韓国政府、また「素材・部品・装備の国産化企業を支援、『小さいけど強い企業』を育てる」と発表

「スーパー乙」という言葉があります。世話になっているスーパーにお疲れ様という優しい世界・・だといいですが、この場合は「小さいけど強い企業」のことです。昨日もちょっと書きましたが乙というのはあまり良い語感ではないので、もっと別の言葉はなかっただろうか、そんな気もします。実は先月、政府(産業通商資源部)がこういう企業を育てる、韓国のASMLを作るとして、『素部装(素材・部品・装備)』スタートアップ企業へのいくつかの支援策を発表しました。あいかわらず補助金は出さず、税額控除などです。各メディアがスーパー乙としながら、記事を載せました。少しいい方が変わったものの、結局はまた『国産化』企業を育てるということでしょう。こういう話になるとどうしても日本関連の話が増えますが・・ちょうどほぼ同じタイミングで、今月初頭、インテルと日本の産業技術総合研究所が最先端半導体のための素材・装備研究開発拠点を作ることにした、というニュースがありました。

本ブログでも何度も取り上げましたが、こういう記事は日本よりむしろ韓国の方で話題になったりします。日本(日台、日米)半導体関連は、韓国では本当に多くの記事が載りますから。このインテル関連も大きく報じられ、先のスーパー記事とともに「もっと急がなければ」という記事を量産しました。そんな類の記事を一つ取り上げたくて読んでみましたが、どれも短くて、あまりソース記事にできませんでした。長く書くことがまだなかったのでしょうか。中国が半導体装備関連で輸出関連措置を取らないようにと日本に強く言及したときには、なぜか韓国メディアに「これで勝てる」な感じの記事が増えたりもしましたが(中国関連なら韓国も「そんなこと言ってる場合か」なところですが)。

 

そこで、2ヶ月前に取り上げた記事ですが、もう一度取り上げることにしました。引用部分は一部だけが重複します。記事の核心内容は、『国産化できたのに、なぜまた日本企業の素材を使うのか』というものです。ソウル新聞、7月16日です。事例にしているのは、フッ化水素です。ちなみに、ソース記事は素材部品装備関連のデータを紹介していますが、全体対日貿易赤字については8月22日本ブログでまとめましたので、参考にしてください。記事時点の7月15日、韓国関税庁などによると、日本から輸入した素材部品装備は2018年381億ドル、2019年329億ドル、その後は着実に上昇し、2022年には395億ドルで、公式データが集計されるようになってから最大を記録した、とのことです(2023年には輸入そのものが減少したこと、円安などの影響があって、144億ドルに急減しました)。で、オチというかなんというか、記事は「なぜ国産化出来たのに、国産を使わないのか」としていますが、その「なぜ」について、政府がもっとルールを緩和しなければならない、としているだけです。本当にそうなのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国産化の成功事例に挙げられたフッ化水素は最近、むしろ日本からの輸入が増える傾向だ。韓国貿易協会によると日本産フッ化水素輸入金額は2019年(3634万ドル)と2020年(938万ドル)で、それぞれ前年度比45.7%、74.2%ずつ減少したが、2021年には33.5%増の1252万ドルを記録し、昨年には2201万ドルで前年度比165.0%増えたことが分かった。今年に入って5月までは1191万ドルで、昨年同期間比48.3%急増した状況だ。中国、台湾などで輸入先を増やし、一部国産化に成功し、日本の輸入比重が減ったが、関連措置が解除されてからは、フッ化水素純度を最大化できる先端精製技術を保有したステラケミファ、森田化学など日本企業からの輸入が再び高まっている・・・・「素部装」産業は、半導体だけでなく自動車、バイオなど主力産業の根で「ゲームチェンジャー」という修飾語が付いている。研究開発に長い時間がかかり、大きな初期費用がかかるため、先進国との差も大きいが、半導体のように先端分野に行くほど、その傾向は明らかになる。補助金など政府の積極的な支援が必要な理由だ・・

 

・・輸出の主力である半導体を作るために必要な素部装の国産化率(自立化率)は30%台に過ぎない。素材の国産化率は半分程度に留まるが、半導体装備においては20%水準だ。実際、半導体検査装置と半導体製造用機械の貿易は、毎年赤字を続けている。今年に入って両部門の貿易規模はそれぞれ4億ドル、33億ドルの赤字で、わずか4カ月で昨年の赤字規模(各10億ドル、48億ドル)の40%、69%に達すると集計された。世界の半導体市場がメモリ半導体からシステム半導体に移っている最近の流れを勘案すれば、素部装産業の育成がこれまで以上に必要だというのが半導体業界の内・外の声だ。すでにグローバル半導体市場でシステム半導体が占める割合は約61%(2022年基準)で、メモリ半導体(約24%)の3倍に達するが、システム半導体市場で韓国のシェア(3.0%)は、日本(5.6%)や中国・香港(5.2%)にも及ばない(ソウル新聞)・・>>

 

理由は、そもそも「本当に実用化できるレベルで国産化できたのか?」がもっとも大きいでしょう。また、これまた同じく「なにかの新技術を開発しても、大企業は日本の素材・部品・装備しか使おうとしない」という中央日報の(9月4日)に書いてある内容ですが、半導体関連企業関係者はこう話しています。「長い間日本製品を使ってきた半導体エンジニアが、『価格が少し安い』という理由だけでリスクのある国産素材を使うのでしょうか。国産素材がやっと半導体資材仕様書(Bill of Material)に登録されても、検証が十分でないという理由で、そのまま消えることが続いています」。すなわち、長い期間続いた信頼の話、なわけです。

 

 

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