに、なぜでしょうか。聯合ニュースやMBCなど大手の記事にも、相応の記述はありません。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。