台湾国家発展委員会の劉鏡清主任委員が、台湾の半導体サプライチェーン再構築について、「安全性、信頼性、友好国、市場」という4つの原則を発表しました。TSMCの熊本進出はその流れに沿うもので、補完関係のもと、日本への投資を強化する、とも。ソース記事は産経新聞 と テレ東BIZです。最近、本ブログで米国商務省が発表した新しい輸出関連措置を取り上げたこともあり、特に友好国という言葉が気になります。台湾も中国経済とのつながりが大きいはずなのに、ここまでちゃんと発表するとは、なかなかすごいことではないでしょうか。6日と11日に取り上げましたが、現地時間で5日、米国BIS(Bureau of Industry & Security)は中・ロを牽制するため、HBM(広帯域メモリー)や3Dプリントなど先端技術に関し、新しい輸出関連措置を発表しました。韓国側は、これについて『大した問題ではない』とするメディアの報道以外、政府や当局のコメントはこれといってありません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・台湾国家発展委員会の劉鏡清主任委員(閣僚級)は17日、世界シェアが高い半導体に関し「安全性、信頼性、友好国、市場」の4原則を挙げ「サプライチェーン(供給網)を再構築している」と述べた。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出はこの方針に沿うと説明し「第1工場の利益率は高くないが、長期的には顧客のためだ」と指摘した。劉氏は訪日に合わせ、日本記者クラブで記者会見した・・・・ラピダスにも触れ「遠い将来(台湾と)競争関係になるかどうかは見守る必要がある」と語った。一方で「半導体市場はどんどん拡大していく。日本と台湾は『強強連合』で取り組んでいく必要がある」と訴えた(産経新聞)・・>>
特定分野において輸出には許可が必要になるという内容ですが、日本、オーストラリアなどは一部の品目において免除(ホワイトリスト)となりましたが、リストに韓国はありませんでした。その措置の核心こそが、「半導体は米国とその同盟国に供給されるべきだ」です。劉鏡清主任委員は訪日する予定で、その日程に合わせて今回の日本投資関連発言が出たとも言えますが、実はこのアメリカ・・というか、『こっち側』の動きに、前もって「その流れに参加する」という方向性を示したとも言えるでしょう。韓国日報(9月11日)の報道によると、この措置についてジョンインギョ産業通商資源部通常交渉本部長は、「米国側もまだ何も確定していない状態なので、私たちが何かを話すことができない」とし「関連当局の間では、そのような問題について、米国が私たちに協議を要請している」、「私たちにあまりにも影響が大きい」と話しました。
サムスン電子は全体の売上の3割を中国であげていますが、その3割の約9割は半導体によるものだと言われています(8月29日朝鮮日報など)。全体の半導体輸出の3割は中国だ、とも。この話になるといつも思い出すのが、2023年1月5日韓国日報の『中国から離れろという米国、失うものが大きすぎるという企業・・同盟のジレンマ』という記事です。記事は、「各企業は、中国から離れるのが難しい」と簡潔にまとめ(?)ながら、サムスン電子は中国西安工場で全体NANDの40%を、SKハイニックスは無錫と大連でDRAMの50%、とNANDの30%を生産しているとしながら、大韓商工会議所の資料を引用して「半導体輸出において中国が占める割合は昨年39.7%で、2000年(3.2%)から12倍以上成長した」としています。いまもなお、3割以上は中国に向かうとされています。
そして、もっとも記憶に残ったのが、この部分です。「中国現地の半導体業界関係者は、『設備、素材、部品、ノウハウがすべてここにある。同盟論理で事業を動かすことができる段階は、すでに過ぎた』と話した」。HBMなど先端技術とされる領域での話。もし一部メディアの主張どおり「大きな問題ではない」としても、いまはともかく、中国の技術力上昇も含め、これからのことを考えると、「影響があまりにも大きい」と言いたくもなるでしょう。ただ、先も書きましたが、中国との経済的な繋がりがあるのはどこの国も同じで、台湾は特にそうです(最近、対中輸出などが減少しています)。そんな中、今回の台湾のような発言を、韓国の当局者も言えるのでしょうか。
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