連邦準備制度理事会(FRB)、政策金利を0.5%引き下げ・・韓国の場合、金利引下げはどうなるのか

連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利0.5%引き下げが決まりました(4.75%~5.0%)。いよいよ、米国も金利引下げに踏み込んだわけです。いまのところ日本の市場は、どちらかというと昨日よりは円安になっていて、日経平均も上昇、『この程度なら織り込み済み』という動きを見せているようです。とはいえ、これから少しずつ金利を上げようとしていた日本銀行としては、舵取りが難しくなったともイエルでしょう。というか、最初から予想していたでしょうけど。で、本エントリーは、韓国銀行がどう動くのか、についてですが・・民間債務が多く、家計債務がGDPより多い数少ない国だけあって、当然「返済額」が大きな問題になっている韓国。今回の米国金利引下げは、韓国の家計債務返済という側面では「これで金利が下がる」とまさに待望のニュースとなりますが、いざ金利を引き下げようとすると、どれくらい下げられるのかが問題になっています。

韓国もいま経済浮揚が必要なので、下げるのは確かに下げるだろうと予想されています。ただ、どこまで下げられるのか、と。もっとも問題とされるのは、やはり家計債務です。いまもすごいことになっていて、ついこの前もBIS(国際決済銀行)が中国と韓国の家計債務を名指しして「なんとかして」と話したばかりです。中央日報は今の状況を『超ヨンクル』としています。ヨンクルボール、「Z」を飛び越えて「超」が来ました。ヨンクルとは、無理して金を借りて投資する行為のことです。もう政府がどんな策を出しても、とりあえず金を借りてマンションなど不動産を買うことは目に見えているので、いま金利を下げたら本当に制御が効かなくなる、というのが専門家たちの見解です。

 

いまだとちょっと信じられない話ですが、韓国の基準金利は、2008年10月に5%でした。当時はまだ銀行に預金すると利子がたっぷりもらえました。シンシアリーもそれをメインにして資産のすべてを預金として管理していました。懐かしい話です。それから、バンジージャンプみたいに金利が下がり、2009年2月に2.0%まで金利引下げが続きました。いま思えば、すごかったな、としか。あ、これは韓国銀行の基準金利推移ページから見ることができます。いろいろ理由があっての金利下げでしたが、その隙に不動産投資などの理由で、家計債務が急増しました。また、借りやすくなったことで、創業資金を用意し、安易に自営業を始めた人が多く、未だ続いている自営業者債務問題の一端が作られました。それから2011年には3.25%まで上がり、当時は「元(5%あたり)に戻るだろう」という意見もありましたが、すでにそんな高金利に耐えられる経済ではなくなっていて、2016年まで段階的に金利引下げが続きます。そして、今の家計債務問題、マンション価格高騰などの問題がどんどん育っていきました。2016年6月には、1.25%まで金利が下がります。

 

そして、2018年あたりには1.75%まで上がったりもしましたが、景気浮揚とか新型コロナとかいろいろあって、2020年には0.5%まで下がります。このときにもまた、低金利で家計債務、自営業債務などが大幅に増加し、文在寅政権において最大の問題とされてきたマンション価格高騰に繋がります。こうしてみると、政府は基本的に景気を浮揚するために金利を下げたのに、そのお金を借りてマンションを買おうとする人たちが増える、このパターンが、なんだかんだで15年以上続いたことになります。いまは、3.5%です。聯合ニュースなど多くのメディアが、「家計債務が減少しないかぎり、金利引下げは遅くなる、または、思ったほど下げられない」という主張を展開しています。いま政府が家計債務を減らすために、ストレスDSR(Debt Service Ratio)強化版の適用などいくつかの政策を行っていますが、実際のローン金額が減少していない、というのです。この問題、果たしてバランスを取るのは可能でしょうか。以下、<<~>>で引用してそのまま終わりにします。

 

<<・・5大銀行(KB国民・新韓・ハナ・ウリ・NH農協)の12日基準住宅担保ローン(伝貰資金ローン含む)残高は570兆8千388億ウォンで、8月末(568兆6千616億ウォン)より2兆1772億ウォン増えた・・・・5大銀行の住宅購入個別住宅担保ローン新規取扱額は、今月に入って9日まで3兆645億ウォンで、1日平均3405億ウォンに達する。8月(412億ウォン)より15%少ないが、7月(3861億ウォン)や6月(3617億ウォン)と比べて大きな差がない水準だ。今月に入って2段階ストレス総債務元利金償還比率(DSR)が始まり、銀行側が相次いで一部の住宅担保ローンをやめている点(※すでに住宅を保有している人には一部のローンが制限される、など)を考慮すれば、減少の幅は、思ったほどではない。

9月末~10月初めまでに家計ローン関連指標に明らかな減少傾向が現れない場合、ずっと住宅価格・家計ローンによる金融不安を、金利引き下げの最大の問題として指摘してきた韓銀としては、10月急いでピボット(※方向転換)するのは容易ではないと予想される・・・・ジョヨンムLG経営研究院研究委員は「10月にも家計債務・不動産・為替の状況が思わしくなかった場合、韓銀は11月以降に引き下げ時点を延ばすしかないだろう」と展望した(聯合ニュース)・・>>

 

 

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